2019年4月5日発売
絵を描くことが好きな少女・さくらは、ある日、月光に照らされて夜の池に浮かぶ美しい女性の姿を描く。その胸にはナイフが突き刺さっていたが、それはさくらの空想のはずだった。だが、大人になったとき、さくらは祖母から、女優だった叔母・ゆう子が20年前、京都の広沢の池で刺殺されたことを知って愕然とする。空想で描いたはずの絵は、実際に起きた事件を描いたのか。さくらは、叔母の死の謎を探ろうとするが……。究極の愛と絆を問うミステリー!
世界各地の戦場で容赦ないゲリラ狩りをしていた傭兵部隊・吸血兵団を率いる扶桑大悟。が、突然の父の死により、任侠団体・扶桑組を継ぐべく帰国するーー。今では仮の姿、世界的企業のカリスマ経営者として活躍する大悟だが。愛娘と陰で組を操る謎の女が、東京湾を不法占拠する独立国家『トンキン租界』に潜入したとの知らせを受け…。血煙立ち込める戦地から仲間を救う事はできるのか?闘争に飢える扶桑の血が、新たな戦場へと大悟を駆り立てる!
白河十一万石の当主松平定信の跡継ぎである定永が、刺客たちの襲撃を受けた。弟が襲われた裏側に、幕府を滅ぼそうとする陰謀を感じた松平蒼二郎は、新たに仲間に加わった定信お抱えの忍びの者、百舌丸とともに、京の都へ向かう。今回の敵は…禁裏、公家である。闇仕置の仲間、辰次や丈之介も後を追って京へ。そこでは最強の刺客との対決が待っていた。剣豪小説の傑作シリーズ、完結。
コーヒー、紳士服、ソースなど、日本で最初に販売・製造されたものの多い街・神戸。 日本初の潜水艦を造った会社で、設計士を勤め上げた男とその妻。 ミュージシャンを目指しながら保険外交員をする女性。 怪しげな仕事をする元不良たち。 様々な環境の人たちが、日本で最初にジャズバンドが生まれた街で、ジャズをきっかけに知り合い、神戸の再開発を巡る騒動に巻き込まれながら、逞しく生きていく姿を描く。
京都の小さな町で、遺書らしきメモとともに34歳の女性・小倉由那の遺体が発見された。それから数日後、同じ町で心療内科を開業する慶太郎のもとを、女子高校生の棚辺春来が母親に連れられて訪ねてくる。彼女の不調の原因を探ろうとする慶太郎は、春来の口から由那の死に関する驚くべき疑念を聞いてしまう。
涼風警察署梅津東交番の警察官・穀堂忍は大のアイドルファン。ある日、警察署創立30周年イベントで推しのアイドル「ミルキ→ウェイ☆ホイッパ→ズ」を一日警察署長にするという忍の案が採用される。しかし、イベント中に「木星王国」と名乗る集団による自爆テロが発生。さらにミルキ→ズが事件の捜査に乗り出し…。「この子たちは私をクビにする気だ…」。痛快ノンストップ警察小説!!
次世代警察ミステリーの大本命! 警察内の「悪」を暴く人事一課監察の熱き闘い 池上冬樹氏(文芸評論家)、激推し!! 裏切り者がこの中にいるーー 緊迫の人間ドラマ! 「いやあ面白い。…三つの事件が出たり入ったりして葛藤劇を形作っていく。 緊迫の度合いを高め、いったいどうなるのかと先の展開を期待させて、 一気に結末へと読者を引っぱっていく。 しかも人物と読者の感情をかきたてながら」 ーー池上冬樹氏(文芸評論家) かつての仲間も容赦しない。 それが俺の仕事だーー 警察職員の不正を取り締まる部署、警視庁人事一課監察係に所属する佐良は、 捜査一課所属時の元同僚で、現在は運転免許場に勤務する皆口菜子の監察を命じられた。 彼女が免許証データを売っているとの、内部からの密告があったのだ。 佐良は、上司とともに皆口の尾行を始めるが、やがて未解決事件との接点が…… 実力派の俊英が放つ警察ミステリー! 【目次】 一章 行確 二章 再会 三章 十二月のコオロギ 四章 肉迫 五章 雪消 解説 池上冬樹
▼真実を追い求めよ 1989年の革命、9.11の犠牲、イラク戦争、深まる中東の危機、 そして、アメリカ共和国の没落ーー。 時代の変化に抗い、飽くことなく真実を追究した知識人、 トニー・ジャットの魂の軌跡。 トニー・ジャットは中央ヨーロッパのユダヤ系一族にルーツを持つ、 イギリス出身の歴史家であった。 奨学金少年(スカラーシップ・ボーイ)として、戦後福祉国家の恩恵を受けて育ったジャットは、 ヨーロッパ的な社会民主主義を徹底して擁護し、 反知性主義や反エリート主義の風潮に抗った知識人であった。 そう、ジャットは確かに知識人であった。 彼は歴史家として、歴史を書くだけではなく、 歴史に学び、得られた洞察と知恵をもって、現代世界に語りかけた。 1989年のさまざまな革命、9.11の犠牲、イラク戦争、深まる中東の危機、 そして、アメリカ共和国の没落ーー。現実が変化し事態が展開していくにつれて、 ジャットは、時代の潮流に逆らって進み、彼の知力のすべてをもって、 思想という船の向かう先を、異なる方向に向けるための戦いを繰り広げた。 本書は、飽くことなく事実と真実を追究した知識人、トニー・ジャットの 魂の軌跡である。 序 誠実さをもって ジェニファー・ホーマンズ< I 一九八九年ーー私たちの時代 第1章 終わりなき下り坂 第2章 ヨーロッパ、大いなる幻想 第3章 重罪と軽罪 第4章 冷戦が機能した理由 第5章 自由と自由の国(フリードニア) II イスラエル、ホロコースト、ユダヤ人 第6章 どこにも辿り着かない道 第7章 イスラエルーー代案 第8章 「イスラエル・ロビー」と陰謀論 第9章 戦後ヨーロッパにおける「悪の問題」 第10章 地に足の着いたフィクション 第11章 イスラエルは民族的神話を解体せねばならない 第12章 常套句(クリシェ)なきイスラエル 第13章 何をなすべきか? III 9.11と新世界秩序 第14章 『ペスト』について 第15章 みずからの最大の敵 第16章 私たちの現在の生き方 第17章 海外の反アメリカ派 第18章 新世界秩序 第19章 国連は命運尽きたのか? 第20章 私たちはいったい何を学んできたのか? IV 私たちの現在の生き方 第21章 鉄道の栄光 第22章 鉄道を取り戻せ! 第23章 革新という名の破壊の鉄球 第24章 社会民主主義の何が生き、何が死んだのか? 第25章 揺れる二つの世代 息子ダニエル・ジャットとの対話 V 人はいずれみな死ぬ 第26章 フランソワ・フュレ(一九二七ー九七年) 第27章 アモス・エロン(一九二六ー二〇〇九年) 第28章 レシェク・コワコフスキ(一九二七ー二〇〇九年) 原注 訳注 訳者あとがき 索引