2016年10月25日発売
役目を減らすことは、役人の席を奪うこと。己の存在意義と既得権益をめぐり、武士たちは熾烈な競争を繰り広げた。世襲を旨とする幕府が、唯一実力主義を徹底した医師。大名・旗本が敵に回すことを最も恐れた奥右筆。親兄弟であろうと罪を暴き、なりふりかまわず手柄を求めた目付。人も羨む出世と引き替えに、お手討ちもありえた小納戸ー役人たちの闘いと身につまされる宮仕えの日々を、新たな筆致で描く渾身の書き下ろし。
管理局に呼び出され、魔女と名乗る謎の女性に会うことになったケイと美空。その女性は、能力者の街・咲良田の未来を長年監視していた。一方で謎の少女がケイたちの周辺に現れる。彼女の目は赤く輝いていた……。
美貌の戦士、龍王院弘。俊敏だが卑屈な少年時代に流浪の格闘家・宇名月典善に見出された。銃弾とすら対決する典善を師と仰ぎ、修羅道を歩み始める弘。出会って約1年が過ぎたころ、腕試しに来留間三郎が道場主を務める玄武館に連れて行かれる。来留間の背後には典善の因縁の相手、当麻真玄流の馬垣勘十郎の姿があった。典善と馬垣。弘と来留間。それぞれの闘いが始まるー。大作「キマイラ」が生んだアナザーストーリー!
大身旗本の一人娘にして柳生新陰流を極めた姫子はその腕を老中松平定信に見込まれ、お庭番を束ねる陰の役目に就いている。老中松平和泉守の娘・久世姫が天下御免の大悪党・羅刹女らに攫われる事件が起こり、一味を追う姫子。だがこの凶賊を“揚羽の子”と名乗る若き女殺し屋も追っていた。姫子と揚羽の子、年の近いふたりは偶然出会うと、敵同士にも拘わらず何故か心を通わせてゆくー。大好評シリーズ第2弾!
石高はわずか五千石だが家格は十万石。清和源氏の流れを汲む名家で参勤交代も免除の特別扱いだが、所領は狭く財政は厳しいー。そんな喜連川藩の中間管理職・天野一角は突然、一月で川普請と橋の建造をせよと命じられる。藩主に指示された家老が、丸投げしたのだ。金も人手も足りず奔走する一角。だが領内に現れた賊の探索にも駆り出される。果たして一角は次々に降りかかる難題を解決できるか?大好評シリーズ第2弾!
こよみちゃんと、菜の花が有名な福島潟で初デート!その日に向け、いろいろ頭を悩ませる、大学生の森司。オカルト研究会のメンバーも、2人のデートに興味津々。けれど依頼人は容赦なくやってくる。他殺死体発見現場の隣に立つ豪華な洋館に現れた、女の足だけの霊。森司がかつて経験した、先輩の同時二重体の謎。そしてデート当日にまで、恐怖は忍び寄ってきて!?甘々なのに身の毛もよだつ、青春オカルトミステリ第10弾!
犬の最期を看取る「老犬ホーム」で働くことになった智美。初日から捨て犬を飼うことになってしまったり、脱走事件があったりと、トラブル続きの毎日だ。若い犬を預ける飼い主を批判してオーナーに怒られたり、最期を看取らない飼い主や、子供に死を見せたくないと老犬を預けた親に憤り…。ホームでの出来事を通じ、智美は、苦手だった人付き合いや疎遠な家族との関係を改めて考え直し始める。世知辛い世の中に光を灯す、心温まる物語。
少女はなぜ4階のこの教室から飛び降りなければならなかったのか?撮影不可能な映像はいつどうやって撮られたのか?タイムリミットは一晩。絶体絶命の完全密室から、脱出することはできるのか?屋上観覧車、校舎、放送室…様々な場所に仕掛けられた難解トリックに“可愛すぎる名探偵”樋口真由が挑む。文庫書き下ろし「『消失グラデーション』真の解決編」も収録した、横溝賞“大賞”受賞作家、真骨頂の学園ミステリ決定版!
