2018年6月発売
レッドキング、チャンドラー、そしてマグラーが相争った「怪獣無法地帯」の真相に迫るー山本弘の表題作「多々良島ふたたび」。希少生物としての怪獣の保護を図る戦闘的環境団体とウルトラマンが対峙するー小林泰三「マウンテンピーナッツ」。生命の危険を顧みない、怪獣類足型採取士の死闘ー田中啓文「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」など、SF的想像力でウルトラ怪獣とウルトラマンの世界を生き生きと描く7篇。
地球征服を目論みながら、死闘の末に光の国のウルトラ戦士たちの手で野望を打ち砕かれたヴェンダリスタ星人。しかし、辛うじて生き残ったキップ・ラト・メイスは、超常の力で全人類に屈服を強いていたー。一方で、彼ら同様に唯一生き残ったウルトラの聖女ティアは、なおも抗戦を続けるために、心ある人間たちを光の国の“飛び地”でウルトラ化する。二柳日々輝は、ウルトラマンデュアルとして地球を救う戦いに身を投じる!
刑事のエリザベスは、少女監禁犯を拷問の上で射殺したとして、激しい批判にさらされていた。州警察が内部調査に乗り出すが、彼女には真実を明かせない理由があった。同じ頃、元警官のエイドリアンが刑務所から仮釈放された。ある女を殺した罪をみずから認め、服役していたのだ。しかし同僚だったエリザベスは尊敬する彼の潔白を信じていた。エイドリアンは嘘の証言をしたのか?刑務所の外には、彼を待ち受ける銃口が…。
エイドリアンの出所後間もなく、女性の絞殺体が発見された。しかも、かつて彼が殺人を犯したとされる同じ教会の同じ祭壇でだ。これは連続殺人なのか?疑惑の目がエイドリアンに集まる。エリザベスは停職中ながら、彼の無実を証明すべく無謀な捜査を進めるが…。様々な秘密を抱えた女と男の道はやがてひとつに繋がり、邪悪な真実が明かされる!アメリカ探偵作家クラブ賞(エドガー賞)二冠作家が放つ、渾身の傑作!
ロサンゼルスに住む黒人青年アイゼイアは“IQ”と呼ばれる探偵だ。ある事情から大金が必要になった彼は腐れ縁の相棒の口利きで大物ラッパーから仕事を請け負うことに。だがそれは「謎の巨犬を使う殺し屋を探し出せ」という異様なものだった!奇妙な事件の謎を全力で追うIQ。そんな彼が探偵として生きる契機となった凄絶な過去とはー。新たなる“シャーロック・ホームズ”の誕生と活躍を描く、新人賞三冠受賞作!
スイスの町で、ドイツ語教室に通いはじめたアメリカ人のアナ。教室や町に満ちるよくわからない言葉と、彼女に誘いをかけてくるわかりやすい男たち。わからない言葉を盾にして、かたくなに秘密と憂鬱を抱えこむアナは、嘘をついて男たちと情事を重ねるが…。詩人作家が独特の文章で孤独をつづった文芸長篇。
突如、月が七つに分裂した!原因は不明だったが、その月のかけらがやがて指数関数的に衝突を繰り返し、二年後には無数の隕石となって地球に落ちると判明する。その結果、数千年続く灼熱地獄“ハード・レイン”が起こり、地球上のすべてが不毛の地となるだろう、と。人類という種を残すため人々は宇宙に活路を求め、各国政府が協調して、国際宇宙ステーションを核とした「宇宙の箱舟」をつくることになるが…。新作が次々とベストセラーリスト入りする、アメリカ・エンターテインメント界を代表する作家ニール・スティーヴンスンの、人類の未来を俯瞰する破滅パニック大作、開幕!
