2016年4月発売
公家を監察する禁裏付として急遽、京に赴任した東城鷹矢。将軍家斉の父治済の大御所号勅許を得るため朝廷の弱みを探れー。それが老中松平定信から課せられた密命だった。一方で今上帝は父典仁親王の太上天皇号を求める内意を幕府に示していた。定信の狙いを見破った二条治孝は鷹矢を取り込み、今上帝の意のままに幕府を操ろうと企む。朝幕の狭間で立ちすくむ鷹矢。巧妙な罠が忍び寄る。
もういっそ猫として暮らしたほうが幸せかも…。雷獣クロスケは心機一転、猫の友達を作ることにした!けれども猫たちはまったく仲間に入れてくれない。しょんぼりしているクロスケの前に突然現れたのは二匹の猫幽霊。おまえは猫の気持ちがわかってないから、仲間に入れてもらえないのだという。「だから弟子にしてやるにゃ!」さてさて、クロスケの奇妙な猫修業、はじまりはじまり〜。
東京の病院で監禁されているので助けて欲しいー奇妙な手紙が結ばれた風船が、京都府宮津にある建設会社の屋上で発見された。不審を抱いた社長の中西は、東京の探偵事務所に調査を頼むが、進展のないまま第二の風船が天橋立の展望台で拾われる。やがて、監禁に関わっていたと思われる家が焼失し、殺人事件も…!?十津川警部は、事件解明のために宮津へ飛んだ!傑作長篇ミステリー。
お嫁さんになったら自然と家事ができるようになるんじゃないの? 思っていたのとぜんぜん違うんだけどーー(「だれかの奥さん」)。借金して、地元に帰って、初体験の相手と不倫する。この先、どうやって生きていったらいいのか途方に暮れるーー(「ずくもない」)。あのころ思い描いていた未来に立ってない、ぜんぜん立ってない! いつのまにか遠くまできてしまった、私たちのための作品集です。
本好きの女の子チャーメインは、魔法使いの家の留守番を頼まれた。家の扉は王宮や過去の世界など、さまざまなところに通じているらしい。魔法の本をのぞいたせいで恐ろしい魔物に出会ってしまったり、魔法使いの弟子を名乗る少年がころがりこんできたり…。やがてチャーメインは、王宮で進行している陰謀を食いとめるため、遠国の魔女ソフィーと協力することに…? ソフィーの夫ハウルも、意外な姿で登場!「ハウルの動く城」シリーズ第三弾・完結編。
群馬県の山間にある人造湖で県会議員の絞殺死体が発見された。自殺・他殺両方の線で捜査が進められるが、被害者が議員になる前に教師をしていた高校の教え子で同級生だった三人に嫌疑がかかる。だが捜査は難航した。十年前の台風の夜におこった、ある凄惨な出来事が事件の奥に深く根をはっていたとは…。 群馬県警のベテラン刑事・財津善一が、新米エリート刑事・塩野忠を叱咤しながら地を這う捜査で真相を暴きだす! 書下し長篇警察小説。
白昼、新宿都庁前で殺人が発生。被害者は頚部のほとんどが損傷、無惨な姿と化していた。殺しの手口を遠距離からの狙撃と断じた警察は、半径四百メートル圏内にあるはずの現場を捜索。が、まったく痕跡が得られない。想定外の事態に焦る捜査本部に派遣されてきたのは、機動隊随一の若き狙撃手清水。猟犬と呼ばれるベテラン刑事の梶原と組み、防犯カメラにさえ姿を現さない犯人の逮捕に奔る。
三重県桑名市。廃校まであと一年の小学校にJAZZバカの先生がやってきた。退屈な毎日と家の手伝いから抜け出したい子どもたちは、急遽「ジャズ部」を作ることに!一方、町の雇用を支える蛤サプリの工場が経営不振から大規模なリストラを行うことになり、大人たちは大モメ。親たちの事情に振り回されて悩み、慣れない楽器に悪戦苦闘しながらも子どもたちはJAZZの楽しさに目覚め、やがて…笑って泣けて、ちょっとしんみり。元気が出ること間違いなしの青春ローカル小説!単行本スペシャルエッセイ「監督、三重を行く」収録!
