2019年10月7日発売
槍も取らず、舌先で戦う男ー甲斐・武田晴信(信玄)の側近向山又七郎は、外交交渉を担う計策師。不可能と見られた調略や降伏勧告を成功させて平然と生還する。元来飄々として捉えどころのない美男の剣豪は人を寝返らせ、騙して、武田に勝利をもたらすが、妻子を亡くし、己を使い捨ての駒だと自嘲するうち、心も荒んでいた。主君の敵を言葉で滅ぼしてきた計策師が、暇乞いと引き換えに晴信から下された最後の仕事は、武田が戦国の世を生き抜くための「甲駿相三国同盟」の締結という巨大な外交課題であった。足を引っ張る武田の重臣たちや刺客、次々と現れる諸国のくせもの計策師たち。要人の利害・裏切り・謀略に翻弄されながらも、又七郎は同盟を実現できるのか!?
小箱の番人、歌でしか会話ができないバリトンさん、息子を失った従姉、遺髪で竪琴の弦をつくる元美容師…「おくりびと」たちは、孤独のさらに奥深くで冥福を祈っている。『ことり』以来7年ぶりの書下ろし長編小説。
神秘の山“冥府山”に集まった腕利きの男女たち。そして行方知れずの母親と恋人を探す女性ミルドレッドに旅の同伴を頼まれたDもまた、山頂の冥府城を目指す。この山に集まる彼らには共通する過去があった。彼らを呼び寄せた者の正体、そしてその目的は一体ー?
ミステリー作家は、デビュー作の登場人物に殺された!小説『毒殺倶楽部』の著者の死は荒唐無稽な憶測を呼んだ。しかし、毒殺倶楽部のメンバーを名乗る人物が次々と現れるにつれ、事件は思わぬ方向に転がり始める。現実と虚構世界が交錯する、逆転につぐ逆転のラビリンス。
資産家一族が起こした完全犯罪に3人体制となった特命係が挑む。遺体はどこへ消えたのか?右京の進退を賭け、策謀渦巻く難事件に立ち向かう「ボディ」、事故死で処理されていた事件をめぐり、拘禁中の妖艶な女詐欺師が特命係を翻弄する「ブラックパールの女」、カメを尾行した右京がホームレス襲撃事件に遭遇する「うさぎとかめ」など6篇を収録。