男子高生の刺死体が、青山の路上で発見された。被害者は近隣の名門校に通う17歳、原田聡吾。美形で成績優秀、評判の優等生だったが、恋人の敷島亜子は、生前に彼が凶悪犯罪に関与していたとの情報を得る。同級生達の証言は食い違い、亜子は聡吾の親友から、警察捜査を妨害するよう指示された。彼は、聡吾は幼い頃に自分と交わした約束を守るため死なねばならなかったと言うのだが…。どんでん返しが冴え渡る、青春ミステリ。
偽名を使い、多数の人を殺めてきた腕利きの榎波は、暴力団員が起こした動物惨殺事件を見逃すことが出来なかった。激情に駆られながらも、冷徹に暴力団員を射殺した榎波だったが、その完璧さが彼の運命を大きく狂わせていく。榎波の手口が他の伝説の暗殺者・花井と酷似していたことから、花井を追うことになった“影の弁護士”・藤立。本来絡み合うはずのない2人が、再び出会うとき、未曾有の犯罪を巡る追跡劇がはじまる。
亭主の勇次が忽然と姿を消し、実家の口入れ屋「きまり屋」に出戻ったおふく。色気より食い気、働きもので気立てのよいおふくは助っ人女中として奉公先に出向き、揃いもそろって偏屈な雇い主たちに憤慨したり同情したり。一筋縄ではいかない人生模様を目の当たりにするうち、自分も前を見て歩いていこうと心を決めるーー。市井人情小説の名手が渾身の筆で描ききった江戸のお仕事小説。単行本未収録の短篇「秋の朝顔」併録。
ある山間の寒村に伝わる風習。この村では、死者からくりぬいた顔を地蔵にはめ込んで弔う。くりぬかれた穴には白米を盛り、親族で食べわけるという。この事から、顔を抜かれた死者は“どんぶりさん”と呼ばれたー。スマホにメッセージが届けば、もう逃れられない。“どんぶりさん”があなたの顔をくりぬきにやってくる。脳髄をかき回されるような恐怖を覚える、ノンストップホラー。第23回日本ホラー小説大賞・読者賞受賞作!
バーチャワールドという新感覚のゲームに挑む賢治や敏晃ら高校生5人組。決められたルールに従い病院脱出を目指す賢治たちだったが、ある女性患者の自殺を目撃したことから事態は急変する。謎の少年アキラが現れ、ゲームは予測不可能な方向に進んでいく。ひとり、またひとりとリタイアしていく仲間たち。何故アキラは5人の前に現れたのかーゲームをクリアした者にだけ明かされる哀しき“運命”とは!?
「武田信玄、死すー」元亀4年、その噂が戦国の世を揺さぶった。父の悲願、天下掌握を果たすべく信長の追い落としを謀る勝頼。生き残りを賭け謀略をめぐらせる家康。信長の命で大量の鉄砲調達に奔走する秀吉。そして兵として戦場を駆け回る地侍の宮下帯刀。男たちは長篠の地に集結し、死力を尽くした戦いに臨む。戦国の大転換点・長篠合戦と熱き人間ドラマを圧倒的臨場感で活写した、問答無用の本格合戦小説!
わたしの名前はヒメ。家族はわたしを「犬」と言う。でも「犬」って何?飼い主一家に愛されず、孤独に日々を過ごすスピッツ犬のヒメ。流星群の夜、不思議な石を舐めて驚く程の知能と人の言葉を得た彼女は、一家の末っ子、雅史を支配下に置いて…。飼い犬たちの暴走、町に響く遠吠え、巨大な犬の影、そして続発する猟奇殺人。史上最高にキュートでおぞましい「犬のカリスマ」ヒメ登場。彼女が命を懸けて欲したものとは…。
『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』『きつねのはなし』代表作すべてのエッセンスを昇華させた、森見ワールド最新作!旅先で出会う謎の連作絵画「夜行」。この十年、僕らは誰ひとり彼女を忘れられなかった。
1974年10月14日ー「日本の夢が終わった日」。長嶋茂雄引退試合と、三井物産爆破事件が同時に起きたその日、過激派の次代の「エース」・下山英二が突然、失踪した。下山を追う刑事、下山が愛し続ける女、下山と決別した弟。もう二度と会うはずのなかった男女が、42年ぶりに再会した時、最後に見たものは、絶望か?希望か?あの日、あなたは何をしていましたか?一気読み必至の書き下ろしエンタテインメント。
元大和梨川藩の磯貝徳右衛門は侍を捨て、料理人時吉となった。女房おちよと旅籠付き小料理のどか屋を開き人気を博している。そんなのどか屋に素人落語家で元乾物屋主の元松が宿をとった。夜ふけて元松は起きだし、思い詰めた顔で大川に向かった。これに気づいた、のどか屋の一人息子千吉は後を追う。不自由な左足で必死に走る。噺家のおじちゃんが死んじゃう。
長崎奉行を勤め上げて江戸に戻ってきた柘植長門守正寔は、作事奉行の任についていたが、ある日、謎の人物から屋敷に誘われる。疑心暗鬼で誘いに乗ると、そこには幕閣の若き俊英がいたー。「松平定信じゃ、見知りおけ」。そして、正寔が伊賀の血を引くことから、定信にある人物の守りを頼まれるのだが、時の幕閣の思惑が絡み、命を狙われることになり…。