2018年11月発売
「帝都経済」誌オーナー・杉野良治は、映画やゴルフ会員権事業など各方面に手を広げ、数々の企業に出資や賛助金を強要し権力を拡大し続けていた。当然、社内でもやりたい放題ー出世・降格はたまたクビも杉野の気分次第。自らが信心する新興宗教に社員を無理やり入信させるなど周囲の人間も限界に。ついに杉野に反旗を翻す男が!日本企業の闇に蠢く人間たちの姿を活写した著者の代表作。
東京都国分寺市で強盗殺人事件が発生した。警視庁行動科学課の美人検屍官・一柳清香と、その相棒である浦島孝太郎は現場へと急行。そこで二人は、不自然な印象を抱く。非常階段に残された足跡の上を、誰かがなぞって歩いているー。さらに、界隈で連続する強盗事件との繋がりを探るうち、黒幕の存在に気付き…。科学を武器に事件解明に挑む!大人気シリーズ最新刊!
「性愛の対象としても、結婚の対象としても認められていない若い男など、どんな意味があるだろう?娘たちが“友人”としてわたしを扱うことは、お前はどこへでも行って勝手にしろ、ということ以外ではあり得なかった。」(「炎に追われて」より)。異性への畏怖、憧れ、情欲という切実な問題にぶつかる若者の姿を繊細に表現し、男女の機微を丁寧に描写することで、感受性豊かなイメージが喚起される。鋭敏な“性”の物語。第68回芥川賞候補作、三木卓第一小説集の復刊です。(表題作他二編収録)。
普段はモブとして力を隠しつつ、陰ながら物語に介入して実力を見せつける『陰の実力者』に憧れる少年・シド。異世界に転生した彼は念願の『陰の実力者』設定を楽しむため、妄想で作り上げた『闇の教団』を蹂躙すべく暗躍していたところ、どうやら本当に、その教団が実在していて…?ノリで配下にした少女たちに『勘違い』され、シドは本人の知らぬところで真の『陰の実力者』になり、そして彼ら『シャドウガーデン』は、世界の闇を滅ぼしていくー!!
豊作だ。ありがとう『万能農具』。大樹の村に再びやってきたキアービットに同行してきたのは、双子の天使族であるスアルリウとスアルコウ。彼女たちを加えてもあまり変化のない村の生活!?畑を耕し、魔物も耕し、村の拡張はのんびり進行中!
リエンツを襲った最大の脅威は去った。暴走は止まり、リエンツには再び平穏が訪れた。そしてジンは、ついに人生の節目に向けて動き出す!!“結婚報告”のために、エルザの両親が住む“ジャルダ村”を訪れた一行。そこに突如現れた、“異世界テッラ”に存在しないはずの“謎の異種族”。さらには“国王”まで現れて…“フィーレンダンク”の未来の行く末は!?大人気ファンタジーノベル、感動の大団円!!
駆け出しの建築家・誠と、カフェで働く日菜。雨がきっかけで恋に落ちた二人は、鎌倉の海辺の街で愛にあふれた同棲生活を送っていた。しかし、ある雨の日、バイク事故で瀕死の重傷を負ってしまう。目を覚ました彼らの前に、“案内人”と名乗る喪服姿の男女が現れる。そして誠と日菜は、二人合わせて二十年の余命を授かり、生き返ることになるのだが、それは、互いの命を奪い合うという、あまりにも苛酷で切ない日々のはじまりだったー。『桜のような僕の恋人』の著者が贈る、胸打つ長編小説。
富樫くんが家に遊びに来ると、とんでもない事件が発生ー。近所の「かちゃっぺない」カズ坊さんから、朝日に衝撃発言がー。「こねこ、上げます」の貼り紙にねだる朝日。反対する家族ー。破天荒な朝日の父は名探偵!?友だちの島田さんはいい人だがー。亡き母の代わりに西村家を支える夕日には、驚くような秘密がー。北海道・小樽を舞台にした、昭和の風情ただよう、笑いあり涙ありの家族の物語。
さつきは、二号目の瓦版(読売)に近所での窃盗事件を取り上げた。犯人が「あやかし」だという読売に対抗して真犯人が分かるように書いたため、逆恨みした犯人によって兄の喜重郎が刺されてしまう。次の号に盗賊団「蛇の目」のことを書こうかと考え始めるさつき。しかし、同業である日吉堂の伍助と栗橋靱負からは「蛇の目のことを書くな」と言われてしまう。その頃、さつきの親友およねは“黒鳶式部”という筆名で黄表紙作家としてデビューし、これまでの熱い胸の内を喜重郎に伝えるのだが…。一方、さつきは伝蔵への恋心を伝えられずにいた。シリーズ第2弾!
