2018年5月25日発売
戦時下の帝都。14歳の鉄児は憧れの特別少年警邏隊に入隊した矢先、先輩のとばっちりを受け謹慎処分となってしまう。汚名返上に燃える彼は、巷で噂の保険金殺人事件を解決するため独自調査に乗り出すが……。軍部の思惑、昏々と眠る老女、温室で栽培される謎の植物、行方不明の少女ーー。すべてが交錯する時、忌まわしい企みが浮かび上がる。暴力と狂気が渦巻き、読む者の理性を抉り取る最凶の粘膜ワールド! 解説・朝宮運河
国も、時代も、身体も超えた、前代未聞の追跡劇。 「ハリー・オーガスト、15回目の人生」の著者が贈る、全く新しいSFサスペンス! 私はケプラーと呼ばれる“ゴースト”--他人に触れると、その身体に乗り移ることができる。 ある時、身体を借りていた女性が、地下鉄の人混みで狙撃された。 私は咄嗟に近くの人へ飛び移り、やがて狙撃犯の身体を乗っ取った。 この男は何者で、なぜ私を狙う? 答えの鍵は、かつての宿主達にあるらしい。 私は、長い長い人生を思い返しながら手がかりを辿ってゆくーー。 全世界、あらゆる時代を舞台にした、切なさ極まるSFサスペンス!
木陰に立ち並ぶ数十体の地蔵の、ある法則に気づいた瞬間に戦慄する「顔なし地蔵」。風雨と霧に閉ざされたヒュッテの乾燥室にうずくまる青い雨具の男の正体が切ない「乾燥室」、奇妙なほど行く先々の山で遭遇する女性の言動が謎と不安を誘う「ポニーテールの女」他。避難小屋、山奥のトンネル、テントーー心身ともに強靭な山男たちを震撼させる、恐ろしくも不可解なできごとを山の霊気とともにつづる。文庫オリジナル作品2篇を収録。
師具町の巣羽根邸を訪れた天才棋士、牧場智久と姉の典子。2人が邸宅に到着すると同時に、拳銃自殺と思われる巣羽根の死体が発見される。その時屋敷には、2人の食客が居合わせ、密室状態の部屋のテーブルにはチェス盤と駒が残されていた…「チェス殺人事件」。4に纏わる数式ゲームに魅せられた少年達を描いた表題作、『パーミリオン』の「ネコ」や「佐伯千尋」、「トリック芸者」などのマスターピースが凝縮の短篇集。
その町では、異様な出来事が相次いで起きていた。ガソリンスタンドで働く沓沢は、ある日、黒岩山を越えた集落へタイヤの配達を命じられる。山頂に建った研究施設は不穏な噂を呼んでおり、最近地震や原因不明の停電が頻発していた。早く帰りたい一心の彼が目にしたのは、徹底的に破壊された集落だった…。呆然と立ち尽くす彼に、突如巨大な触手が襲いかかる!未知の生物との死闘を描くホラー・アクション。
迷路を抜け出し、砂漠を越え、ついにフレアと共存する理想郷に辿りついたトーマスたち。しかしそこで待ち受けていた現実とは……。最後まで目が離せない、大人気サバイバルアクション!
警察学校の教官・五味が受け持つクラス“53教場”には、個性豊かな学生が集う。元プロ野球選手、ガンマニア、助教官に恋い焦がれる女性ー各々の事情を抱えながら警察官を志す学生を相手に、五味は充実した日々を送っていた。しかしある日、多磨霊園で射殺体が発見されると、学生が容疑者になってしまう。五味は教え子を守るべく、「53教場40名、全員卒業」を目標に、事件解決を目指すがー。警察学校小説シリーズ第2弾。
澪人(れいと)が作った対策チームの頑張りによって京都に平和が戻り、小春(こはる)たちはミステリー研究会としての活動を再開した。 ついに澪人と付き合いはじめた小春だったが、彼の態度はなぜかそっけなく、目も合わせてくれない。 さらに澪人の過去の女性の影を感じ、嫉妬してしまう。 小春は不安に思いながらも、チームみんなで初めての祇園祭を楽しもうとするが……? 大人気、京都の四季と和菓子と恋模様で贈る成長物語、待望の新章スタート!
