2018年8月発売
ようやく築いた生活とジャズの夢を奪われるマーキス/アメリカ。大切な人生の仲間と自負を失うワイン農家のホセ/スペイン。銃をとり、人買いの手から娼婦の妹を守るマルコ/フィリピン。北米、ヨーロッパ、アジアの国々の参戦、そして日本。地球規模のパワーゲームが私たちに強いるであろう決断と残懐。小説には力があると信じられる12篇!
船に乗るたびに災難に見舞われるロビンソン。無人島漂着でさすがに悪運尽きたかと思えたが、住居建設、家畜の飼育、麦の栽培、パン焼きなど、試行錯誤しながらも限られた資源を活用して28年も暮らすことになる…創意工夫と不屈の精神で生き抜いた男の波瀾の人生を描いた傑作。
同級生の男子ハンスや、金髪の少女インゲボルクに思い焦がれながらも、愛の炎には身を捧げられず、精神と言葉の世界に歩みだしたトニオ。だが大人になり小説家として成功してなお、彼の苦悩は燻っているのだった。若者の青春と新たな旅立ちを描いた、ノーベル賞作家の自伝的小説。
女優の弓香の元に、かつての同級生・理穂から届いた故郷での同窓会の誘い。欠席を表明したのは、今も変わらず抑圧的な母親に会いたくなかったからだ。だが、理穂とメールで連絡を取るうちに思いがけぬ訃報を聞き…。(「ポイズンドーター」)母と娘、姉と妹、友だち、男と女。善意と正しさの掛け違いが、眼前の光景を鮮やかに反転させる。名手のエッセンスが全編に満ちた極上の傑作集!
軽井沢の豪奢な別荘「白樺荘」に、莫大な遺産を相続することになった四人の男女が集まった。だが、生憎の悪天候で雪が降りしきり、別荘は外とは連絡が取れない孤立状態になっていた。そこで、一人、また一人と殺人鬼の毒牙にかかって相続人が死んでいく…。本格推理の巨匠が描いた密室殺人。発表から六十年近い年月を経て、初めて文庫化される幻の長編!
犯罪心理学教授である高倉孝一が対峙する奇妙な「隣人」たち。大型客船での旅路で出会った夫妻、大学講師や学生、音楽家…。日常に紛れ込んだ底知れぬ悪意が生み出す犯罪を、高倉は解き明かすことができるか!?彼が遭遇した過去の事件も収録。身の毛もよだつ五つの恐怖と衝撃があなたを襲うミステリー短編集。映画も大反響を呼んだ「クリーピー」の世界が深化する!
元人気女優で、今は芸能事務所の社長を務める東堂美都子。所属女優が主演する映画の製作を進めていたある日、美都子に、十三人を殺害したとされる容疑者の弁護士から呼び出しがかかる。容疑者が美都子に話した衝撃の事実とはー。多彩な人物の揃う東堂ファミリーも色を添える画期的な“芸能ミステリー”の傑作。「このミス」出身作家の光文社文庫デビュー作品。
インド洋上で原油を満載した巨大タンカーが炎上沈没した。船長以下六名が救出されたが、残り二十六名の生死は不明のまま、捜索は打ち切られた。だが、その船長が変死を遂げ、十津川警部補のもとに、犯人を名乗る人物からさらなる殺人を予告する挑戦状が届く。警察の必死の捜査を嘲笑うように次々と殺害される元乗組員たち。十津川は狡猾な犯人を挙げられるのか!?
新人作家・鳥海昌夫へ処女作の見本を届けるため、笹谷美緒は札幌を訪れた。だが、彼は待ち合わせに現れず、焼死体となって発見される。東京に戻った美緒に、坂本留実という女性から連絡が。その女性は鳥海から文学賞の賞金五百万円を託されていたのだった。鳥海の周囲に蠢く怪しい男たちも死の渦に巻き込まれ…。過去と現在が交錯する謎に、壮・美緒が挑む!