国民的詩人・北原白秋が没して四年後の一九四六年暮れ、大分県香々地の土蔵で一人の女性がひっそりと息を引き取った。歌人であり詩人であったその才女の名は江口章子。白秋の二番目の妻でもあった。詩集『邪宗門』をはじめ、数多くの詩歌を残し、膨大な数の童謡や校歌などの作詞も手掛ける一方で、姦通罪による逮捕など様々なスキャンダルにまみれた稀代の天才の陰には、俊子、章子、菊子という三人の妻の存在があった。丹念な取材を元に瀬戸内寂聴が一九八四年に発表した渾身の長編小説に「あと書」を収録。白秋の生涯を描いた二〇一九年公開映画『この道』の原点。
なぜ父は幼い自分を捨てて失踪し、死んでしまったのかー。母の四十九日を終えた岩崎俊也は、両親が青春時代を過ごした北海道の運河町へと旅立つ。二十年前、父が溺死する直前まで飲んでいた酒場の店主によれば、同じ法科大学漕艇部員だった女性の密葬に参加するために滞在していたらしい。さらに、昭和四十四年に漕艇部で起きたある事件を機に、快活だった父の人柄が激変したことを知る。父は事件に関係していたのか?家族にさえ隠し続けていた苦悩と死の真相とは!?会心の野心作にして、まったく新しい「家族ミステリー」が誕生!!
箱根駅伝の余韻が残る一月、広島駅のホームに中学生から社会人までの福岡県を代表する駅伝チームが降りたった。原爆ドームと宮島厳島神社のふたつの世界遺産を結ぶコースを走り抜ける「全国都道府県対抗駅伝」に出場するためだった。年代も練習環境も違う選手たちが、それぞれの悩みや葛藤を抱えながらも思いをひとつにゴールへと襷をつなぐ。彼らを支える家族や指導者たちの思いを乗せて…。走者ひとりひとりのドラマとともにレースは展開し、そして、最終区間は胸に迫る意外な結末へ!タイトルの「白」の意味とは?巻末に駅伝解説者金哲彦氏インタビュー掲載。
北海道最東端・根室は、国境の町である。戦前からこの町を動かしてきた河之辺水産の社長には、三人の娘がいた。長女智鶴は国政を目指す大旗運輸の御曹司に嫁ぎ、次女珠生は芸者を経て相羽組組長の妻となり、三女早苗は金貸しの杉原家の次男を養子にして実家を継ぐことになっている。にわかに解散風が吹いた総選挙で、智鶴の夫・大旗善司は、北方領土の早期返還を公約に掲げ、初当選を果たした。選挙戦を支えたのは、珠生の夫・相羽重之が海峡でかき集めた汚れ金だった。三姉妹はそれぞれの愛を貫き、男の屍を越え生きてゆく。直木賞作家が贈る波瀾万丈エンタメ!
神田川で若い女性の溺死体が発見される。真っ赤なベビードールを身につけた死体は、なぜか髪が剃られていた。スポンサーがついた夢科学研究所で「吉夢を見る枕」の開発実験が始まるが、被験者の翠は悪夢に悩まされている。そんな折、十五年前にも神田川と似たような事件が起きていたことが分かる。お祭りの日、神社で女の子が行方不明になり、髪を切り取られた絞殺体で発見された「てるてる坊主殺人事件」-フロイトたち三人はこれを連続殺人事件と見て、真相を追っていく。多くの女性が犠牲になった猟奇的未解決事件の犯人とは!?大人気ミステリー第二弾。
人形修理工房“浮世堂”を営む城戸利市には、幼い弟の命を“死神”に奪われた過去がある。“死神”とは人を人形にする技術をもつ者たちのこと。それは適合者から奪った魂を人形に吹き込み、生者として甦らせることもできるという禁忌の秘法だった。ある日、利市のもとに友人の僧侶・愚浄からの紹介仕事が舞い込む。依頼主は伊武冬馬と名乗る青年。彼は古い家に憑いた人形の祟りを鎮めて欲しいと言うのだが…。利市に対して謎の執着をみせる冬馬。そこには衝撃の真実が隠されていた。かくして利市は新たな“死神”との闘いに巻き込まれてゆくー。
並外れて整った容姿、そして卓越した頭脳と戦闘力を持つ少年、アッシュ・リンクス。ニューヨークでストリートギャングを束ねる彼は、自分の手下に殺された男が死に際に、「バナナフィッシュ」という謎の言葉を発するのを聞く。それはアッシュにとっても、以前から特別重要な意味を持つ言葉だった。時を同じくして、日本の大学生・奥村英二もニューヨークへ。彼はカメラマン助手として、アッシュのもとへ取材にやってきたのだ。心を許し合った二人は「バナナフィッシュ」の謎を追うがー。アニメ「BANANA FISH」完全ノベライズ、第1巻!
家に帰りたくない爽風が、放課後足を踏み入れた学校の古い図書室。そこで爽風は見知らぬ男子生徒、笹木誠と出会う。「この世界の神様になりたい」と呟く誠の顔には、誰かに付けられたらしい青痣が。その理由を聞けないまま、爽風は誠と図書室でたびたび会い、心を交わすようになる。そんなある日、偶然手にした数年前の学校のアルバムに、誠の姿を見つける爽風。さらに誠の副担任だった教師から驚愕の事実を知らされてー。時間が交錯する不思議な図書室で、つながった二人の「今」。爽風は未来の“死”から誠を救えるのか。魂がふるえる感動の純愛ストーリー!!