2016年5月21日発売
64歳で航海士としての勤めを終えた楠木健太。妻に先立たれ小樽にひとり暮らす彼は、あるきっかけで「終活」をはじめた。それは彼にとって、自分らしい人生の終え方を考えるためのプロセスでもあった。エンディングノート、財産管理や後見人の契約・葬儀・お墓・遺影の準備など終活を進めていく楠木を心配しつつ見守る姪の理沙と夫のペッカ。フィンランド人を父に持つペッカはフィンランドにある「オーロラ観測村」の後継者で、ふたりはまもなく日本を発ち移住することになっていた。「人生の最終章」を描く感動小説!
アニメ、マスコミ関係者の集う、新宿ゴールデン街のバー『蟻巣』。ミステリ好きの客たちがあれやこれやと推理を語り明かした日々も今や昔、ついに閉店の日を迎える。鍵の返却までのわずかな時間、常連客たちは、チェシャ猫をなでながらパイプを燻らせていた、在りし日のマンガ家・那珂一兵の姿を思い出す。その一兵が遭遇した二つの事件を、別れの酒の肴に語り始め彼らがたどり着いた、衝撃の真相とは? 近江由布子、新谷知久、可能克郎と辻ミステリのオールスターキャストで贈る推理作家協会賞受賞シリーズ最終作。
内気な中学二年生・千鶴は、母親の言いつけで四谷のカルチャーセンターの講座を受けることに。彼女はその料理教室で、同い年だが性格も学校も違う桃・真紀・公子と出会う。ところが、教室内で盗難が発生。顛末に納得がいかなかった四人は、真相を推理することに。多感な少女たちが、カルチャーセンターで遭遇する様々な事件の謎に挑む!気鋭の著者が贈る校外活動青春ミステリ。
異界と現実世界との間に産する竜卵石は、主の気を受けて玉妖と呼ばれる精霊を宿す。中でも伝説的なのが、“難波コレクション”の七つの玉妖だ。そのひとつ“くろがね”を受け継いだ修業中の驅妖師・彩音は玉妖に魅入られた姉を救おうとするが…。人々の目に見えない妖が跋扈する皇国大和を舞台に、少女驅妖師と相棒くろがねが妖に挑む。創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞作。
不登校の息子は、オンラインゲームに明け暮れる毎日。息子を心配する母の思いがあふれて…ある日急に、父が猫を飼いだした。せっせと世話をするその背中には深い愛情が込められていて…初めて彼女ができた。クリスマスを前に、彼女とすごすことを母に言いだせない。そんなとき母は…両親への愛を描いた短篇集。