2018年11月6日発売
さつきは、二号目の瓦版(読売)に近所での窃盗事件を取り上げた。犯人が「あやかし」だという読売に対抗して真犯人が分かるように書いたため、逆恨みした犯人によって兄の喜重郎が刺されてしまう。次の号に盗賊団「蛇の目」のことを書こうかと考え始めるさつき。しかし、同業である日吉堂の伍助と栗橋靱負からは「蛇の目のことを書くな」と言われてしまう。その頃、さつきの親友およねは“黒鳶式部”という筆名で黄表紙作家としてデビューし、これまでの熱い胸の内を喜重郎に伝えるのだが…。一方、さつきは伝蔵への恋心を伝えられずにいた。シリーズ第2弾!
国民的詩人・北原白秋が没して四年後の一九四六年暮れ、大分県香々地の土蔵で一人の女性がひっそりと息を引き取った。歌人であり詩人であったその才女の名は江口章子。白秋の二番目の妻でもあった。詩集『邪宗門』をはじめ、数多くの詩歌を残し、膨大な数の童謡や校歌などの作詞も手掛ける一方で、姦通罪による逮捕など様々なスキャンダルにまみれた稀代の天才の陰には、俊子、章子、菊子という三人の妻の存在があった。丹念な取材を元に瀬戸内寂聴が一九八四年に発表した渾身の長編小説に「あと書」を収録。白秋の生涯を描いた二〇一九年公開映画『この道』の原点。
父が隠していた、嘘より哀しい死の真相とは なぜ父は幼い自分を捨てて失踪し、死んでしまったのかーー。母の四十九日を終えた岩崎俊也は、父の死の真相を求めて、両親が青春時代を過ごした北海道の運河町へと旅立つ。二十年前、父が溺死する直前まで飲んでいた酒場の店主によれば、同じ法科大学漕艇部員だった女性の密葬に参加するために滞在していたらしい。さらに、昭和44年に漕艇部で起きたある事件を機に、陽気だった父の人柄が激変したことを知る。 この街には、僕の知らない父がいた。 父が隠し続けた、ぬぐいきれない恥辱と罪悪感。 知られたくない、でも忘れられない過去がある。 果たして、父は事件に関係していたのか? 家族にさえ隠し続けていた苦悩と死の真相とは? 会心の野心作にして、まったく新しい「家族ミステリー」が誕生!! 解説は中江有里氏。 第一章 運河町ホテル 007 第二章 法科大学 034 第三章 運河町倶楽部 055 第四章 硝子町酒房 072 第五章 バイオリン弾き 099 第六章 郡府日日新聞 147 第七章 正教会前広場 164 第八章 幽霊船奇譚 185 第九章 製材所通り 211 第十章 舗道と靴音 243 第十一章 埋もれた街路図 281 解説 中江有里 311
箱根駅伝の余韻が残る一月、広島駅のホームに中学生から社会人までの福岡県を代表する駅伝チームが降りたった。原爆ドームと宮島厳島神社のふたつの世界遺産を結ぶコースを走り抜ける「全国都道府県対抗駅伝」に出場するためだった。年代も練習環境も違う選手たちが、それぞれの悩みや葛藤を抱えながらも思いをひとつにゴールへと襷をつなぐ。彼らを支える家族や指導者たちの思いを乗せて…。走者ひとりひとりのドラマとともにレースは展開し、そして、最終区間は胸に迫る意外な結末へ!タイトルの「白」の意味とは?巻末に駅伝解説者金哲彦氏インタビュー掲載。
女の人生は、惚れた男で決まる。 北海道最東端・根室は、国境の町である。戦前からこの町を動かし、人格者として知られる河之辺水産の社長には、三人の娘がいた。 長女智鶴は政界を目指す大旗運輸の御曹司に嫁ぎ、次女珠生は料亭「喜楽楼」の芸者を経て相羽組組長の妻となり、三女早苗は金貸しの杉原家の次男を養子にして実家の家業を継ぐことになっている。 昭和四十一年の国政選挙で、智鶴の夫・大旗善司は、北方領土の早期返還を公約に掲げ、初当選を果たした。選挙戦を支えたのは、珠生の夫である相羽重之が海峡でロシアとせめぎ合いながらかき集めた汚れ金だった。三姉妹はそれぞれの愛を貫き、男たちの屍を越え生きてゆく。 直木賞作家が贈る波瀾万丈エンタメ! 【編集担当からのおすすめ情報】 桜木版「宗家の三姉妹」! 北海道・根室海峡。三姉妹の愛と憎しみの華が咲く。