古代ギリシア貴族の血をひく美貌の青年コノン。アラナがただ一人思いを寄せるのは、いまも彼だけだ。18歳の彼女に結婚を申し込んでくれた日を忘れたことなどない。その直後、横領した弟の窮地を救うために、やむなく好色な雇用主に身を差し出さなければならなかっただけにー。ところが、仕事の都合でコノンと再会し、アラナは身震いした。かつての情熱は影をひそめ、ギリシア神話の残酷な神々のように血の凍るような蔑みで彼女を見下したのだ。彼は求婚を拒絶したアラナを激しく憎み、復讐心に燃えていた。
フェイスは病室に現れた夫を見て凍りついた。セクシーでいかにも傲慢な大富豪ラウル・バスケス。妊娠を機に、結婚に踏み切ったふたりだったが、式間際まで流産していたことを告げられなかったことで、「僕と結婚するためにわざと妊娠したんだな」とラウルに冷たい言葉を浴びせられたのだ。苦痛に耐えかねてフェイスは衝動的に式場を飛びだし、事故で重傷を負った。だが、委縮するフェイスをラウルは強引に連れ戻すと所有欲もあらわにベッドに組み敷くのだった。
カルロ・フランコニはいまをときめくイタリアンシェフだ。彼のクッキングブック発売にあたり全米宣伝ツアーが企画された。カルロに同行するのは宣伝係のジュリエット。初めて会った瞬間に彼に心惹かれるが、ジュリエットはとっさに関心のないふりをした。料理の腕前も確かだが、カルロは女性の心をとろかせるゴージャスな外見を兼ね備えた百戦錬磨のプレイボーイなのだ。そんな男性に振り回されるのはご免だった。
美貌の実力派女優・鈴子は人気絶頂のなか、年上のちょっと冴えない脇役俳優・由崎克彦と結婚。撮影所に弁当を届けにきていた女子高生・佳恵を自宅の家政婦として招き入れた。やがて赤ん坊が生まれたが、幸せな日は長くは続かなかった。自宅で赤ん坊が亡くなった状態で発見されたのだー。スキャンダラスに報じられた事件から数年後、由崎家には四つになる娘の日阿子と、新しい家政府の暁子がいた。しかし、暁子にはある「秘密」があったー。母と子の深い愛というテーマに挑んだ感動のミステリー。
ジャンルを越え、小説の面白さをとことんまで追求した画期的アンソロジー。第15巻は「冒険物語」の原点ともいえる「海」を舞台とした傑作小説を、SFから恐竜ものまでバラエティ豊かな全14編収録! ●編集委員/逢坂剛 大沢在昌 北方謙三 船戸与一 夢枕獏 [編集室から] 海の巻である。そもそも「冒険」物語は大航海時代のイギリスに始まった。 「冒険」イコール「大海」だった時代があったのである。 鎖国と呼ばれた時代があったせいか、日本にはこの種の小説の伝統がない。 なければ詭弁を弄しても作ってしまおう。編集委員諸氏もそう言っておられる。 海が舞台の椎名SF長編と景山恐竜長編を核にすえた。 やはり、「冒険」に「海」がないと、画龍に点睛を欠くのである。 [収録作] 【長編】 椎名誠「水域」 景山民夫「遠い海から来たCOO(クー)」 【短編】 小川未明「赤いろうそくと人魚」 蘭郁次郎「地図にない島」 笹沢左保「赦免花は散った」 北杜夫「遙かな国 遠い国」 田中光二「二人だけの珊瑚礁」 中島らも「セルフィネの血」 熊谷達也「潜りさま」 【掌編】 川端康成「竜宮の乙姫」 夏目漱石「第七夜」 三島由紀夫「伝説」 生島治郎「暗い海暗い声」 原田宗典「岬にいた少女」
子供も、親も、保育士さんも、先生も、心をつなげば大きくなれる──。四人家族の横山家の歩みを中心に、人間の成長を描く九つの連作短編。『おれのおばさん』シリーズの佐川光晴が贈る感動作!!
都内にある高級老人ホーム「メゾンメトセラ」。ガンの発生率が高いという噂を幼馴染みの千足から聞き、フリーライターの小暮アキは興味を抱く。併設される不破病院では、ガンの最新研究が進められていた。そんな中、不破病院でアルバイトを始めた千足が、不慮の死を遂げた。特殊なウイルスに院内感染したためだというがー。旧約聖書に登場するアダムの子孫「メトセラ」は、969歳まで生きた。その名を冠する「メゾンメトセラ」には、人類の未来を左右する重大な秘密が隠されていた。人間は、今もなお、進化の過程にいる。それは、理想郷への道程か。悪夢への誘いか。怒涛のサイエンス・ミステリー!