2017年11月8日発売
殺人事件から外され、自衛官の交通事故死を捜査することになった警視庁の田島と新人女性刑事・毛利。防犯カメラに写っていた自衛官・石倉に朝霞駐屯地で事情を聴いていたところ、警務官の松井に退出させられた。そして田島は上司から「朝霞には近づくな」と忠告される。独自の捜査を続ける田島らにより、事故被害者と石倉がPKOで中央スーダンに派遣されていたことが判明。事故の背景に何が?怒涛の展開が続く鮮烈な警察小説誕生!
棚旗奈々は妹・沙織の新居を訪れるべく、桑原崇と金沢へ来ていた。白山神社の総本宮白山比〓(め)神社を参拝した二人は、殺人事件に巻き込まれる。手取川で見つかった首なし死体、現場付近で昏倒していた男、現場から走り去った女。すべてがひとつに繋がるとき、白山の謎も明らかに!大学一年生の奈々が浅草を訪れ、崇の博覧強記ぶりを目の当たりにする「江戸の弥生闇」も収録。書き下ろし最新作!
検察が押収したわいせつ図画販売罪の証拠品、その中のフィルムの映像に妻と似た女性の姿を見つけた検察官の笹田は独自調査に乗り出すが、たどり着いたのは思いもよらない残酷な真相だった(表題作)。普通の人々が歪んだ事件を引き起こす恐ろしさと悲しみを巧みに描き、読者の予想を裏切る驚愕の結末を鮮やかに提示する。昭和の名手の妙技を堪能できる、文庫オリジナルの短篇傑作選。
定年になった三沢平太郎は退職金と貯金を合わせて300万円を5人の娘と自分で平等に6等分することにした。その金を元手に喫茶店を開いた長女、お金に困っているという恋人に貸した次女、旅行の資金にする三女、株式に投資する四女、会社で高利貸しを始めた五女、小料理屋の女に入れあげる父、平太郎。それぞれの50万円の使い道から三沢家にドタバタ劇が巻き起こる?!
戦争に負けた日本。男たちはどうやって生きていくのでしょうか?国産旅客機の開発を夢見る元中尉、進駐軍専用キャバレー経営から、みんなに夢を売る観光事業に転身する男。家族をかかえ悪戦苦闘しながらも、夢は少しずつ実現に向かうのでしょうか?妻を空襲で亡くし、ひとり娘の成長に気をもんだり、戦争未亡人との恋に悩んだり…。阿川弘之の娯楽傑作。
化土ーそれは積み上げた先から崩れ落ちる土のこと。崖下にたまる化土は、淀んだ政治とそこにどっぷり浸かった役人たちの象徴だ。そんな化土にからめとられ、殺された男がいた。老中・水野忠邦配下で天保の改革推進派の幕臣・栗橋伊織である。故あって廃嫡されていた伊織の兄は、かつての想い女だった弟の妻・花重とともに、敵を追いかけ、印旛沼に向かうが…。時代小説の名手が紡ぎ出す感動の人間ドラマ。
留学先の米国で奴隷同様の扱いを受けながら、首相にまで上り詰めた男がいた。教師、官吏、相場師、銀行員と様々な職を経験し、失敗を繰り返しながらも、性来の楽天主義と自学自得の精神で、日銀総裁、大蔵大臣、首相となった高橋是清。世界恐慌、日露戦争の戦費調達など、大国を相手に国家の誇りを捨てず堂々と渡り合い、幾度も日本の危機を救った男の生涯に迫った力作評伝。