2019年3月10日発売
国家の巨大暴力に対抗するテロリズムを描く『さようなら、私の本よ!』と、国家の巨大暴力がもたらす原発事故を描く『晩年様式集』を収録。晩年の円熟を拒否して社会・時代に抵抗する。ノーベル文学賞作家が企てたテロル、予見したカタストロフ。
眉目秀麗、将来有望な蘭学医の卵・真吉。その心中事件に秘められた衝撃の真相とはー。親思いで優しく、蘭学所からの信頼も厚い彼は、長崎への留学を控えていた。そんな折、女を狙った凄惨な連続殺人が起こり、真吉が先生役を務める寺子屋の少女も犠牲になってしまう。彼は自ら犯人を捕まえようと立ち上がるが、その直後、真吉自身にも思わぬ容疑がかけられる。嫉妬と愛憎渦巻く、一気読み必至の長編時代小説。
書店に勤める青年、月原一整は、人づきあいは苦手だが、埋もれていた名作を見つけ出して光を当てることが多く、店長から「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼されていた。しかしある日、店内で万引きをした少年を一整が追いかけたことが、思わぬ不幸な事態を招いてしまう。そのことで傷心を抱えて旅に出た一整は、ネットで親しくしていた、桜風堂という書店を営む老人を訪ねるため、桜野町を訪ねるのだが…。
「誰かの大切な居場所は、守らなきゃいけないんだ」-入院中の店主から桜風堂書店の店長になってほしいと頼まれた月原一整は、迷いながらもそれを受け入れる。そして彼が見つけた「宝もの」のような一冊を巡り、彼の友人が、元同僚たちが、作家が、そして出版社営業が、一緒になって奮闘し、ある奇跡を巻き起こしていく。田舎町の書店で繰り広げられる、本を愛するすべての人に読んでほしい温かい物語。
江戸は根津宮永町にある「鯖猫長屋」の朝は、今日も賑やかだ。長屋の面々を“仕切って”いるのは、鯖縞模様の三毛猫サバ。そんなサバには人間の子分が二人いる。飼い主で画描きの拾楽と、「成田屋の旦那」と呼ばれている定廻同心・掛井だ。その掛井が手下の平八をかばって窮地に立たされる。拾楽がサバの力を借り、事件の核心に迫っていくと…。謎解きと人情が交錯する人気シリーズ第六弾。