2018年10月発売
純真で無垢な少年の姿は、大人の心を洗い清めてくれるーだが、誰しも少年だったころの昔日を思い返してみれば、他者への憎悪や妬み、邪悪で穢れた心の存在も否定できない。本書は美しくも危険な少年たちの光と闇をテーマにしたミステリーを集めたアンソロジー。かの江戸川乱歩が憧憬する村山槐多の画を巻頭に、推理文壇の名手たちの珠玉の傑作を厳選!
就活57連敗の七木田亜月は、とある病院事務の募集を見つけた。その名も「あかしや」クリニック。イケメン白衣の院長にエントリーシートを渡されて、トントン拍子に就職が決まったけれど、ハーフかクォーターか聞かれたり、雇用条件が良すぎたりと、なんだかあやしい。と思っていたら、ドアに貼られている病院名が「あやかし」クリニックになっていてー。
「霞の鷲五郎の噂は耳に入っておるかの」-南町奉行・筒井伊賀守の内与力・坂崎忠右衛門が臨時廻り同心の山本市兵衛に聞いた。人を殺めず、証拠も残さず霞のように大金を盗む盗賊・霞の鷲五郎の探索を依頼された市兵衛は、その影を追うが、衝撃の真相が待ち受けていた!心優しき爺侍が江戸の治安を乱す悪に名刀・石斬丸で立ち向かう。人気爆発シリーズ第二弾。
愚か者に痴れ者、弾かれ者にろくでなし、寂しがり屋に甘えたがり屋…。日本橋芳町にある「ひなた屋」には、夜ごと浮かばれない連中が集まってくる。みな、切なくて哀しい逸話を求めて、ひなた屋の暖簾を振り分けるのだ。岡場所の元女郎、情も情けもない親分、敵持ちの元藩士、のて者…。読めばほっこりする、「鬼役」で人気の坂岡真が描く傑作人情小説が初文庫化。
出入物吟味人として日暮左近が働く公事宿巴屋に鍛金師の文吉が銀の香炉の代金を払ってもらえないと公事訴訟の依頼に来た。しかし、文吉は何者かに殺害されてしまう。それでも文吉の依頼を完遂せんと動く左近の前に、謎の忍びが現れ、背後には醜い権力者同士の争いがー。左近の無明刀が欲に塗れた悪を斬る!藤井邦夫の代表シリーズ、五カ月連続刊行第二弾。
柏木の旦那は、どうやって飯を食ってるんだ?なんせ、のっぺらぼうで口がないんだからー。その秘密は千太郎が腰に提げた「ひょうたん」にあった。そいつに食わせれば腹に入れたことになるらしい。その大事なひょうたんが盗まれてしまった!仲間たちは犯人捜しに奔走するが…。心優しきのっぺら同心があやかし騒ぎを解決する、笑えて泣ける妖怪捕物帖第二弾!
アンちゃんがデパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めて八ヶ月。販売の仕事には慣れてきたけど、和菓子についてはまだまだ知らないことばかりだ。でも、だからこそ学べることもたくさんある。みつ屋の個性的な仲間に囲まれながら、つまずいたり悩んだりの成長の日々は続きます。今回もふんだんのあんことたっぷりの謎をご用意。待ちに待ったシリーズ第二弾!
