2018年5月発売
工藤雅彦は高校生に襲われていた。母親の治療費として準備した三百万円を狙った犯行だった。気を失った工藤は、翌日、報道で自分が高校生を殺したことになっていることを知る。匿ってくれた小暮俊助という謎の男は、工藤の罪を揉み消す代わりにある提案をする。そのためには過酷なトレーニングにパスしろというのだが…。工藤の肉体に封印された殺し屋の遺伝子が、今、目覚める!
バスの転落事故で一人だけ生き残った男が、今度は袋くじの特賞に大当たり。そんな強運、あり!?(奇跡の男) 小さな飲み屋「糀屋」の客が死に、なぜか警察に被害者の香典が送られてきて……(狐の香典)。“卯の花健康法”や“健脳法”など、珍妙なことばかり思いつくナチ先生が殺された。雪に残された足跡が唯一の手掛かり?(ナチ式健脳法)など、ユーモラスで奇想天外な極上ミステリ短編集。(解説:福井健太)
葵慎之助がかつて住職を務めた浅草唯念寺では、宝暦の大飢饉で奥州から命からがら逃げてきた流民を保護していた。慎之助が炊き出しの場を訪ねると、派手な格好の若い女たちが流民に粥を配っていた。その時、銃声が鳴り響き、椀を抱えた流民が即死。炊き出しの場ではこのような狙撃が頻発しているという。その鉄砲の腕前に、慎之助はある心当たりがあったー。人気シリーズ、完結篇!
上方の味を江戸に広めたいという大坂の廻船問屋「浪花屋」の主で行方知れずの父の意志を継ぐ、兄妹の次平とおさや、料理人の新吉の三人が切り盛りする料理屋「なには屋」。客が東西の味付けの違いに馴染まず苦戦するが、常連の助言で、軌道にのり始めた。そんな矢先、予想外の話が「なには屋」に舞い込む。悪い噂のある豪商「和泉屋」が、見世を閉め、自分の家の厨に入らないかと言うのだ。
紀州雑賀は宮郷の太田左近の末娘・蛍は、鉄砲に魅せられ、撃術の研鑽に生涯をかける。雑賀衆は、すぐれた射手を輩出する鉄砲撃ち集団だ。武田の三河侵攻に対し織田信長が鉄砲三千挺を揃えたと聞いた蛍は、左近に無断で実見 に赴く。三州長篠で三段射撃戦法により、最強の武田騎馬隊が粉砕される様子を目の当たりにした! 信長、家康を助け、秀吉、雑賀孫一と対立。戦国を駆け抜けた稀代の女鉄砲撃ち蛍はじめ四姉妹の活躍を描く歴史時代長篇。
歴史的大惨事となった脱線衝突事故から十年。このところ不可解な事件が相次いでいた。女性がカラスに襲われ失明。白昼の凄惨な殺人。不思議な能力(念動力)を持つ小学生・信悟の優しかった女先生も突然豹変し、彼を執拗に付けまわすようになった。いったい何が起きているのか。背後には太古から地球にいた謎の生命体のたくらみが。信悟は圧倒的力を持つ生命体にいかに立ち向かうか。昭和の下町を舞台に描く、直木賞作家渾身のノスタルジックホラー。
そもそもの発端は十年前の悲惨な鉄道事故にあった。夥しい死傷者の看護をしていた信悟の母の不思議な体験。こと切れたはずの少年が突如よみがえり発した言葉。「われはえいごうなり!」。その時胎内にいた信悟に宿った不思議な力。それに目をつけて執拗に追い回してくる水島先生。そして遂に正体を現す「無限のビィ」。圧倒的な力のビィに大切な友達や知り合いを奪われどん底状態の信悟少年。勇気を振り絞って立ち向かった先に待つ驚愕と哀切の結末!
