2019年4月18日発売
泥沼の様相を呈し始めた第一次世界大戦。シャンパーニュの塹壕で死に瀕していたドイツ軍兵士・イェルクは、伯爵と名乗る不思議な男に救われる。引き替えに与えられた使命はただひとつ、リラという少女を護衛すること。不死の存在として人類に関わる伯爵、運命の悪戯でその伴走者となったイェルクとリラは、戦禍の悲惨を見続けるうち、ある決意を抱くがー。
太古の昔、砂漠惑星フ=ドゥルナデに双頭の種族スコプが住んでいた。ある日、惑星と種族の滅亡を目前にしたかれらは、スコプの特徴をすべてそなえた一細胞核を宇宙に送りだす。いつか居住可能な惑星が見つかったら、その細胞核からあらたなスコプ種族を発展させるつもりだったのだ。やがて時がたち、細胞核から誕生した女スコプのフ=ドゥルナデがアルマダ中枢からのメッセージを受信し、門閥の母と呼ばれるようになる!
ガイナスとの艦隊戦に勝利した独立混成降下猟兵連隊のシャロン紫檀大佐らに届いた未知の信号。それは、五年前に遭難したはずの友軍艦の識別コードだった。発信源の天涯へと再び向かったアンドレア園崎少佐らは、地下都市でガイナスの異様な姿を目撃する。報告を受けたタオ迫水筆頭執政官は急遽危機管理委員会を招集、水神魁吾方面艦隊司令長官は戦友を呼び戻し、総力を結集してガイナスとの決戦に赴く。堂々の第一部完結。
星智慧女学院3年A組の生徒たち18人とこの宇宙の命運を決定的に変える事態が起こったのは、空上ミカが八倉巻早紀を見つめていたときだったー突如現れた怪物の襲撃により、大混乱に陥る教室。そこに現れたAI生命のシグナ・リアは、彼女たちがあるゲームに参加しなければ、人類は消滅してしまうと告げる…800万年前のサバンナを舞台に、生物種の進化史を賭けた大冒険が幕を開ける!渾身の青春ハード百合SF群像劇。
孔明は泣いたが、馬謖の首は斬れなかった。誰もが息を呑んだその理由とはー名軍師のがんばりが並行宇宙論へ飛躍していく表題作のほか、異種族の共存する世界でドラゴンカーセックスをテーマに繰り広げられる感動ファンタジイ「竜とダイヤモンド」、アルキメデス×太宰治な書き下ろし「走れメデス」など、『トランスヒューマンガンマ線バースト童話集』の著者が贈る、笑えて泣けて度肝を抜かれる奇想SFエンタメ全5篇!
昭和2年。稀代の博物学者である南方熊楠のもとへ、超心理学者の福来友吉が訪れる。福来の誘いで学者たちの秘密団体「昭和考幽学会」へと加わった熊楠は、そこで新天皇即位の記念行事のため思考する自動人形を作ることに。粘菌コンピュータにより完成したその少女は天皇機関と名付けられるがー時代を築いた名士たちの知と因果が二・二六の帝都大混乱へと導かれていく、夢と現実の交わる日本を描いた一大昭和伝奇ロマン。
クリスマスの日、私は三本の運命的な連絡を受けた。怪しげな弁護士からグアテマラの新たな依頼人の紹介、パナマの友人からのかなり大きな仕事への誘い、そしてコロンビアの弁護士からの「すぐに来てくれ!」というeメール。これらをうまくさばけば、莫大な報酬を手に、このやばい稼業から足を洗えるかも。一か八か、危険な綱渡りに踏み切るが…正邪ギリギリに生きる極道弁護士の生きざまを描く痛快リーガル・スリラー。
モンタナ山中での調査からモーテルに戻ってきた生物学者セオ・クレイは、突如警察に拘束された。かつての彼の教え子が、無残に切り刻まれた死体となって近隣で発見されたのだ。セオの嫌疑はすぐに晴れ、検死の結果、犯人は熊とされた。だがセオはその結論に納得せず、独自の調査を始めるのだったーカオスの中に秩序を見出す!生物情報工学を駆使して事件を解決する天才教授セオ・クレイの活躍を描く、シリーズ第一弾。
ピップ・タイラーは23歳。高額の奨学金ローンを抱え、自宅はアナーキストたちとのシェアハウス。仕事は歩合制の電話営業。ただひとりの身内である母親は、どうも偽名を使っているらしく、さらに父親が誰なのか教えてくれない。父親についてわかるのではないかーそんな希望をもって、ピップは南米に本拠地を置く情報公開組織“サンライト・プロジェクト”に参加し、謎めいたリーダー、アンドレアス・ヴォルフを知る。ヴォルフは彼女にある秘密を打ち明けるのだが…秘密と嘘、理想主義、正義と不正、愛情、憎悪、そして殺人ー壮大なスケールで織りなされる現代版『大いなる遺産』。
