2017年4月5日発売
狸の名門・下鴨家の矢三郎は、親譲りの無鉄砲で子狸の頃から顰蹙ばかり買っている。皆が恐れる天狗や人間にもちょっかいばかり。そんなある日、老いぼれ天狗・赤玉先生の跡継ぎ“二代目”が英国より帰朝し、狸界は大困惑。人間の悪食集団「金曜倶楽部」は、恒例の狸鍋の具を探しているし、平和な日々はどこへやら……。矢三郎の「阿呆の血」が騒ぐ!
福岡市内の団地暮らしだった加奈子は、父の突然の思いつきで、山々に囲まれた村に引っ越すことになった。都会とのギャップにとまどいながらも、楽しい遊びを教えてくれる同級生たちと触れ合い、自然の恵みに満ちた田舎の暮らしに次第に魅了されていく。中でも特別な存在は、童話に出てくるような家に住む素敵な笑顔のおばあさん・おハルさんだった。 だが、大人たちの中には彼女を敬遠する人もいる。それはおハルさんが毎月行っている死刑囚への慰問が原因だった。なぜおハルさんは、死刑になるような人に会いに行くの……? そんな素朴な疑問から、加奈子はおハルさんからさまざまな話を聞くようになり、命の重みや死について、生きていくことについて、考えるようになっていく。 福岡・糸島の豊かな自然の中で、子どもから少女へ移りゆく主人公の姿が瑞々しく描かれ、大人も子どもも共有できる作品として、2016年1月、第31回坪田譲治文学賞を受賞。 2015年12月にはNHK福岡放送局の開局85周年ドラマとして映像化され、おハルさんを樹木希林が演じて話題を呼んだ。このドラマはその後、第42回放送文化基金賞・テレビドラマ部門において番組が奨励賞を、樹木希林が演技賞を受賞するなど高く評価されている。 【著者プロフィール】 1963年、広島県生まれ。歌人、作家。早稲田大学客員教授。1996年に第7回歌壇賞、2016年に第31回坪田譲治文学賞を受賞。歌集に『春原さんのリコーダー』『青卵』『東直子集』『十階』、小説に『水銀灯が消えるまで』『とりつくしま』『さようなら窓』『薬屋のタバサ『私のミトンさん』『トマト・ケチャップ・ス』、エッセイ集に『耳うらの星』『千年ごはん』『七つ空、二つ水』』など著書多数。
婚約者から突然別れを告げられた田中妙は、道端で大泣きしていたところを拾ってくれた菫さんが営む雑貨屋「ビオレタ」で働くことになる。そこは「棺桶」なる美しい箱を売る、少々風変わりな店。何事にも自信を持てなかった妙だが、ビオレタでの出会いを通し、少しずつ変わりはじめる。人生を自分の足で歩くことの豊かさをユーモラスに描き出す、心にしみる物語。
<内容紹介> パズルが好きな貧弱高校生・慧一が、隻腕の剣士・龍心に連れていかれたのは「でこぼこ剣士会」なる剣道同好会。それぞれに事情を抱える個性派揃いのメンバーの中で、慧一は「本当の強さ」に向き合っていく……。 剣士たちのまっすぐな想いが胸を打つ、青春スポーツ小説! <プロフィール> 向井湘吾 1989年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部卒業。剣道五段。『お任せ! 数学屋さん』で第2回ポプラ社小説新人賞を受賞し、2013年にデビュー。著書に「お任せ! 数学屋さん」、「トリプル・ゼロの算数事件簿」シリーズのほか、『リケイ文芸同盟』『「電脳マジョガリ」狩り』などがある。