2015年7月11日発売
仮往生伝試文仮往生伝試文
寺の厠でとつぜん無常を悟りそのまま出奔した僧、初めての賭博で稼いだ金で遁世を果たした宮仕えの俗人ー平安の極楽往生譚を生きた古人の日常から、中山競馬場へ、人間の営みは時空の切れ目なくつながっていく。生と死、虚と実、古と現代。古典世界と現在の日常が、類い稀な文学言語の相を自在に往来し、日本文学の可動域を、限りなく押しひろげた文学史上の傑作。読売文学賞受賞。
城壁/星 小島信夫戦争小説集城壁/星 小島信夫戦争小説集
イデオロギー的偏向やうすっぺらな善悪を超え、戦場の奇妙な人間模様を描くことで、不気味なユーモア、シュールな世界として、“戦争”を読者に刻みこむ。兵士たちに蔓延する「迷子病」が県城自体の引越しを誘発する「城壁」ほか、寓話的ともいえる作品のなかにも暗号兵としての自らの体験が息づく。戦争文学のもつ既成像を粉砕し、小島信夫の世界観の核を示す九作品。
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