2017年12月24日発売
森の中でヴァン・チールは裸で岩の上に寝そべる若者に出会う。浅黒い肌に獣のような目をしたこの野生児は「子どもの肉にありついてから二ヵ月はたつ」と不気味なことを言うのだった…「ゲイブリエル・アーネスト」他、全36篇。初期短篇集『ロシアのレジナルド』、没後出版の『四角い卵』に、その後発掘された作品を収録した新訳サキ短篇集第四弾。サキの生涯と作品を概観したJ・W・ランバート「サキ選集序文」を付す。
〈英連邦作家賞〉受賞作 第一楽章「人生」 21世紀初め、ブルガリアの首都ソフィアのうらぶれたアパートの一室に暮らす100歳近い盲目の老人ウルリッヒ。貧しく、身寄りもない彼は、記憶を探り、ほぼ1世紀にわたる自らの人生を辿り直して日々を過ごしている。 第二楽章「白昼夢」ブルガリアの地方の町に生まれた少年ボリス。幼くして両親を失うが、音楽の才能に恵まれ、天才的なジプシーの音楽家からヴァイオリンを習う。ある日、ひょんなことからニューヨークのやり手の音楽プロデューサーに見出される。 グルジアの首都トビリシで生まれた姉弟、ハトゥナとイラクリ。共産主義が崩壊し、家族は没落の一途を辿るが、二人はアメリカに渡り、力を合わせて生きていく。 「第一部が記憶を繋ぎ止めようとしているとすれば、第二部は逆に、記憶がすべてではないと言っているかのようだ。(中略)この『ソロ』という作品は、ひとりの老人が自らの人生と折り合いをつけるための壮大な試みだったのである。」(「訳者あとがき」より) 「並外れた、驚くべき摩訶不思議な小説」とサルマン・ラシュディが絶賛した本書は、2010年度英連邦作家賞を受賞した。気鋭のインド系英国人作家による、18か国で翻訳された傑作長篇!
古書価格の高騰で「読みたくても読めなかった小説No.1」とも言われ、日本戦後文学史の中に埋没してしまった「ポストモダン小説」の怪作が、読みやすくなった新たな組版(1段組)かつ新装幀で甦る! ドストエフスキー、ゴーゴリ、カフカ、聖書、永井荷風などを俎上に載せ、アミダクジ式に話を脱線させながら読者を迷宮へと誘い込む「インターテクスチュアリティ」の極北は……まさかの官能小説? キャンパスノベル? 妄想ミステリー? 堂々の680ページ&原稿用紙1700枚! ◉巻末付録 作者解読:多和田葉子 作品解読:坪内祐三 ◉愛蔵版特典 1著者が愛用した落款による検印入り 2未発表作品を含む8作のレプリカ生原稿による別冊写真集(32頁)を同梱 ◎壁の中 第一部 《贋地下室》=空中にとび出した地下の延長の行き止り 第二部 『濹東綺譚』の作者と《贋地下室》の住人との対話 ◎付録 作者解読「再読 後藤明生ーー小説『街頭』」多和田葉子 作品解読「『壁の中』は素晴らしいキャンパスノベルだ」坪内祐三 ◉愛蔵版特典 1著者が愛用した落款による検印入り 2未発表作品を含む8作のレプリカ生原稿による別冊写真集(32頁)を同梱