ふみは高校を卒業してから、アルバイトをして過ごす日々。家族は、ふみ、母、小学校2年生の異父妹の女3人。静かで平穏で、一見何の変哲もない生活だが、そこに時折暗い影を落とすのは、家族の複雑な過去だった。習字の先生の柳さん、母に紹介されたボーイフレンドの周、2番目の父ー。「家族」を軸にした人々とのふれあいのなかで、ふみは少しずつ、光の射す外の世界へと踏み出してゆく。第25回野間文芸新人賞受賞作。
男を初めて部屋に上げるときは、かなりの勇気がいる。もしこの男に、見えてしまったら。もうすぐ40歳の真千子の部屋には、かつての恋人の骸骨が立っている。暗闇の中、知り合ったばかりの男の愛撫に感じたのは…(「枯骨の恋」)。職場のパワハラで自殺した同僚。実家を訪れた千穂が知った、若い死者に対する奇妙な風習とは(「アブレバチ」)。第3回『幽』怪談文学賞受賞作が待望の文庫化。女たちの怖くてエロティックで美しい物語。
罪人が化け物に見える青年・遠野青児は、わけあって借金をかかえネットカフェを泊まり歩く放浪生活を送っていた。そんな中、迷い込んだ洋館で、白牡丹の着物をまとった美少年・西條皓(さいじょうしろし)に出会う。皓はある使命を受け、鬼の代わりに罪人を地獄に届ける「地獄代行業」を営んでいるという。そんな皓は、持ち前の観察眼から青児の窮状を見抜き、住みこみの助手として屋敷で働くよう誘う。なし崩しで助手として働くことになった青児は、旧家の令嬢からの一家に災いをもたらしている「鵺」を退治してほしいという依頼を受け、皓とともに旧家・獅堂家に乗り込むが、そこには血縁に絡む怨念が渦巻く事情が・・・。旧家での連続殺人、ライバル探偵・凜堂棘との推理合戦、数々の困難に巻き込まれながら、青児は少しずつ自らの役割を自覚し、どこか寂しそうな皓も、青児との関わりの中、少しずつ笑顔を取り戻していく。罪人を地獄に届ける謎の少年と世に絶望したニートの事件簿! 第一怪「青坊主」/第二怪「鵺」/第三怪「以津真天あるいはエピローグ」/あとがき
陽太郎の師、写真家の弘一には秘密の顔があった。それは銀塩写真探偵という驚くべきもの。ネガに写る世界に入り、過去を探れるというのだ。入れるのはたった一度。できるのは見ることだけ。それでも過去に囚われた人が救いを求めてやってくる。陽太郎も写真の中に足を踏み入れる。見たのは、輝きも悲しみも刻まれた永遠の一瞬でー。生きることとは、なにかを失っていくことなのかもしれない。哀切と優しさが心を震わす物語。
鎌倉の山中に庵を結ぶ僧に、謎めいた旅の男が語り聞かせる響くべき来歴ー数奇な運命により、日本人でありながら蒙古軍の間諜として博多に潜入した仁風。潜入部隊の中には美しい巫女・鈴華がおり、かたわらに金色の獣を連れていた。やがて追われる身となった一行の中で、先行きを見通す巫女の存在感は増し、いつしか皆が鈴華の指示に従うようになるがー。
人の悪しき心を見抜くことができる奇蹟の少年・天青。 その能力は、次代の大神官に必要な強大な力だ。 けれど天青の中身はただのやんちゃな小僧……。 そこで、麗虎国の宮廷で、神官書生として学ぶことに。 保護者代わりの美貌の神官・鶏冠と、守り役で武人の曹鉄がいるから平気、なんて 甘く考えていた天青だが、待っていたのは神官書生たちのイジメ! 持って生まれたガッツで戦う天青だが、ちょっぴり疲れる時もある。 そんなある日、学校の課題で山へ出かけた天青は、 天真爛漫な少年・櫻嵐と出会い……。 珠玉のアジアン・ファンタジー第2弾、波瀾の学校生活!
