2015年4月25日発売
警視庁の「暴力団離脱者相談電話」通称“足抜けコール”で働く永光麦秋はどんな脅しにも屈せず、暴力団の構成員を堅気に戻し組織を容赦なく叩きのめす。越権行為を重ねても、上からはなぜかまったくおとがめはない。足抜けコールに異動した元マル暴刑事の三ヶ島翔は、一風変わった麦秋に戸惑いながらも行動を共にするうちに、彼女が暴力団に個人的に激しい恨みを持っていることに気づく…。ノベライズ刊行第1弾!
幼稚園に通う息子が口にする「だまだまマーク」という言葉に隠された秘密、夢の中の音や風景が現実に滲み出して追いつめられてゆく恐怖、ひょんなことから少女が目にしてしまった女性の顔を持つ鯉…。しっかりと目を開けていたはずなのに、ふとした瞬間に歪む風景と不穏な軋みを、卓越した書き手たちが端正な筆致で紡ぎだす。現実と虚構のあわいに花開く幻夢10篇が読者を魅了する、書き下ろし怪談競作集。
病死した戦友の息子・野本精一から金の無心をする電話がかかってきた。私は何も聞かず借金を肩代わりしたが、精一はある男に怯えていた。その男は私もよく知るN市の酒場“ブラディ・ドール”のオーナー、川中良一だった。川中は精一を殺すという。だが、あえて私は精一を守ることにした。戦友の息子という、ただそれだけのためにー。S市の実力者として君臨してきた久納義正が、川中とぶつかり合う、不朽のハードボイルド長篇。
師走も半ば、金座裏では総出で大掃除を終えた後、差し入れの河豚料理に、皆で舌鼓をうっていた。その席で、八百亀は定廻り同心・寺坂毅一郎についての八丁堀での“うわさ話”を持ち出すが…。金座裏にとって家族同然の寺坂に降りかかる難儀、そしてついに殺人事件が起きる。政次たちが、「北町奉行所」にはびこる悪と戦う、大人気書き下ろしシリーズ、待望の第二十六弾!
刀は武器でありながら、芸術品とされる美しさを併せ持ち、のみならず霊気を帯びて邪を払い、帯びる武将の命をも守るという。武人はそれを「名刀」と尊んで佩刀とし、刀工は命を賭けて刀を作ってきた。そうした名刀たちの来歴や人々との不可思議な縁を、名だたる小説家たちが描いた傑作短編を集めました。浅田次郎「小鍛冶」、山本兼一「うわき国広」、東郷隆「にっかり」、津本陽「明治兜割り」に、文庫初収録となる好村兼一「朝右衛門の刀箪笥」、羽山信樹「抜国吉」、白石一郎「槍は日本号」を収録。
皇暦2017年。仮面の男ゼロが起こした大規模なブリタニアへの反抗作戦『ブラックリベリオン』以降、世界各地では対ブリタニアを掲げたテロが頻発したが、神聖ブリタニア帝国は圧倒的な軍事力をもってそれらを制圧していった。中華連邦で起きた大規模な戦闘『紅巾党の乱』もその一つ。和平交渉のために中華連邦に訪れた第2皇子シュナイゼル・エル・ブリタニアの命を狙って起こされた朱禁城への進攻は、シュナイゼルの護衛を担っていた英雄皇女マリーベル・メル・ブリタニアの率いるグリンダ騎士団によって阻まれた。この戦いは、同じ顔と同じ「オズ」の名前を持つ男女の戦いでもあったが、それは広くは知られていない。二人のオズは双子の兄妹でありながら、それぞれの立場と、譲れない想い故にぶつかり、命を賭けて戦った。それを聖まない二人のオズを知るトト・トンプソンは、自らの命を顧みず二人に忘却のギアスをかける。それから6ヵ月、皇暦2018年。世界は再び大きく動き始めようとしていた。