2016年10月17日発売
十八歳の若さで鷹月流剣術第三十二代当主となった鷹月つぶらは、かつての兄弟子、桜庭廉を探すため、山形から上京する。東京・原宿で偶然知り合った有村依子と、代々木に住む叔父の鷹月賢秀を訪ね、廉の居場所を訊くが、「お前は、廉と関わるな」と言われてしまう。「あの者とお前は、とうに道を違えてしまった」と。その後、依子が、やくざの事務所に拉致されてしまう。それを知ったつぶらは、依子の救出に駆けつけ、“光る刀”を武器に、やくざ者を次々に倒していく。本人も知らぬ間に、彼女は極道の抗争に巻き込まれていたのだったー。
信州・安曇野で轢き逃げにあったと思われた死体には刃物による外傷があった。これは殺人事件なのか?被害者の足立信吾は40年前に新潟から引っ越してきて、農業を営む高齢の父親・壮介とのふたり暮らしだった。安曇野署の刑事・道原伝吉は、離婚した信吾の元妻から、過去に動物の死体を置かれるなどのいやがらせが続いていたことを聞く。事件は足立家に恨みをもつ何者かの仕業なのか!?道原は過去を探るべく新潟に向かう。足立家の足跡を辿る道原たちの前に、霊山・八海山が聳え立っていたー。
1995年3月20日、カルト教団『シンラ智慧の会』通称「シンラ」の教祖、天堂光翅の命を受け、白装束に身を包んだ6人の信者が、丸の内で無差別乱射事件を起こす。その宗教は、1958年ひとりの女が呪われた子を産む決意をした日に始まる。たとえ今、生きる意味が見出せないとしても、もしかしたらこの子は、私に生きる意味を与えてくれるかもしれないとー。
警視庁の女性特別機動隊に所属し、羽田空港の保安検査場に勤務する南谷結月は、日々の仕事に不満を感じていた。身体を張って国民を護るのが、警察官として最も崇高な使命だ。なのにー。そんな不満と視野の狭さに気付いた上官から、結月はある飲み会に同席するように言われる。行ってみた先に待っていたのは、雲の上の人である大迫警視長と、その友人の民間人・座間味くんだった。盟友・大迫警視長の語る事件の概要から、隠れた真相を暴き出す!名探偵・座間味くんの推理を堪能できる傑作集!
女性首相ミタ・ジョズの活躍の下、同性婚が合法化され、男女同権が実現した“オーセル国”。精子バンクが国営化され、人々はもう性の役割を押し付けられることはなく、子供をもつ自由を手に入れていた。ある日、国家のシンボルとも言うべき“オーセル・スパームバンク”を一人の異性愛者で愛国主義者、タキナミ・ボナが占拠した。彼は、バンクへのスパーム提供を拒み続けている名門大学の男子学生である。「今こそはっきり告発します。ミタ・ジョズはぼくをレイプした。(中略)ぼくの盗まれたスパームのIDは…」彼の衝撃の演説は、突如現れたもう一人の男性テロリスト、オリオノ・エンダがボナを射殺することで幕を閉じたーその場に居合わせた17歳のユキサダ・ビイは、ボナの持つ“言葉の力”に魅了され、新進の無思想ニュースメディア『クエスティ』の記者になり、二人のテロリストの実像を追い求めるー男女の在り方を問う、新時代のディストピア小説。