2017年9月6日発売
一九七八年のニューヨーク。ヤンキースタジアムでピーナッツ売りをする作家志望の三十代・独身男テッドは、ある夜病院からの電話で、母の死後は疎遠になっていた父が末期がんと知る。久しぶりに実家に帰ったテッドは、レッドソックスが試合に勝つと、父の具合が良くなることに気づく。父の悪友たちを巻き込み、快復のために大芝居をうつテッド。ついに、同率首位のレッドソックス対ヤンキース、最終決戦の日がやって来た。『Xファイル』のモルダー捜査官による、まさかの小説第二弾。不器用な父と息子の関係に笑って泣ける、唯一無二のドゥカヴニー・ワールド!
二ッ坂高校に入学した東島旭は、元美術部で運動音痴。先輩の宮路真春の強さに憧れて“なぎなた部”に入部すると、過酷な稽古の日々が始まった。インターハイ予選で、二ッ坂はノーマークの國陵に敗北。なかでも一年生エースの一堂寧々の強さは圧倒的だった。山奥の寺で地獄の夏合宿を経験し、成長を遂げた二ッ坂。しかし秋の大会で宿敵の國陵と対戦し、まさかの出来事で真春は部活動に姿を見せなくなってしまう。精神的な支柱を失った二ッ坂を一つにするため、旭は動き出すが…。“なぎなた”に全てをかける女子高生の青春を瑞々しく描いた映画を完全ノベライズ!
彦根藩士の子、賀川玄悦の生みの親は、おなかの子が出てこられずに亡くなってしまう。医者を志したが許されず、独力で鍼や按摩の技術を習得し京都に出る。ある日、お産で苦しむ隣人の女性を自らの技術で救った。その技術は評判となり回生術と名付けた。その後、玄悦は難産でひどい扱いをされている商家の妾・お糸を引き取った。次第に、お糸に特別な感情を抱くようになる。三人の子供との関わりや妻のお信とお糸のことに悩みながらも、多くの命を救った。山脇東洋を始め、一流の医者たちからもその技術を認められた男。
真紀と未央と佳乃は大学時代の同級生。結婚を経て自由に生きる未央、田園調布の一戸建で温かい家庭を築いている佳乃。三十五歳独身の真紀は幸せそうな二人が羨ましい。真紀は、結婚を決断してくれない新宮との未来に不安を抱きながらも、彼と身体を重ねる日々。そんな真紀の趣味は、新築マンションのモデルルールめぐり。素敵な家で暮らす自分を想像しながら揺れる気持ちを落ち着かせる。ある日、大地震が起こり、女友達が置かれている厳しい現実や悩みが露呈する。女の幸せってなに?真紀が最後に下した決断は…?
ペックランド人民党中央委員会委員長・ジョンウィンは、ミサイル実験の発射ボタンを押す作業に日々勤しんでいた。そんなある日、ヤップランドから取り寄せたお話しAIロボットが届く。まるで樽のような体型のそれは、いきなりなれなれしい口調で話し出した。聞けば、自分は、暗殺された彼の異母兄、ジョンナムールだという。一体これはなんの冗談か?と怒りを露わにしたジョンウィンだったが、次第に彼との会話を頼みにするようになっていく。だがもちろん、何事もない日々がそんなに長く続くはずはなかったー。
都内の暴力団が白昼、何者かの手で殲滅され、偶然居合わせた刑事2人も重傷を負う事件が発生!警視庁の威信をかけた捜査が進む裏で、東京中をパニックに陥れる計画が静かに動き出していた。ドジを踏んで捜査本部から外され、遊軍班として、別の角度から捜査を始めた海月と設楽。果たして、東京を守ることはできるのか!?
強迫性貯蔵症という、がらくた集めが生きがいの少女・陶子の前に現れた、心理カウンセラーの桜木。だが彼も「普通ではない衝動」を抱える人間であった。陶子の治療で訪れた狗島で起こる、凄惨な首なし殺人事件。事件の解明とともに明かされる島の哀しい歴史とは。「普通」からはみ出た二人が、隠された島の謎を追う、感動のミステリ!!
差出人不明の謎の新聞死亡広告を利用して、自らの模擬生前葬と還暦祝いを企図した商事会社社長・村井喜七郎は本当に死んでしまう。他殺か?さらに死体は紛失し…法医学者・小窪介三は自らの“犯罪方程式”を元に犯人に迫る。息づまるプロットの展開に目を瞠る不木唯一の長篇推理小説、戦後初の文庫化!
人はなぜ移動をするのか。マゼランが見た裸の巨人、ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド、伝説の一角獣、オオナマケモノを見つけた19世紀の船乗り、世界各地からの移住者たち…。幼い頃に魅せられた一片の毛皮の記憶から綴られる、繊維かつ壮大なる旅の軌跡。不毛の大地に漂着した見果てぬ夢の物語。
『伝奇集』や『幻獣辞典』で有名な二十世紀ラテンアメリカ文学の巨匠ボルヘスをはじめ、コルタサル、パスなど、錚々たる作家たちが贈る恐ろしい十五の短篇小説集。ラテンアメリカ特有の「幻想小説」を底流に、怪奇、魔術、宗教、伝承、驚異などの強烈なテーマがそれぞれ色濃く滲むユニークな作品集。『百年の孤独』を訳した鼓直が精選し、独自に編集したオリジナル文庫。
なぜか酔いどれの私が付添人を務めることになった結婚式のめちゃくちゃな顛末(「禅式結婚式」)。残業だらけの工場を辞め、編集者として再出発した男がやらかした失敗の数々(「馬鹿なキリストども」)。何もかもに見放された空っぽでサイテーな毎日。その一瞬の狂った輝きを切り取った34の物語。伝説的カルト作家による愛と狂気と哀しみに満ちた異色短篇集。
箱根の山は天下の嶮か、ケンカのケンか?-足刈にある二軒の老舗旅館、玉屋と若松屋は先祖代々の犬猿の仲だ。だが若松屋の娘、明日子と玉屋の若番頭、乙夫は反発しながらも内心惹かれあっていた。いがみあう旅館、勃発する跡継ぎ問題、親から紹介された見合い相手、旅館の経営不振と大事故、乗り込んでくる都会の大資本…二人の恋の行方と箱根の未来はどうなる?
侍としての名前と過去を捨て、京で暮らす戯作者・月夜乃行馬。懇意にする板元の満天堂書林で京の名所図会を執筆する行馬は、女絵師の冬芽が描く、哀しき想いを秘めた美しい絵に惹かれていく。同じ頃、行馬の仲間だった侍たちが、行馬が持っているはずの妖刀を振るう辻斬りに遭った、との報せが入る。自分を騙った下手人を探る行馬はやがて、故郷で起きていたある悲劇を知ることに…。
自衛隊内の犯罪捜査および被疑者の逮捕を行う部署である中央警務隊。甲斐和美三等陸尉は突然の命令により、富士駐屯地で第百二十八地区警務隊の捜査に協力することになった。完全密室である七四式戦車の車内で見つかった遺体。それは単なる自殺と思われた事件だったが、内部からの告発により、殺人の可能性があるという。捜査を進めるうち、やがて甲斐は自衛隊組織の暗部に迫っていく…。