銀座で洋裁店を経営する美しい叔母、芦名隆子は倉田麻佐子の自慢だった。その叔母から頼まれて、叔父、信雄の故郷に同行することになったが、そこで、所有していた山林が一部売却されたと聞かされる。麻佐子は売却を知った叔父の様子に疑問を抱き、事情を調べ始めた。店の資金繰りが近頃苦しくなったという話も耳に入り、心配は膨れるばかりだー。
金を借りた岸井老人が殺され、麻佐子は隆子のことが気がかりだった。そして、別居を始めて傷心の信雄も心配で、叔母夫婦に降りかかった一連の問題を調べ始める。大学時代の旧友で、交通関係の業界紙に勤める西村五郎を思い出し、相談を持ち掛けるのだが、殺人は続きー。『おくのほそ道』を手に回った旅が悲劇を呼んだ。松本清張、快作長編ミステリー。
南町奉行所定町廻り同心の柏木千太郎は、腕が立ち情に篤く正義感にあふれた江戸の人気者。-ところが、一つだけ変わったところが。彼には、顔がない。つまり、のっぺらぼうなのだ!不器用だが心優しい同僚の片桐正悟や、千太郎を慕う下っ引きの伊助らとともに、数々の不思議な事件の解決に奔走する。笑えて泣けて癒される、傑作あやかし時代劇の第一幕、開幕です!
大道芸で生計をたてる小見川藩元藩士の朝比奈結之助は、鍼灸師・関口慈安の警護をしていたが、突如現れた刺客と戦っているうち、慈安は殺害されてしまった。じつは、慈安は上州高崎藩の内情を探っていた。慈安の仇となる相手は馬庭念流の遣い手。結之助の「無住心剣術」の豪剣が唸る。「鬼役」の坂岡真が描いた「涙のシリーズ」が新装版で登場。落涙の第三弾。
戦国時代には数々の合戦の舞台裏で、徳川の治世にはその政の背後で、彼らは密かに戦い続けていたー。伊賀、甲賀、軒猿…時に密命を受け、時に自らの意思で死地へと飛びこんでゆく忍者たち。秘術を尽くした激烈な死闘に息を呑み、仁義なき騙しあいに手に汗握る。本格ミステリーの手練れたちが全編新作書下ろしで贈る、謎に彩られたスーパー忍者活劇全五編!
元南町奉行所の定町廻り同心の沢村伝次郎は船頭として生計を立てている。伝次郎のところへ、同心時代の小者で、いまは油屋を営んでいる音松が斬られたと知らせが入る。音松は、かつての伝次郎の仲間である定町廻り同心の探索の助をしていたという。音松を斬ったのは何者なのか。伝次郎は、下手人の探索に奔走するがー。人気シリーズ、ついに慟哭の最終巻!
幕末から明治へー。捕鯨集団「太地鯨組」の若き棟梁・太地覚吾を、激変する時代の荒波が襲う。外国船の乱獲による鯨の不漁、南海地震による大津波、村を救うため画策した蝦夷地での操業も頓挫する。そして、巨鯨を追うあまりに引き起こされた海難事故「大背美流れ」では、百名以上の生命が奪われる。時代に抗い、度重なる苦境に、何度も立ち向かい続けた男の物語。
片足に障碍を持ちながら山王町で水商売をする澄江は年下で喘息持ちの高井と心を通わせるが、西成で生きる人々の業がふたりに悲劇をもたらす(「湿った底に」)。裕福な家に育ち空虚な人生を送っていた青年と夜の街で奔放に踊る女性。互いに惹かれあいながらもすれ違う男女の行方(「落葉の炎」)。「魂の観察者」と称された作家が大阪西成を舞台に描く傑作短篇集。
ホワイトハウスの厨房に大仕事が舞いこんだ。長年にわたって関係のよくなかった国が和平会談に同意したので、それに先立ち国賓晩餐会を開催するというのだ、一週間後に!オリーたちは世界のリーダーにおいしい料理でくつろいでもらうことを目指すが、スタッフ間での問題が発生しー。総料理長としての試練に挑む一方で、プライベートの悩みも抱えるオリー。恋人ギャヴとの結婚を決めたはいいけれど、手続きに予想以上に時間がかかることがわかったのだ。ギャヴの友人に頼んで事を進めようとするも、友人は不可解な事件に巻き込まれてしまう。いつになったらおちついてしあわせをかみしめられるのか!?
ナポレオン戦争に出征し足を負傷して以来、失意の日々を送っていたベネディクト。しかし前向きになろうと決意して、不自由ながらも乗馬をした日、散歩をしていた貴婦人サマンサにぶつかりそうになってしまう。彼女は、5年ぶりに家の外に出たところだった。最悪な出会い方をした二人だったが、互いの孤独な悲しみを知り、少しずつ心を寄せ合っていく。だが、サマンサは一族の当主の命令で遠方の屋敷に君を移さねばならなくなった。これ以上、家に縛り付けられたくはないと思った彼女は、亡き母が残してくれたウェールズのコテージに一人で越すことに決めたとベネディクトに打ち明ける。心配した彼は、せめてウェールズまで彼女を送り届けさせてほしいと申し出て、二人の旅が始まるが…“サバイバーズ・クラブ”シリーズ待望の第3巻!