2019年8月7日発売
45歳の好太郎は老人ホームから認知症の父を自宅に引き取ることにしたが…。高齢者医療を知る医師でもある著者が、懸命に取り組むがゆえに空回りする家族の悲喜劇を描く「認知症介護」小説。
監察官・小田垣観月が統括するブルー・ボックス。その視察に訪れた大阪府警の刑事は監察官の尾行を捲き、夜毎行方を晦ます。時を同じくして行われた廃工場の摘発で起きた想定外の事件。身内を疑う観月だが、事件の全貌は決して忘れ得ぬ人物との対峙によって明らかになる!
転籍人事にかちんときた実力派副社長、リストラを完遂した途端に自分の首を切られた人事部長、合併銀行の派閥を背景にした熾烈な社長レース…。「非情人事」を拝命した人々の複雑な思いと行動、人事の裏に潜む人間ドラマを鮮やかな筆致で描いた短編集。
自分が何者かわからない主人公にゼロという名を与えたのは不思議な小動物・ナビだった。冒険の前にステータスを割り振りオークとなったゼロは、恋仲となったドワーフの女性・ガーネットと添い遂げようとしたが、命を落としてしまう。「今度こそガーネットを守る」ため、あえて「エルフ」への転生を決意したゼロが手に入れたのは、前世の回復力にエルフの魔法力…まさに無敵!彼は黒魔導士にして錬金術士のエルフの少女・シルフィーネと出会い、共に冒険を重ねていく。そんな生活の中、突如ゼロ達の前に姿を現す天使族のシロガネ。はたして、彼女のねらいはー?
大学卒業を控え、進学も就職も選べなかった「私」こと楠田由宇子は「滴水古書堂」という古本屋の店主の古戸時久と知り合う。古戸は右半身にあたる部分がなぜか時折奇怪に蠢き、まさに「名状しがたい」動作をする男だった。店が取り扱う商品に漫画やベストセラーなどは一切なく、普通の流通から弾き出されたような奇妙なものばかり。しかし、店の空気に不思議な縁を感じた由宇子はそこで働くことにしたのだった。そんなある日、一本の電話が店にかかってくる。なんでも、古戸の師匠のような老婆からの依頼だという。由宇子は古戸とともに鎌倉に向かうのだが、それは奇妙な事件のほんの小さな入り口に過ぎなかった。
三方ヶ原で織田・徳川軍を破った武田信玄は、翌年に尾張へと突入した。その先鋒が那古野城に迫った時、突如、織田信長は降伏を申し出て武田家の軍門に降り、信長は信玄の命に従って働くこととなった。試練の時を過ごした信長は、3年後の天正3年(1575年)に尾張で蜂起し、尾張と美濃を取り戻す…。臥薪嘗胆の時期を終えた織田家の前に立ちふさがるのは、東と西に分かれた武田家。信長は近江を押さえる西の武田勢への攻撃を決断する。しかし、京を出て駿府に引きこもった信玄は、なぜか沈黙を続けるのだった…。