2018年6月11日発売
わたしの頭部には一センチ四方の小さな正方形の孔があいている。一生に一度、訪れる激しい頭痛とともに、無名の記憶が不意に臨界点を迎えてなだれ込む。眼前を通過する、飛行機雲、マルタ会談、オリンピックのワンシーン。代々繰り返されてきた、一族の男たちを通過する不思議な体験。それはいったい、何を意味するのか。祖父のつぶやいた言葉を手がかりに、わたしは色と呼ばれる現象を考える。いまの世界に失われた何かを描き出す「オールドレンズの神のもとで」ほか、記憶や風景に抱かれたシーンを描き出す、彩り豊かな掌編小説集。 十数年にわたって書かれた18篇のピース。 大事なことは、少し遅れてやってくる。
「この門をくぐる者、全ての希望を捨てよ」そう落書きされた三つの“ゲート”だけで“区外”と繋がる“魔界都市“新宿””。“魔震”に見舞われ“亀裂”に画された副都心は、妖物が跋扈する街へと変貌した。その片隅でせんべい店を営む秋せつらは、絶美の美貌を誇る人捜し屋でもあった。ゾンビに恋人を殺された女、地図に記されぬ場所に逃げ込んだ男と女、幽霊船から帰還した夫妻など、奇怪な依頼は尽きない。やがてせつらが不可視の妖糸をふるう時、斬り裂かれた闇の向こうに待つものは?不朽の大人気シリーズ最新作!
資産家の娘・早百合に意中の相手がいるのか。調査を依頼された探偵の木暮と菜々は、最後の候補者と早百合がスクランブル交差点ですれ違うよう仕向ける。だが、その寸前に、なぜか木暮は早百合に電話を入れた…(「意中の交差点」)。借金苦から、休暇を利用して質屋に押し入った刑事の角垣。逃走中に電柱に衝突するも目撃者はなく、無事逃げおおせた。だが、なぜか上司の南谷は、角垣が犯人だと見抜くのだった…(「ある冬のジョーク」)。とっておきのアイデアを注ぎ込み、ストイックに紡がれた贅沢な作品集。
ある夜、自転車置き場で倒れている章吾を、偶然航が発見した。何者かに襲われたらしい。慌てて駆け寄った瞬間、大きな衝撃を受けた航は気を失ってしまう。やがて意識が戻った二人を待っていたのは、中身が入れ替わったカラダだった…!孫とジジイの最高のバディ誕生!