2016年発売
奥右筆組頭に出世し幕政の闇にふれることになる立花併右衛門も、病弱な妻と幼い瑞紀を抱える無役の小普請だった。併右衛門の盾となる隣家の次男柊衛悟は、剣の道も己の将来も壁にぶちあたり、もがいていた。衛悟の仇敵冥府防人、冥府防人を使役した権の亡者一橋治済ら、それぞれの物語前夜の秘話が明らかに!
下士上がりで執政に昇り詰めた桐谷主水。執政となり初登城した日から、忌まわしい事件が蒸し返され、人生は暗転する。己は友を見捨て出世した卑怯者なのか。自らの手で介錯した親友の息子が仇討ちに現れて窮地に陥る主水。事件の鍵となる不可解な落書の真相とはー武士の挫折と再生を切々と訴える傑作。
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる! 第一部 山賤ノ里、一ノ谷 図書館の魔女と手の中の言葉 1 やまざとでのさいごのいちにち 2 しゅったつのときはちかづく 3 ここからさきはひとりでいきなさい 4 ほんをよんでいるときにはなしかけては 5 わたしのいっていることがわかっているか 6 それにきがついていたのはまじょのほう 7 とけいまわりにおりていくこと 8 かすかなそけいのかおり 9 うえにみつくびがまっています 10 みつくびはめをほそめてねめつけていた 11 まじょのすまいはまるでろうごくかとりでか 12 まじょがてがみをかいているところをみる 13 きりひとのてならいがはじまった 14 あたらしいしゅわをつくる 15 あらゆることがぶんけんにのっている 16 すーくにおりるみちじゅんがちがう 17 なかにわのいどにはいらせてもらう
図書館のある一ノ谷は、海を挟んで接する大国ニザマの剥き出しの覇権意識により、重大な危機に晒されていた。マツリカ率いる図書館は、軍縮を提案するも、ニザマ側は一ノ谷政界を混乱させるべく、重鎮政治家に刺客を放つ。マツリカはその智慧と機転で暗殺計画を蹉跌に追い込むが、次の凶刃は自身に及ぶ!第45回メフィスト賞受賞作。
化粧品メーカーの研究部でファンデーション開発に奮闘する秋山箱理、27歳。ある日、弟が婚約者を連れてくるが、祖母だけは猛反対!それをめぐり、家族にさえ素顔を見せない祖母の“厚化粧”の“謎”が明らかに。女にとって化粧とは何かを鮮やかに描く、希望に満ちた成長物語。
あのとき、ふたりが世界のすべてになったーー。 ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。別れた恋人との約束の植物園に向かう「日曜日はどこへ」他、なにげない日常の中でささやかな光を放つ瞬間を美しい言葉で綴る。谷崎潤一郎賞受賞作。 収録作:アイスクリーム熱/愛の夢とか/いちご畑が永遠につづいてゆくのだから/日曜日はどこへ/三月の毛糸/お花畑自身/十三月怪談 。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。 「アイスクリーム熱」、映画化決定! ☆映画「アイスクリームフィーバー」 2023年夏公開 吉岡里帆、モトローラ世里奈、詩羽、松本まりか 千原徹也 初監督作品 アイスクリーム熱 愛の夢とか いちご畑が永遠につづいてゆくのだから 日曜日はどこへ 三月の毛糸 お花畑自身 十三月怪談
帆村荘六、半七、フェリシティ、明智小五郎、鬼平、三毛猫ホームズ、金田一耕助、ミス・マープル…。誰もが大好きな名探偵たちが、現代文学の名手13名の筆によって新たな息を吹き込まれた。古今東西の難事件が解決されるばかりではなく、ミステリーのあらゆる楽しみ方を存分に堪能できるアンソロジー。
たまたま見た「南部芸能事務所」のお笑いライブに魅了され、事務所の研修生になった新城。コンビを組んだ溝口との厳しい稽古を経て初舞台に立ち、社長からギャラとして「千円」を渡されるが…。弱小お笑いプロダクションを巡る面白き人々の人間模様を、誰にも書けない筆致で描く連作短編集、第2弾!