女性が髪を切られる猟奇的殺人事件を追う! 神田川で、若い女性の溺死体が発見される。真っ赤なベビードールを身につけた死体は、なぜか髪が剃り上げられていた。 あかねは友人のカスミに頼まれ、急に来られなくなった”河野さん”の代わりに、コスプレ姿でロリィタパブのティッシュ配りのバイトをすることに。一方、夢を可視化するプロジェクトを行う夢科学研究所に、はじめてのスポンサーがつく。高級スリープウェア会社から、「吉夢を見られる枕の開発」の依頼が舞い込んだのだ。フロイトたちは睡眠実験を始めるが、被験者の中に混じっていたスポンサーの娘の翠は悪夢に悩まされていた。 そんな折、神田川の溺死体が”河野さん”だったことが判明し、15年前にも似たような事件が起きていたことが分かる。お祭りの日、神社の裏山で女の子が絞殺され、髪を切り取られた遺体で発見された「てるてる坊主殺人事件」--フロイト、ヲタ森、あかねの3人はこれを連続殺人事件と見て、真相を追っていく。 多くの女の子が無惨な姿で殺された猟奇的未解決事件の犯人とはーー 夢を手がかりに事件に挑む、大人気ミステリー第2弾! 【編集担当からのおすすめ情報】 「悪夢が憎い」というフロイト教授が、夢を研究しなければならない理由が明かされるーー!? あかねのライバル(?)翠の登場で、フロイト、ヲタ森、あかねの3人の関係がどう変化していくのか、お楽しみに。
人形修理工房“浮世堂”を営む城戸利市には、幼い弟の命を“死神”に奪われた過去がある。“死神”とは人を人形にする技術をもつ者たちのこと。それは適合者から奪った魂を人形に吹き込み、生者として甦らせることもできるという禁忌の秘法だった。ある日、利市のもとに友人の僧侶・愚浄からの紹介仕事が舞い込む。依頼主は伊武冬馬と名乗る青年。彼は古い家に憑いた人形の祟りを鎮めて欲しいと言うのだが…。利市に対して謎の執着をみせる冬馬。そこには衝撃の真実が隠されていた。かくして利市は新たな“死神”との闘いに巻き込まれてゆくー。
大人気アニメを完全ノベライズ! 謎に包まれた「バナナフィッシュ」の正体を探るアッシュ・リンクスは17歳にしてNYのストリート・ギャングを統括していた。アッシュはある日、奥村英二という日本人と出会い……。大人気コミック「BANANA FISH」のアニメ版を完全ノベライズ! ファン必携の一冊!
過去と現在が交錯する図書室で出会った二人 居心地の悪い家に帰りたくない爽風は、放課後の時間を潰すために、学校の裏庭に建つ三階建ての古い図書室へ向かった。誰もいない図書室で本を探していると、物陰からひとりの男子学生が現れる。彼、笹木誠は同じ学年らしいが、まったく顔を知らない生徒。そして優しい笑顔を見せる彼の口元には、誰かにつけられたであろう痛々しい青痣があった。 「この世界の神様になりたい」と呟く不思議な誠。彼に何が彼に起きているのか聞けないまま、爽風はその後もたびたび図書室で誠と会い、しだいに二人の心は寄り添っていく。 だが、ある日偶然手にした数年前の卒業アルバムに、爽風は誠の姿を見つける。そして、かつて誠の担任だったという教師から、驚愕の事実を知らされて……!? 時間が交錯する不思議な図書室で、繋がったふたりの「いま」。爽風は誠を未来の“死”から救おうと、事なかれ主義だった自分を奮い立たせる。諦めを希望へと変えるためにーー! 胸がふるえる感動の青春ストーリー!!
復帰したばかりのシーハン刑事を待っていたのは首吊り死体。残されていた顔料の痕跡から殺人と見抜いた彼女は、被害者の夫の行方を追う。だが別件の死体からも同じ痕跡が発見された。連続殺人なのか? 狡猾きわまる姿なき連続殺人者との対決を描く警察小説
19世紀の英文学を代表する作家ウォルター・スコットの名作。本邦初訳。 舞台は18世紀末のスコットランド。主人公は平穏な好古趣味生活を送る老紳士。 旅先での一人の青年との出会いをきっかけに、彼の周りで非日常的な出来事が次々に起こる。 作品の内容は、旅、好古趣味、冒険、恋愛、夢想、伝説、決闘、秘密の洞窟、詐欺話、 遺跡の探検、財宝探しなど、多岐にわたる。 物語は予期せぬ展開を見せるが、基調を成すのは、人々の日常生活や喜怒哀楽である。
宮城県の海のある街に暮らす平良はもうすぐ16歳の誕生日を迎える。極端に若く見える眞宙が実の父親ではないと気づきながらも、かたわらに在り続けることを強く望む平良。眞宙と平良の本当の関係は?そして左腕に残る火傷の痕に隠された真実とはー。
幻想と現実の奇妙なブレンド 文豪ゴーゴリの妻は空気の量によって自在にその姿を変えるゴム人形だった! グロテスクなユーモア譚「ゴーゴリの妻」。カフカの死んだ父親が巨大な蜘蛛となって現れる「カフカの父親」。音の重さや固さ、色彩、味や匂いについての考察「『通俗歌唱法教本』より」。イギリス人の船長から一年間習ったペルシャ語は実際には世界中のどこにも存在しない言葉だった……「無限大体系対話」など、カルヴィーノ、ブッツァーティと並ぶイタリア文学の異才ランドルフィの途方もない奇想とナンセンス、特異な言語感覚に満ちた短篇を集成。奇怪な幻想、残酷な寓話から擬似科学的なパロディ、さらには日常的な題材、回想記まで、自在な語り口で物語を紡ぎだす孤高の天才の不思議な世界。奇妙な乗組をのせた船の超現実主義的な航海を描く「ゴキブリの海」を追加収録した決定版傑作集。