2018年10月21日発売
あたしを殺して魔物に捧げようなんて、正気の沙汰じゃないことをしでかして入院してたアナベルが、学校に戻ってきた。もちろん夢の世界にも。夢にかけては、アナベルの実力はヘンリーも、アーサーさえも凌ぐ。もちろんアーサーとあたしたちは完全に敵同士。アナベルは、自分もアーサーの敵だから、敵の敵は味方よ、なんて共闘をもちかけてきたけど、なんか胡散臭い。本当の敵はアーサー?アナベル?それとも二人はグルなの?夢の世界を舞台に繰り広げられるロマンティック・ファンタジー完結。
ヨーゼフ・メンゲレ、アウシュヴィッツ絶滅収容所に移送され、降車場に降ろされたユダヤ人を、強制労働へ、ガス室へと選別したナチスの医師。優生学に取り憑かれた彼は、とりわけ双子の研究に熱中し、想像を絶する実験を重ねた。1945年のアウシュヴィッツ解放時に研究資料を持って逃亡。その後、49年にアルゼンチンに渡った彼は、79年にブラジルの海岸で死亡するまで南米に潜み、捕まることも、裁かれることもなく様々な偽名のもと、生き続けたのだった。そして、その死が遺骨のDNA鑑定によって確認されたのは90年代になってからのことだ。なぜメンゲレは生き延びることができたのか?彼は、どのような逃亡生活を送ったのか?謎に満ちた後半生の真実と、人間の本質に、ジャーナリスティックな手法と硬質な筆致で迫った傑作小説。ルノードー賞受賞作。
放課後のベイビュー高校で、5人の生徒がルール違反の罰で理科室に招集された。だが、そのなかの一人サイモンが突然苦しみだし、病院搬送後に死亡する。死因はアレルギーのアナフィラキシーショックで、警察は事件性があるとみなす。ほかの生徒は全員が彼のアレルギーを知っていたうえ、彼に秘密を握られていた。男女4人の生徒がそれぞれ一人称で順繰りに事件について語っていくが......。誰が何を隠しているのか? 必読の現代本格ミステリ!
北町奉行所に勤める戸田惣左衛門は、『八丁堀の鷹』と称されるやり手の同心である。七夕の夜、吉原で用心棒を頼まれた惣左衛門の目前で、見世の主が刺殺された。衝立と惣左衛門の見張りによって密室状態だったのだが…「願い笹」。江戸から明治へと移りゆく混乱期を、惣左衛門とその息子清之介の目を通して活写した。心地よい人情と謎解きで綴る全四編を収録。文庫オリジナル。