3つの大陸、3人の女性、3通りの人生。唯一重なるのは、自分の意志を貫く勇気。インド。不可触民のスミタは、娘を学校に通わせ、悲惨な生活から抜け出せるよう力を尽くしたが、その願いは断ち切られる。イタリア。家族経営の毛髪加工会社で働くジュリアは父の事故を機に、倒産寸前の会社をまかされる。お金持ちとの望まぬ結婚が解決策だと母は言うが…。カナダ。シングルマザーの弁護士サラは女性初のトップの座を目前にして、癌の告知を受ける。それを知った同僚たちの態度は様変わりし…。3人が運命と闘うことを選んだとき、美しい髪をたどってつながるはずのない物語が交差する。文学賞8冠達成!全国図書館協会賞、グローブ・ドゥ・クリスタル賞(文学部門)、「ルレイ」旅する読者賞、女性経済人の文学賞、ユリシーズ賞(デビュー小説部門)、フランス・ゾンタクラブ賞、全国医療施設内図書館連盟賞、ドミティス文学賞。
地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館苑ー“アフロディーテ”。そこには、全世界のありとあらゆる美術品、動植物が収められている。音楽・舞台・文芸担当の“ミューズ”、絵画・工芸担当の“アテナ”、そして、動・植物担当の“デメテル”-女神の名を冠した各専門部署では、データベース・コンピュータに頭脳を直接接続させた学芸員たちが、収蔵品の分析鑑定・分類保存をとおして、“美”の追究に勤しんでいた。そんな博物館惑星に赴任したばかりの新人自警団員・兵藤健は、同じく新人で、総合管轄部署“アポロン”配属の尚美・シャハムらとともに、インタラクティブ・アートの展示管理や、強欲な画商などにまつわるさまざまな事件に対処することになるがーダニエル・キイス推薦の名作『永遠の森ー博物館惑星』、19年ぶりの続篇。
アメリカのあらゆる女性から、言葉が奪われたー。大統領の強制的な政策のもと、すべての女性の手首に、一日100語以上を喋ると強い電流が流れるワードカウンターがつけられた。女性たちは日常生活を制限され、出国することも禁じられた。認知言語学者だったジーンは、夫、息子たち、幼い娘とともに暮らしていたが、ある日彼女の前に大統領の側近たちが現れる。かつて失語症の研究をしていた彼女に、事故で脳に損傷を負った大統領の兄を治療する研究を、ある条件と引き換えに依頼したいというのだが…。“21世紀版『侍女の物語』”と激賞を浴びた、いま、この時代に読むべきディストピアSF。
その怒り、その悲しみ、その絶望。なぜ殺人鬼が生まれたのか。児童虐待、子供の貧困、外国人労働者。格差社会の闇に迫る、クライムノベルの決定版!新大藪賞作家が、平成に埋もれた真実をあぶりだす!
農林水産省で防疫に従事する酒井恭平は、上司から“サトゥルヌス・リーチ”という未知の寄生虫が日本に入ってくるかもしれない、と聞かされる。対策のためアメリカから招聘したという専門家、ジャカランダ・マクアダムスを迎えに行った酒井は、ジャカランダがネコ科の動物を連れた、まだ大学生の美女だったことに驚く。戸惑いつつも霞が関に戻った酒井たちを待っていたのは、農林水産省の上層部と、警視庁警備部の人間だった。いったい、何が始まろうとしているのか…?
城石明音は先天性の心疾患を患っていた。8歳の時に病状が悪化し、両親は渡米しての心臓移植手術を決断する。しかし、そのためには1億5千万円という莫大な費用が必要だった。懸命の募金活動の末、募金額は目標額を超え、明音はチャーター機でアメリカに渡った。幸いドナーも見つかり、手術も無事に成功し、明音は一命を取り留めた。誰もが明音の生を祝福しているかのようだった。このときまではー。募金活動と心臓移植手術によって命を救われた少女・城石明音の半生を、教師、同級生、夫など周囲の人間の目を通して描いた、骨太の人間ドラマ!!
怪人二十面相、焼け焦げた帝都を暗躍す!1945年8月15日、日本敗戦。明智小五郎は応召して不在。「二十面相ふたたび現る」の報に、小林少年がひとり、立ちあがる!昭和を代表するダーク・ヒーロー、巨匠の筆に乗り、平成の終わりを駆け抜ける。痛快無類の冒険探偵小説!
集中豪雨で崩壊、全滅した山村にただ一人生き残った男を、テレビカメラとレポーターが、貪るようにしゃぶりつくす。遺族の感情を逆撫でし、ネタにしようと群がるハイエナたちに、男は怒りが弾け、暴れ回る。怒りの引き金を引いた女性アナウンサーは業界を去り、男は彼女もまたマスコミの犠牲者であったことに気づく。その二人が場末の食堂で再会したのは、運命だったのか、それともー。強烈な皮肉と諧謔が、日本に世界に猛威を振るっている「第四の暴力」マスコミに深く鋭く突き刺さる!日頃抱いているギョーカイへの疑問と怒りが痛快に爆発する問題作、激辛の味付けで登場!!