通称・包丁部、いわゆる料理部の活動拠点である調理実習室には今日も、とっくに引退したはずの3年生、翔平と颯太が入り浸る。引退セレモニーでは、翔平のボリュームたっぷりな二段重ね弁当が振る舞われるのだが…。存続危機に直面する弱小部の男子高校生らが腕を振るう蜂蜜たっぷりマドレーヌやふわふわ肉まんに魅せられる垂涎必至のストーリー。
ロシア・ウラジオストク。日本総領事館に勤める優秀な外交官・雪村隼人が失踪した。調査に乗り出した同じく外交官であり妻の紗羅は、ハニートラップの可能性を追及する中で、隼人が残した謎の「足跡」を発見する。その先にあったのは、日本を含む東アジアの安全保障を根底から揺るがす大いなる陰謀だったー。一気読み必至の傑作謀報小説。
夜の浜辺。刑事の俺は上司の経堂に呼び出され射殺。結婚を間近に控え成仏できず幽霊となった。誰も、恋人すら俺の姿が見えない。霊媒体質の後輩・早川刑事を除いては。彼の力を借り真相を探るうち経堂が密室で殺された。俺を謀殺した黒幕が他にいる!(表題作)他に早川刑事のスピンオフ作「幻の娘」を収録。恋愛と本格ミステリが融合した傑作。
不可抗力の事故で最愛の恋人を失った篠崎百代。彼女は復讐の為に、汐留のショッピングモールで無差別殺人を決意する。触れただけで死に至る最悪の生物兵器“カビ毒”を使い、殺戮をくりかえす百代。苦しみながら斃れていく者、逃げ惑う者、パニックがパニックを呼び、現場は地獄絵図と化すー。過去最大の密室で起こった、史上最凶の殺人劇。
ミステリ作家の西野冴子は、ストーカー扱いされた挙げ句、殺人事件の犯人として逮捕されてしまうが、一切心当たりがない。始まりは、彼女が受け取った一通のファンレター。些細な出来事から悪意を育てた者が十五年の時を経て、冴子を逃げ場のない隘路に追い込んでいく。残酷なほど計算し尽くされた罠に落ちる人間を描くサスペンスミステリ。
クリスマス・イブの夜、残業をしていた飛田旅人のもとに突然動画メッセージが届く。「このままでは死んでしまう。あたしにスズランを届けて」。動画ファイルの作成日付は2826年12月24日。メイと名乗るその少女は何者なのか。なぜスズランが必要なのか。旅人はメイのために、“ある方法”を使って、800年後の未来に旅立つことを決意する。
在宅医療専門看護師のわたしは日々終末期の患者や家に籠る患者とその家族への対応に追われる。末期がんだが告知を拒む陽気な患者に徐々に忍び寄る最期。院長は彼に病状を告げるのか?(表題作)卵巣がん末期の妻を支える夫は医者不信で次々、怪しい民間療法に縋っていた(「アロエのチカラ」)。リアルだが、どこか救われる6つの傑作連作医療小説。
将棋のプロ棋士への最終難関、奨励会の三段リーグ。十二歳の取海はこの最終戦で親友の相場に辛勝し、最年少プロに。相場は棋界を去るが、二十年後、意外な形で再会する。トップ棋士の取海に立ちはだかる将棋ソフトの制作者が、AI研究で注目を浴びる相場だったのだ。因縁の対決、再び!勝るのは将棋を続けた者の誇りか、捨てた者の意地か?
ライターの原田璃々子は、二十三区のルポを書くため、いわくつきの場所を巡っていた。自殺の名所と呼ばれる団地、怨念渦巻く縁切り神社、心霊写真が撮れた埋立地、事故が多発する刑場跡…。後ろ暗い東京の噂を取材する璃々子だったが、本当の目的は、同行する民俗学講師・島野の秘密を探ることだった。心霊より人の心が怖い、裏東京散歩ミステリ。
新人賞の選考に関わる編集者の刺殺死体が発見された。三人の作家志望者が容疑者に浮上するも捜査は難航。警視庁捜査一課の新人刑事・高千穂明日香の前に現れた助っ人は、人気ミステリ作家刑事技能指導員の毒島真理。冴え渡る推理と鋭い舌鋒で犯人を追い詰めていくが…。人間の業と出版業界の闇が暴かれる、痛快・ノンストップミステリ!
友人の除霊のため高校生の潤が訪れたお祓いコンサルタント事務所。高い料金に驚く潤にスーツにメガネの所長・高橋は「これはビジネスだ」と言い放つ。依頼を断念し霊能番組に出演した潤だが、イケメン霊能者ハルトのミスで霊に憑かれてしまう。ハルトに連れて行かれたのはまたまた高橋の事務所だった。霊と人の謎を解き明かすエンタメミステリ。