匠の技巧が存分に発揮された、粒ぞろいの短篇集。アニメ『トムとジェリー』をありえないほど緻密にした「猫と鼠」から、“もう一人のエジソン”が開発した「触覚機」をめぐる実験日記「ウェストオレンジの魔術師」まで、老いてますます冴える短篇の名手による十三篇を収録。
沢渡留理は亡き父親から引き継いだ会社“沢渡家具”を守ろうと必死だった。そのためには、志を異にする兄・要次と、その愛人でもある秘書の福田麻衣子を排除するしかない。留理は綿密に計画を練り、痴情のもつれを装ってふたりを殺した。偽装工作は完璧だったはずなのに、翌朝、家政婦から、家に強盗が入り、その強盗に兄が殺されたようだという連絡を受ける。いったい何が…。想定外の出来事に混乱しつつ現場に戻った留理は、子供のように捜査に没頭している長身の女刑事と出会った。その女は、花房京子と名乗ったー。
現象学者の凪田緒ノ帆は、半年前に自宅の火災で恋人を失った。まる焦げで発見されたその死体が持っていたスマホのロック画面には、下着姿の謎の女性の画像が残されていた。突然、緒ノ帆の前に現れた美青年・露木は“予現者”を自称し、「僕が予現したあなたの恋人以外の直近三件の火災事故では、いずれも被害者の男性のスマホにこの女性の画像がありました」といい、事件と女性の関係を一緒に調べようと誘う。さらに、謎の女性の画像を手がかりに、メグミという名前と、彼女を探す消防士・海老野ホムラが見つかる。三人は、露木の“予現”する火災とメグミの手がかりを追う旅をはじめたー。
死者10人を出した簡易宿泊所放火事件。警察官・寺島が入手したノートの「1970」「H・J」の意味とはー。45年の歳月を経て、2つの事件が結びつく時、過去に囚われた男たちの最後の戦いが始まる。現代史の“闇”に迫る怒濤の公安小説。
いつものように、王子追従に励んでいた取巻き筆頭の青年ロランは、貴族学園の転校生クリステルに懸想し、婚約者アドリエンヌを悪女と罵る王子に、突然、強烈な違和感を抱く。半年後に計画された王子の婚約破棄宣言を阻止するため、ロランは義妹のルネやメイドのエレナとともに、“神剣の勇者”としての力を使いながら、罠に嵌まる“悪役令嬢”を救うため奔走することに。一方、王子とその取巻きたちから崇められるクリステルには、誰にも言えない秘密があった…!?世界の秘密が解き明かされる!?「小説家になろう」の話題作、登場!
古くから伝わる“少女と魚の悲恋”の逸話をなぞるように絶世の美女の叔母に惹かれゆく少年を捉えた表題作をはじめ、規範や差別、偏見に苦悶するなかで邂逅するエロスを晴れやかに描く、現代ハイチ文学の傑作短編集。
度重なる激務に耐えかね、ついに倒れてしまったアラサーのサラリーマン・明智正五郎は、『神』による理不尽な気まぐれ(?)によって、一匹の猫に憑依させられてしまう。そして、突如として始まった、猫の飼い主の女子高生・柊との共同生活。猫になった明智には、神から次々と柊を救うための試練が与えられ…?試練をこなせなかったら一生猫のまま!明智は人間に戻れるのか!?ドタバタ・ヒューマン・ストーリー!
京都の大学卒業後、地元・浅草に戻ってきた祥子。家業の車夫を継ぐつもりが、実家はタクシー会社になっていた。父親の勝手なやり方に嫌気がさして家を出た祥子は、浅草で大道芸をやっている大也に出会い、彼が大家をやっているシェアハウスにお世話になることに。しかし、シェアハウスの住人は職業も国籍もクセのある人ばかりだった。そんな住人たちが引き起こす事件に祥子は巻き込まれていくー!
運命に導かれ、それぞれの楽土を目指せ。満洲の怪人・甘粕正彦、男装の麗人・川島芳子、欧州に現れた吉田茂。昭和史最大の事件「日中戦争」前夜、大陸に野望を抱き、夢を掴もうとする者たちが動き出す。そして、希望の光をまとい、かつての英雄が中原のかなたに探し求めた男がついに現れた。その名はー。