2019年10月16日発売
伊賀忍者の末裔・流英次郎とその一統は、影将軍に隠密の護衛役として仕え、幕府の危機を救ってきた。その影将軍が正統の血筋に戻すことを決意すると、幕閣、大奥、御三家の思惑や野心によって抗争が勃発。英次郎一統は現治世を護るため最後の戦いへ。吉川英治文学賞受賞作「悪道」シリーズ、ついに完結!
親に捨てられ、家もない孤独な少女・繁あね。病気で膿だらけの彼女に声をかけられた「私」は、ふと彼女に得も言われぬ美しさを垣間見る。生命の奥から立ちのぼる美を描き出した表題作他、凋落した武士のもとに現れ、男を立ち直らせていく女性の強さを優美に描いた「あだこ」など。女の美の真髄を匂やかに綴った七篇。
警視庁捜査一課刑事宇田川の同期、特殊犯捜査係女刑事大石が「しばらく会えなくなる」と言い、消息を絶った。かつて公安にいた同期蘇我と同じように。同期二人の失踪に心を痛めるなか、臨海地区で暴力団関係者と思われる刺殺体が見つかる。現場の防犯カメラ映像に残された同期だけにわかるメッセージとは?胸が熱くなる新世代警察小説、同期シリーズ。
中華料理店の女将・戸田一子が殺される。一子は、娘の二三子とともに台湾に招待されていた。十津川警部の忠告を聞かず単身台湾へ向かった二三子の消息が掴めない。十津川が入国すると、「すぐに日本へ帰れ」という脅迫電話が。誰が、何の目的で?台湾を縦断捜査する十津川と亀井刑事がたどりついた驚愕の真実。
湘南新宿ラインで痴漢事件が発生。死亡した容疑者の遺留品から空薬莢が見つかり、事態は急転する。聞き込み中の捜査員が撃たれ、銃撃犯はサブマシンガンを持ったまま逃走。さらに警視庁には、駅を狙った銃乱射テロ予告が、複雑な首都圏の鉄道網を利用して警察を翻弄するテロリストに、鉄道捜査班が挑む!シリーズ第2作。
決死の覚悟でオーディション番組に挑むも、敗退した新城と溝口。ライバル達が売れていく中、バイトと稽古に明け暮れるだけの日々は心を蝕んでいく。どん底でもがきつづけた先に見出した、それでも漫才をやりたい理由とは?弱小お笑い事務所を舞台に、夢を追う者達の挫折と成長を描いた7つの人間ドラマ!
「皆さん、おはようございます、日直の杏子です」「拒食も過食も不眠も自傷の一種だ」「僕はあなたがたを愛しているので、方法は記しません」「関東地区でパーティー希望です」「俺は死にたくない!」「だってわたしはもう子供じゃないから!」人々の声は、あなたに届くでしょうか?第39回野間文芸新人賞受賞作。
高校二年の南尾小百合は、ある日、通学途中にバスを乗り過し、終点の小さな町に降り立つ。しかし、そこで一人の男性に出会った後、行方不明になってしまいー(表題作)。どこへでも突然現れる、警視庁捜査一課の名物男・大貫警部が、今日も事件の現場に居合わせる。謎あり笑いありの大人気シリーズ最新刊!
人生を八十年とし、それを四で割ってみた。四は四季の四である。すると、今年五十のわたしは、秋の真んなかにいる。夫は高校の同窓生。卒業後十数年ぶりに再会し、結婚した。けれどある日、高校時代の友人の口から、かつて好きだった卯月くんの名前が出てー。大人の心に寄り添う、切なく優しい短編集。
累計230万部突破の超人気シリーズの粋を集めたベスト集。恐怖、感動、笑い、涙…そして、最後にやってくるだまされる快感!たった5分の中で起こるドラマが、日常をリフレッシュさせる。ティーンから大人まで、どこから読んでも楽しめるショート・ショート集。朝読にも最適。書下ろしを含む22編を収録。
吉原の妓楼・尾張屋で、遊女の小間物を盗んでいるやつがいる。楼主の頼みで、真一郎と大介は盗人探しに乗り出すが…。不遇な遊女の運命に涙する「盗人探し」ほか、元矢師の用心棒・真一郎と洒落者の大介、出自不明の美女・多香など、貧乏長屋の住人がおせっかいと男気で事件解決に奔走する人気シリーズ!
全焼した自宅から精神科医の焼死体が発見された。自殺か他殺か。姿を消した妻の行方は。捜査が難航する中、京都府警の片岡真子は精神科医の遺品から、ある女性の事故死を知る。彼女の遺した「想い」に気づいた真子は、裏で糸を引く、人の心を持たぬ男に立ち向かうが。女性刑事の閃きが光る、本格警察ミステリー。
羽野千夏は、民俗学を研究する大学生。“消えない記憶”に興味を持ち、老人養護施設を訪れる。入所者のルリ子は、夕方近くになるとホームから脱走を図る常習者。会話が成り立たないはずの彼女が発した「おろんくち」という言葉に千夏は引っ掛かり、記憶の森に潜り込むが…。乱歩賞作家の深層心理ミステリー。
遠い未来、衰退の危機を認めた人類は、「母」のもと、それぞれの集団どうしを隔離する生活を選ぶ。異なる集団の人間が交雑することにより、新しい遺伝子を持ち、進化する可能性がある人間の誕生に賭けたー。かすかな希望を信じる人間の行く末を、さまざまな語りであらわす「新しい神話」。泉鏡花文学賞受賞作。
汐見橋の袂に佇み、茶道具屋を眺める旅の渡世人を不審に思った閻魔堂赤鬼こと、戯作者の青山麟太郎。男は、沼津藩に家臣を殺して手配中の凶状持、平七だった。早速、店の番頭に聞き込みをした麟太郎は、その態度に違和感を覚える。幼馴染を想うがゆえの執念に、六年前の殺しの真相は覆るのか?
元亀三年、武田信玄は上洛を目指し動き出す。家康所領の城が次々に落ち、要衝の二俣城もついに陥落する。三方ヶ原の戦いで完膚無きまでに打ちのめされ、敗走する家康の窮地を救うべく、山の者が快刀乱麻、躍動する。時に家康に味方し、滅亡に向かう武田に影のように寄り添い、義のために戦う男たちの熱き姿。
三方ヶ原で家康を追い詰めた信玄の動きが突然止まる。信玄亡き後、代替わりした勝頼は家臣団を纏めきれず、長篠の戦いに敗れ、高天神城も落城する。石山合戦を終えた信長がついに牙をむき、武田が崩壊していく最中、嶽神・無坂は落城必至の高遠城に入り、小見の方を守り戦う道を選ぶ。気高く美しき男の最期。
凄惨な轢き逃げ遺体が運ばれ、解剖が始まった。唯一の目撃者は8歳の女の子。警察が目撃証言を取ろうと詰め寄るが、ミチルはその少女をかばって、若い警察官を殴りつける。実はミチルも、かつて友達の轢き逃げ事件の「目撃者」になったことがあった。21年の時を経て、2つの事件の闇が照らし出されていく。
ぼくの故郷の山は、松がねじ曲がり、季節外れの桜が咲き、不思議な音で鳴る。十九年ぶりに山が鳴っていると知り、ぼくは集落に帰ってきた。明日から今までとは全然違う人生が始まるかもしれない、という思いを胸にー。かつてぼくと同級生の少女はこの山で、誰にも説明のつかない奇妙な体験をしたのだ。平家物語で知られる和歌で詠まれていた世界の秘密とは。郷愁ただよう物語。