2016年5月25日発売
花の名手・池坊専好と茶の名人・千利休は互いに認め合い深い友情で結ばれている。ところが利休は豊臣秀吉の命で非業の死を遂げた。専好は花に救われ立ち直ったが、周りの罪なき者たちが、またもや秀吉のせいで命を落としていく。怒りに震える専好は秀吉への仇討ちを決意した。それも刃ではなく花を用いた方法で…。美と誇りを守り通した男たち。華道家元・池坊に伝わる史実をもとに描かれた感動の物語。
中学校教師の宮本陽平は、子どもたちが家を出て、妻・美代子との初めての二人暮らしに困惑中。ある日陽平は、美代子の署名入りの離婚届を見つけてしまう。彼女は離婚を考えているのか?唯一の趣味である料理を通じた友人の一博と康文は、様子のおかしい陽平を心配するが、彼らの家庭も順風満帆ではなく…。「人生とは、腹が減ることと、メシを食うことの繰り返し」。50歳前後の料理好きオヤジ3人を待っていた運命とは?
疲れた心が元気になる、夜だけ営業の定食屋「ばんめし屋」。芸能界を追われ、故郷の芦屋にあるこの店に駆け込んだ元俳優の海里にも、新たな春が訪れた。海里の師匠で店長の夏神は、辛い過去から踏み出すためにリハビリ中。海里自身は、料理への興味と、俳優という職業への複雑な感情を持て余し気味。そんな時、隣の警察署の刑事、仁木から、ある木版画家の悩みについて相談され…。笑って泣けるお料理青春小説、新章開店!
池袋のサンシャイン水族館で、展示通路の壁に見つけた不思議なカフェの扉。いつのまにかそこの常連となっていた僕、来栖倫太郎は店主の深海とともに、客が心の海に落とした『宝物』を捜すようになっていた。その日もいつもと同じように扉を開けた瞬間、店内の様子が変わっていることに気がついた。深海の姿はなく、まるで何年も放置されていたかのように、暗く分厚く埃が積もっている。一体何が起きたんだ…!?
あらゆる男子生徒から熱視線を浴びまくる超絶美少女・ビアンカ北町は、生物研究部員としての生殖の研究が大好き。ウニを使ったいつもの実験に飽き飽きしていたところで、ついに閃いてしまう。毎日凄まじい愛の波動を送ってくる可愛い後輩・塩崎哲也に、研究に協力してもらおう!そんな中、部活の先輩・千原信忠が実は未来人だったと判明して!?まさかまさかの美少女ライトノベル、まだ見ぬ筒井康隆の新世界、開幕!
高校生の夏生はかつて、友人達と一斉に、記憶を失うという不可解な経験をしていた。夏生を訪ねてきた猪瀬という新聞記者は、それは彼が追っている「記憶屋」の仕業だという。忘れたい記憶を消してくれる、記憶屋。夏生は、その行為が悪いことだとは考えていなかった。だが記憶屋の正体が親友の芽衣子ではないかと疑われ、夏生は彼女の無実を証明するために猪瀬の記憶屋探しに協力するが…。切ない青春ミステリ、待望の続編。
小春が祇園で祖母・吉乃の和雑貨店「さくら庵」の手伝いを始めて四か月。店で和菓子を作っている叔父の宗次朗ら楽しい親戚や、京都で出逢った不思議な出来事のおかげで、小春は自分の“特異な力”を少し受け入れられるようになった。不登校だった高校に通い始めようと決めた小春だが、その幕開けは波乱含みでー!?さらに、微かに想いを寄せる大学生のはとこ・澪人に、ある危機が迫って…。心温まる優しいライトミステリ。
同じ屋根の下で暮らす女ともだち。ふたつきに一度だけ会う親子。単純なことばでは表せない“かぞく”。すばる文学賞作家が切り取る6つの関係性の行方はー。紡がれるひと言ひと言が心を揺さぶる、感涙必至の短編集。
平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。運命は一転、過酷な思春期を送った圭輔は、長じて弁護士となるが、逮捕された達也から依頼が舞い込む。「私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。私の弁護をしていただけないでしょうか」。裁判を弄ぶ達也、巧妙に仕組まれた罠。追いつめられた圭輔は、この悪に対峙できるのか?衝撃と断罪のサスペンスミステリ。
とある地方の商店街の一角に佇む古びた酒店。二代目店主の片桐章は、本業のかたわら、配達を副業としていた。片桐のもとには厄介な依頼が舞い込んでくる。アイドルに差し入れを、いじめる上司に悪意を、そして未来の自分に届け物を。無理難題にも真摯に対応していく片桐だったが、彼もまた心に大きな忘れ物を抱えていた。なぜ酒店の店主が毎日黒いスーツで黙々と働いているのか?その秘密は彼の隠された過去にあったー。
京都にひっそりと暮らす女性作家には、忘れられない男がいた。妻子がいながらも、女癖が悪く、夢を追いつづけた男は、彼女の身体と心に燃えたつような快楽の痕を残していた。夏のある日、取材で幽霊が見えるという老女に会う。愛する男を必ず喪うという数奇な運命に翻弄される老女の話を聞くうちに、封印したはずの愛の記憶が蠢きだす…。古都を舞台に、男女の愛欲と情念が絡み合うさまを、艶やかな筆致で描く。
江戸時代中期。忍者派遣業を営む三日月村で育った美貌の女忍び・コウは、旗本・加納家に派遣される。コウの任務は、十万石の大名である藤代家の娘・重姫を誘拐してくること。かつて伝説の美少女と噂された重姫は藤代家当主の溺愛により、ここ10年、人前に姿を見せずにいた。しかし、三日月の夜に屋敷へと忍び込んだコウが見つけ出したのは、引きこもって丸々と太った重姫の、変わり果てた姿だったー。女忍びの真っ直ぐな生き方が心に響く。「猫弁」シリーズの著者による、時代劇エンターテインメント、開幕!!
