2018年10月5日発売
御徒衆の佐久間音次郎は、妻と子を惨殺され、下手人と思われる同僚を襲撃した。見事敵討ちを果たしたはずが、その同僚は無実だった。獄に繋がれた音次郎は死罪が執り行われるその日、囚獄・石出帯刀のもとへ引き立てられ、驚くべきことを申し渡された。「これより一度死んでしまったと思い、この帯刀に仕えよ」。下された密命とは、極悪非道の輩の成敗だった。音次郎の修羅の日々が始まった。
南條蔵人が禁裏付役屋敷に押し込んできた。幕府に喧嘩を仕掛けたに等しい狼藉は、東城鷹矢にとってまたとない好機だった。捕縛した蔵人を老中に差し出せば、朝廷の弱みを探るという密命を果たすことができるからだ。それをされては窮する者が、蔵人の口封じに動くのは必定。鷹矢は厳重な警護態勢をしき任務を遂行しようとするが、思わぬ妨害工作を受ける。暗躍しているのは一体誰なのか!?
北朝鮮不正送金疑惑、スポーツジム襲撃事件ー不審な動きが目立つ宗教団体クルパジャ。公安調査庁は団体規制法を視野に調査を始めた。調査官の殿村三春は、教団に対して不正な資金援助が疑われる在日朝鮮人二世の兼松一成を尾行。その最中、兼松は何者かに刺されてしまう。「クズワに渡してくれ」という言葉とともに三春に託されたのは…。情報機関の存在意義に迫る傑作長篇ミステリー。
1980年、大学のキャンパスで弘之と悠子は出会った。せっかちな悠子と、のんびり屋の弘之は語学を磨き、同時通訳と翻訳家の道へ。悠子は世界中を飛び回り、弘之は美しい日本語を求めて書斎へ籠もった。二人は言葉の海で格闘し、束の間、愛し合うが、どうしようもなくすれ違う。時は流れ、55歳のベテラン翻訳家になった弘之に、ある日衝撃的な手紙が届く。切なく狂おしい意表をつく愛の形とは?第23回島清恋愛文学賞受賞作!
東京駅に到着したひかり号のグリーン車洗面台に大金が入った財布と名刺入れ、高級腕時計が忘れられていた。翌日、持ち主と思われる田島が撲殺され、十津川と亀井の捜査が始まった。田島の交際相手と思われる女も阿武隈川から遺体で見つかり、二つの事件の容疑者が浮上する。が、女の死亡推定時刻には寝台特急「ゆうづる5号」に乗車していたという鉄壁のアリバイが!?鉄道推理傑作集。
退職判事である叔父の児玉丈太郎が長崎県にある洋館を購入することになり、「私」北川光雄はその屋敷の検分に訪れた。幕末の豪商渡海屋が建築した大きな時計塔を持つ西洋館であった。渡海屋はその時計塔に閉じこめられ、財宝とともに失踪したという伝説があった。その後に屋敷を手に入れた元奉公人のお鉄婆さんは養女によって殺害され、両者の幽霊が出るとの噂が立っていた。私はその屋敷で野末秋子という女性に出会う…
犯罪小説家の佐川春泥は、速水、綿貫などいくつもの名前を持ち、「影男」として裏の世界で動いていた。彼は人間の裏側にある秘密を探ることを好み、それを利用して、ときに大金をゆすり取っていた。そんな彼に奇妙な組織「殺人請負会社」が顧問になることを提案する。これに応じた影男は後味の悪さから同組織と距離を置く。それと前後して不思議な老人と出会い、地下空間に作られた壮大なパノラマへと案内される!
学生時代をともに謳歌した哲朗と真紀とラムは、四十年後、約束の場所で再会を果たせるのかー。晩成文学賞を処女作で受賞した表題作にさきがけ文学賞、埼玉文芸賞準賞の受賞作を加えた注目の定年後作家初の単行本!
「子どもか、大人でも子どものような心の持ち主。もしくは友達が少ないか、まったくいない人物」のみにアオゲラとコゲラの話し声が聞こえる。小学生・サトミが持ち込む謎をあっと驚く推理で解決する名探偵は、鳥ー。ウィットに富んだ会話も魅力のユーモアミステリー!