2019年4月9日発売
太宰、漱石、鴎外、賢治、芥川から、ドイル、アンデルセン、ケストナー、ベケットまで。古今東西の名作をもとに編み上げられた16のパスティーシュ小説集。禁酒時代にアブサンの代用酒として作られたパスティスが、以後もずっと人々の口を愉しませ、酔いを誘ってきたように、オリジナル作品を知らなくても、知っていればなお一層、小説の醍醐味を存分に楽しめる珠玉の作品集。
復活祭の休暇を田舎のコテージで過ごすことにしたミス・シートン。スケッチと庭いじりとヨガをしながら穏やかに暮らしていた。目下の悩みは、頼まれて描いている村の少女の肖像画が、何度描き直しても不吉な雰囲気になること。そんなふうに描きたくないのに…。一方、ロンドンでは子供ばかりを狙った事件が発生。捜査に行き詰まった警察は少しでも手がかりになればとミス・シートンの力を借りようと決めた。しかし警察がパトカーで迎えにきたことで、ミス・シートンが逮捕されたという噂が村中を駆け巡ってしまう。さらに、「戦うこうもり傘」の密着取材のために新聞記者が村に滞在しはじめ…!?
放蕩者に誘惑され、スキャンダルを起こして社交界から追放されたノラ。以来、田舎でひっそりと暮らしていたが、父親が破産したため、サターフィールド伯爵夫人のコンパニオンとして働くことになった。伯爵夫人は彼女を気に入り、社交界に再デビューさせる。伯爵夫人の義理の息子ケンダル公爵タイタスは、かつては放蕩にふけっていた。だが自分が仲間をそそのかしたせいで、ひとりの令嬢の運命が変わったことにショックを受けて改心し、社交界と距離を置く孤高の存在になった。義母からノラを紹介されたタイタスは、あの時の女性だと知って動揺する。せめてもの罪滅ぼしにと、彼女が社交界で注目を集められるよう協力するうちに、美しく知的なノラにどうしようもなく惹かれていくのだが…USAトゥデイのベストセラーリスト作家、初上陸。
八幡山に落下し、深く巨大な穴を残して消えた謎の火球。ほどなくして、ぼくの住む町のあちこちで、大規模な陥没が起こる。破滅の気配がする。それでもぼくは、中間試験のことが、そして、久保田との距離が気になって仕方がない。ゆるやかに彼女と距離を縮めながら、この状況を制御し、迷妄を乗りこなそうとしている。静かに迫る危機を前に、高校生のぼくが送る日々を圧倒的なリアリティで描く、未だかつてない青春小説。 待望の文庫化!