警備員の島浦が勤めるのは、工業用ロボットに管理された最新鋭化学工場。ある日、突然警報が鳴り響くと、島浦のいるシェルターの外で次々と人が死んでいく。パニックに陥る工場で、何が起きているのかーー。
【あなたの死後、不要となるデータを削除いたします。】 罪の証。不貞の写真。隠し続けた真実。 『dele.LIFE』で働く圭司と祐太郎の仕事は、秘密のデータを消すだけーーのはずだった。 あなたの記憶に刻まれる、〈生〉と〈死〉、〈記憶〉と〈記録〉をめぐる連作ミステリ! 『dele.LIFE(ディーリー・ドット・ライフ)』。 真柴祐太郎がその殺風景な事務所に足を踏み入れたのは、三ヶ月ほど前のことだった。 所長であり唯一の所員でもある坂上圭司いわく、 「死後、誰にも見られたくないデータを、その人に代わってデジタルデバイスから削除(delete)する。それがうちの仕事だ」。 誰かが死ぬと、この事務所の仕事が始まるのだ。 新入りの祐太郎が足を使って裏を取り、所長の圭司がデータを遠隔操作で削除する。 淡々と依頼を遂行する圭司のスタンスに対し、祐太郎はどこか疑問を感じていた。 詐欺の証拠、異性の写真、隠し金ーー。 依頼人の秘密のファイルを覗いてしまった二人は、次々と事件に巻き込まれる。 この世を去った者の〈記録〉と、遺された者の〈記憶〉。 そこに秘められた謎と真相、込められた切なる想いとは。 『MISSING』『MOMENT』『WILL』などで「生」と「死」に直面した人々を描いてきた著者が、 今だからこそ書き得た新たな代表作。 ≪dele=ディーリー。校正用語で「削除」の意。≫ ファースト・ハグ シークレット・ガーデン ストーカー・ブルーズ ドールズ・ドリーム ロスト・メモリーズ
“あの戦争”のせいで、ほとんどの人類が死に絶えた世界。ある集落で拾われ成長した少年マサキは、不自由ながらも穏やかに暮らしている。初恋の少女カエデのお陰で、幸せだとすら思っていた。目の前で仲間が「散る」までは。手足の先から葉が生え、全身が花と散る奇病、“死花症候群”。なす術なく散る仲間たちを救う方法を探すマサキだが、カエデも病に冒されていると知り…。綺麗な涙が止まらない、「世界の終わり」の純愛ミステリ。
北海道・札幌市の路地裏に佇む『くま弁』。願いを叶える魔法のお弁当の作り手・ユウと念願の恋人同士になった千春だが、お互い仕事が忙しく、すれ違いの毎日。久々に帰省した黒川の娘・茜からも「本当に付き合ってるの?」と突っ込まれて、千春は自信をなくしてしまう。しかも、ユウのことを気に入っている茜は『恋人に作るみたいなお弁当』をリクエストしてきて……? おいしいご飯は心を癒やす。北のお弁当ものがたり第3弾!
札幌市にある古びた屋敷。そこに辿り着けるのは、ある条件を満たした者だけ。さまざまな理由で屋敷を訪れた人々は、謎多き住人たちに罪を暴かれてゆくことに。ロジックの名手が紡ぐ、極上“館”ミステリ!
近未来、日本。そこでは人びとの意識を取り出し、移転させる技術が発達、大病や大けがをした人間の意識を、一時的に「代体」と呼ばれる「器」に移し、日常生活に支障をきたさないようにすることがビジネスとなっていた。大手「代体」メーカー、タカサキメディカルに勤める八田は、最新鋭の「代体」を医療機関に売り込む営業マン。今日も病院を営業のためにまわっていた。そんな中、自身が担当した患者(代体)が行方不明になり、山の中で無残な姿で発見される。残される大きな謎と「代体」。そこから警察、法務省、内務省、医療メーカー、研究者……そして患者や医師の利権や悪意が絡む、壮大な陰謀が動き出す。意識はどこに宿るのか、肉体は本当に自分のものなのか、そもそも意識とは何なのか……「科学が倫理を押しつぶす世界」を描いた、「百年法」を凌駕するエンタテインメントがここに誕生! 解説:藤田直哉