二〇一一年八月、出版社取締役の菊池は、膵臓がんで余命一年、と宣告された。もはや治療の術もない。妻とは五年前に離婚、娘二人も独立し、海外で暮らしている。生きるも死ぬも独りの身の上の菊池は、運命を受け入れつつも、思索の末に神戸に移り住む。二十年前に知った、ある不思議な女性を探すために。
菊池は神戸の街で、山下やよいを探し続ける。彼女は「痛みを取り除く力」を持つ女性だった。二十年前に電話口で菊池の足の怪我を瞬時に治し、さらに自身もその力で若返り、十二歳年下の男と結婚した。その後に起こった、あらゆる力をねじ伏せる阪神・淡路大震災を経て、彼女は、今どこで生きているのだろうか。
妻が料理するあいだ風呂を入れようと思ったが(「カレーの話」)、部屋に住み着いた幽霊との10年越しの約束(「伊藤さん」=採点は各9.5点)。奇想天外なストーリーやどんでん返しだけじゃない。人生のしっとりした情感も味わえるキラリと輝く60編。発想方法や文章作法もよくわかる選評も必読!文庫オリジナル。
坊っちゃんは、実は高学歴者で無免許教師?『坊っちゃん』には、自らも教員だった漱石の現場感覚が息づいているー。「学校小説」としての『坊っちゃん』の意外な実態、現代に通じる教育問題を語り尽くす!
理想のヒーロー像を知り尽くしたロマンス小説家のチェルシーは、この世にそんな男性はいないと割り切る現実派。ところがある日、親友のジョージィから外科医ジョナサン・ウィンターを紹介され、まさに自分の思い描くヒーローのようなその容姿にうっとり見とれてしまう。だがいざ話してみれば、いかにも堅物のエリートらしいジョナサンの発言にはむっとさせられるばかり。ついにロマンス小説までけなされて、思わず得意の鋭い舌鋒で彼をやり込めてしまうが…。実力派コールターの貴重な初期ロマンス。『ぬくもりの余韻』関連作。
幼くして両親を亡くしたクリスタは、これまでずっと、後見人のジャレッドが敷いたレールの上を走ってきた。高校を卒業するとすぐにヨーロッパの教養学校に通わされ、2年の留学期間を経て今、ようやく故郷へ戻ってきたところだ。これからは何事も自分で考え、自由に飛びまわりたい。そう決めた矢先、ジャレッドから信じられないことを告げられる。きみにはすでに決められた結婚相手がいるのだ、と。ジャレッドの暗く謎めいた瞳を見て、彼女はすべてを悟ったー相手とは彼自身のことで、この結婚には愛などないということを。
イタリア人の恋人にプロポーズされ、ドナは幸せだった。トニは子供っぽくて少し頼りないが、私を愛してくれている。孤児だったドナの憧れー家族を持つ夢がもうすぐかなう…。ところが彼の実家を訪れると、冷たい歓迎がドナを待っていた。傲慢そうなトニの兄リナルドが、手切れ金を提示してきたのだ。家業を継ぐ彼には、ドナが裕福な一族を狙う女に見えるらしい。憤って拒否したが、リナルドが次に放った言葉にドナは驚愕した。「トニはいつか君を忘れるが、僕たちはお互いを忘れられない」なんという人!結婚を阻止するために、私を誘惑する気なの?
あるところに旅の魔女がいました。彼女の名はイレイナ。旅人として、色々な国や人と出逢いながら、長い長い旅を続けています。魔法使いしか受け入れない国、筋肉が大好きな巨漢、死の淵で恋人の帰りを待つ青年、滅んでしまった国に独り取り残された王女、そして魔女自身のこれまでとこれからのこと。わけのわからない可笑しな人や、誰かの美しい日常に触れながら、今日も今日とて魔女は出逢いと別れの物語を紡いでいきます。「構わないでください。私、旅人なものですから。先を急がなければならないのです」
ある日突然、美の女神アフロディーテにより異世界“アーテルハイド”に送りこまれた少年・カゼハヤソータ。その際ソータに与えられた職業は、ぶっちぎりの不人気職業「魔物使い」だった!どうしたものかと途方に暮れるソータであったが、想定外のバグが発生!「ふぎゃああああぁぁぁ!?待ちなさいよ!嘘でしょ!?どうして!?」なんと!ソータは本来仲間にできないはずの女神アフロディーテを使役してしまう。女神ゲットで大量の経験値を得たソータは、楽しく自由な生活を送ることにー!?
そこは生まれながらにして役職が定められた世界。魔王を倒す役職“討伐士”の少女ヘルヴェルは「弟を愛でたい!溺愛したい!寵愛したい!」弟フイリを可愛がりすぎるおかしな勇者様だ。世界一役立たずな“ハズレ役職”の弟と、個性豊かな魔王討伐隊の旅は続くー。だがフイリが自身の役職の真実に気付く時、冒険は想定の範囲外な急展開に突き進む!呪われた異能“主人公補正”の秘密とは?これは「命の使い方」を問う、選択の物語。「-魔王を斃せ。愛する者を『力』に変換て」