近所に憧れの老作家・坂下宙ぅ吉が引っ越してきた。私は宙ぅ吉のデビュー作「三つ編み腋毛」を再読する。そして少しでも彼に近付きたいという思いを強くしてーー「イナセ一戸建」のほか、文庫版特別書下しとして、作中に登場する坂下宙ぅ吉のデビュー作「三つ編み腋毛」(抄)を収録した全七篇。淫靡な芳香を放つ狂気を描く、幻の短編集が待望の文庫化。
師走も半ば、京都鷹ヶ峰の藤林御薬園では煤払いが行われ、懸人の元岡真葛は古くなった生薬を焼き捨てていた。慌ただしい呼び声に役宅へ駆けつけると義兄の藤林匡が怒りを滲ませている。亡母の実家、棚倉家の家令が真葛に往診を頼みにきたという。棚倉家の主、静晟は娘の恋仲を許さず、孫である真葛を引き取りもしなかったはずだが…(表題作)。人の悩みをときほぐす若き女薬師の活躍。
【あらすじ】 体罰を行い島に転勤させられた、かつての熱血教師“ぐうたら”先生。のどかな田舎の学校に着任したと思いきや、狭い島の中で行われていたのは、陰惨ないじめだった。 教師と真っ向から対立する有力者の娘。授業ボイコット。モンスターペアレント。 島そのものを変えなければ正しい教育はできないという校長の説得や同僚とともに、“ぐうたら”先生はかつての自分を取り戻していくーー。 解説は『夜回り先生』水谷修氏! 多くの教師、教職を目指す人たち、何より今苦しんでいる生徒たちに読んでほしい。 「柏木先生のように、身近に信用できる先生が、大人がきっといる」そう心を開いてくれるきっかけになってほしい。
最強のヒットマン、これが最後の大仕事。 有能な若きインターン、ジョン・ラーゴ。 その正体は、企業のトップを狩る凄腕の殺し屋! クールな筆致とダークなユーモア、あふれる映画愛に彩られた 奇想天外な傑作クライム・スリラー! 暴走する才能に刮目せよ。 おれはジョン・ラーゴ。もちろん本名ではない。 ヒューマン・リソース社のエース工作員だ。 うちは表向き人材派遣の会社だが、裏では 派遣インターンによる要人の暗殺を請け負っている。 おれは子供のころから暗殺者として鍛えられ、 ずっとここで働いてきた。だがもうすぐ25歳で引退だ。 だからおれは新入り諸君のために、最後の任務を詳述して 暗殺の心得を伝授したいと思う…。 教則本の体裁で描かれる、血と硝煙と裏切りに彩られた キッチュでオフビートなアサシン・スリラー。 鬼才衝撃のデビュー作! 「主人公ジョン・ラーゴは、さながらオフィスで働く『デクスター』だ」 ーーミルウォーキー・ジャーナル
すべてに反抗して閃光のように世を去った呪われた天才が戦後まもなくアメリカ人を偽装して執筆、ベストセラーとなったが発禁処分をうけたデビュー作が切れ味のいい新訳で復活。黒人であるがために殺された弟の復讐を誓った白い肌の黒人である「俺」は田舎町の白人社会に溶け込んでその機会を狙い、ついに白人娘二人を「叩きのめそう」としたが…差別への憤怒を結晶させたノワールの傑作。
バーで出会った殺人アドバイザー、夫の新発明を試した妻、ペーパーナイフから現れた宇宙人…雑誌の黄金時代に執筆された最良のエンタテインメント14編を収録した、魅惑の新発見作品集。やさしくも皮肉で、おかしくも深い、ヴォネガットからの贈り物。「さよならなんて、ぜったい言えないよ」
ヒロインの生き様に痺れる傑作スリラー! 殺人事件で夫を失った元特殊部隊パイロットのマヤ。2歳の娘を案じ自宅に設置した隠しカメラに写っていたのは、2週間前に殺されたはずの夫ジョーだった。ジョーの死に潜む謎を追ううちに、マヤは4か月前に惨殺された姉クレアの死、そして17年前のある事件の真相へとたどり着く……。 ハードボイルドなヒロインの生き様、予想を大きく超える予想外の結末。ジュリア・ロバーツが惚れ込み映画化権を獲得した、「マイロン・ボライター」シリーズで人気の著者による最新傑作スリラー!
桂助は、虫歯によって歯無しになった人々が生きる希望を失ってしまうことに心を痛めていた。品川の宿から骸で見つかった男は千住品三郎といい、桂助が手当てして歯を抜いた患者だった。その品川では同じ頃、ツクヒ(破傷風)で死んだ男が見つかり、その遺体を焼いた男も不審な死をとげていた。続いて、投げ込み寺で見つかった八つの不審死体にも、全員歯が無かった。調べを進める内に、鋼次が何者かに連れて行かれ、そこに記憶を失った志保が現れる!一連の事件の背後には、歯無しになった人々の苦しみにつけ込んだ、某藩の恐るべき計画があったー。シリーズ終盤となる、第十五弾!