ウチナーンチュ(沖縄人)の彩華はしっかり者の15歳。小説家志望の父とおんぼろアパートで2人暮らしだ。ある日、隣室に同じ歳の夏海が東京から引っ越してきた。物静かな彼女は、心に傷を抱えていた…しゃべる青蛙神、猛烈な台風、そして飲んだくれの大人たち。大らかな自然とちょっぴり不思議な事件を通して、正反対の2人は次第に気持ちを通わせていく。少女たちの絆と成長をのびやかに描く温かな物語。
採薬御用の旅から戻った佐平次は、蝉の声を聞きながら、駒場薬園にある自宅でくつろいでいた。そこへ、同心の省吾から相談事を持ち込まれる。吉原で死亡した男のいた部屋にあった薬包の中身を、調べて欲しいというのだ。出所を突き止めるため、薬屋などに聴取を重ねるうちに、日本には存在しない薬の成分が含まれていることが判る。吉宗の協力を仰いだ佐平次は、やがて大きな陰謀にたどり着くが…。人気シリーズ第3弾。
小学六年生の山内くんは生まれもっての災難体質。昔そんな彼にお守りをくれたのは、口から火を吹く不思議な子・紺だった。「おまえに見せてやるよ。あっち側の世界を。隠り世を」紺と再会した山内くんは、彼女によってこの世ならぬものが見える目にされてしまう。紺とその仲間たちと一緒に、次々奇妙な事件に遭遇する山内くん。友情、呪い、神かくし、そして恋ー忘れられない夏がはじまる。青春オカルトファンタジー。
ホラー映画の主演を依頼された劇団員の恵子。しかし、監督が不審死、恵子は居合わせたフリーライター・小堺と共に、現場にあった「呪いのビデオ」を観てしまう。2人は貞子に呪い殺される前に、入れば伽椰子に捕まり二度と戻れなくなるという「呑む家」への侵入を決意。呪いの相殺を狙い、その顛末を映像に記録することに。撮影班が次々と姿を消していく中、ついに貞子と伽椰子が姿を現わし…。ホラーの歴史を変える最恐対決!
親戚の法事の帰り、夜中に山道で迷った片山刑事と妹の晴美。やっと人家を見付けた…と思いきや、乗っていた車が地雷を踏んで大破した。2人はそれぞれ、数十年敵対している大泉家と沼田家に助けられるが、身動きが取れない上に、一緒にいたホームズまで行方不明に。不安が募る中、大泉家側の男が死体で発見された。事故か他殺か。お互いの家を守るための泥仕合が始まった!表題作ほか5編を収録。人気シリーズ第39弾。
中学校教師の宮本陽平が見つけた離婚届には、妻・美代子の署名が入っていた。彼女に問いただすこともできずに途方に暮れる陽平。そして料理仲間の一博の家では、料理講師のエリカとその臨月の娘がなぜか居候。陽平と、幼なじみの康文も巻き込んだ出産騒動に。50歳前後のオヤジ3人それぞれの奮闘の行方はー?「メシをつくって食べること」を横軸に描き出す、夫婦、家族、友情。人生の滋味がぎゅっと詰まったおいしい物語。
モテない24歳の貧乏青年、磯野は公園で出会った紳士にスカウトされ、鳩が恋文を運ぶサービスに関わり始める。次第にやり甲斐を感じる磯野だったが、ある日、伝書鳩が「クラウジウス団」を名乗る集団に捕らえられてしまう。彼らの目的は「この世のあらゆる恋愛を妨害すること」。かくして、鳩を巡るナンセンスな闘いが幕を上げたー。コミカルな語り口で現代男子のリアルを描く。第1回野性時代フロンティア文学賞受賞作。