母と兄とさつきで営む万葉堂。体調を崩して寝込んだ母・登勢の容体が回復しないのを心配したさつきは、蘭方医に診てもらおうと伝手を探す。ある時、偶然居合わせた若殿と呼ばれる侍が紹介状を書いてくれたおかげで、大槻玄沢に母を診てもらうことができた。その侍は、老中田沼意次嫡男である田沼意知だった。しかし、母は亡くなり、家業立て直しのためにさつきは瓦版の発行を考える。そんな折、意知が殿中で刺殺の報せが入った。殺したのは、さつきにも縁のある人物だった!さつきは、事件の真相に迫れるのか?江戸の“女性記者”を描く、シリーズ第1作!
イケメン鉄オタ三人衆が行く、謎解き鉄道旅 ファッション誌のスナップページも飾る医大生の瓜生昌午、タクシー代わりにヘリを使う若手カリスマ経営者の巽克利、世界中を飛び回るバイオリニストの星川広太郎ーー三人の共通点はイケメン、そして筋金入りの「鉄道オタク」! 日常生活ではすれ違うこともない三人が、千葉・南房総を走るローカル線「いすみ鉄道」に乗り合わせた。鉄道旅を楽しむはずが、幼稚園の遠足、地元の高校で起きた幽霊騒動、BL好きご婦人の介抱、子供たちの失踪、列車に乗るたびに次々と起こる事件に巻き込まれる……。〈イケメン×鉄オタ〉三人衆のドタバタ謎解き鉄道旅の行方はいかに!?
絶対ハッピーになる方法、妖精が教えます! コピーライターの吉永杏珠は、都内の広告代理店にかれこれ勤続10年の32歳おひとりさま女子だ。それなりの仕事とお給料があって、長い付きあいの彼氏も一応いる。だけど最近、公私ともにトラブルの連続で、気がつい たら不幸のどん底に落っこちてしまった。自分をとりまく環境への苛立ちと、ダメな自分への嫌悪感で身動きがとれなくなっていたある夜、突然ひとり暮らしの部屋にクラッカーのはぜる音が鳴り響く。 「おめでとうございまーす!! あなたには天界のキャンペーンで一億人にひとりが当選する、幸せへのヒントを知る権利が与えられましたー!!」 ハイテンションに登場したのは、くるくる巻いた髪とゴテゴテのゴスロリ衣装に身を包んだ愛の妖精ヴィクトリカ(自称三百歳)と、そのダンナを名乗るクマのぬいぐるみの妖精クラウド。ふたりは不幸な杏珠に、「引き寄せの法則」でハッピーになる方法を授けてくれると言うのだが……。 使えるアドバイス満載! 人生がうまくいかなくて疲れちゃったすべての人に贈る実践型小説、ここに誕生!
街の便利屋さん、社長は実は黒狐でした。 --ちょっと不思議でなかなかハードな便利屋稼業。でも社長は……実は、お狐さま、だったんです……。 大学は卒業したものの就職に失敗して只今絶賛無職中の白石倭香は23歳。自己嫌悪でゆううつなのはもちろんだが、実家住まいなのでずっとこの立場でいるのは少々肩身が狭い。 ある日、大好きだった祖父の遺品整理の手伝いに「こっこ屋」と名乗る便利屋が、倭香の自宅へやってきた。ずいぶんかわいい社名だが、由来は別にかわいくもなんでもなく、同じ名古屋市内の狐坂に事務所を構えているから「黒狐」--つまり「こっこ」のなんでも屋、ということらしい。社長の黒木はすごいイケメンで、まだ若いけれど仕事もできる男だ。ところがわけあって一緒に行動するうちに、倭香はこの黒木のとんでもない秘密を偶然知ってしまう。そこで、秘密を絶対にバラさないという交換条件で「うちで雇ってやる」と黒木は告げ、求職中の倭香はずっと欲しかった「採用」の二文字につられて「こっこ屋」に入ることに。 なぜか人外ばかりの事務所に、たったひとり人間の社員として就職してしまったの勤務状況とは!?