2020年2月14日発売
大学の卒業を迎えた富士は、絶望の渦中にいた。五人兄弟の真ん中として育ち、金銭的には何不自由なく育ってきた富士。卒業後は、親の企業に就職し、そこの社員と結婚して静かな暮らしをするはずだったのにー。許婚に婚約を破棄され、地元に戻るのも恥ずかしく、就職先もないまま東京に残った彼女は、ひょんなことから弱小劇団の運営にかかわることに。そこは社会からはみだした者たちが集うところ。劇団員になれば、ボロアパートの家賃は無料でいいとの甘言にひかれた富士だが、そこで自分が「真ん中っ子」としてつちかってきた、「カオスを整理する能力」を発揮することになるー。劇薬青春小説!
学生時代に杉本の「親友」だった、粗暴で自己中的な男、三浦。病に臥せる三浦を、杉本は十二年ぶりに病院に見舞う。そこから再び始まった二人の奇妙な関係は、不本意な同居生活まで発展する。これはいったい、友情か、愛情か、執着か…。傑作BL『箱の中』の作者が、執拗かつ理不尽な同性同士の愛を描く。
「喉は真一文字に切り裂かれ、腹は…」海の彼方のもうひとつの魔都を模した“世紀末倫敦通り”で、女子学生惨殺事件が連続した。大型の刃物と思しき凶器と犠牲者の有様は、伝説的殺人鬼の名を記憶に上らせ、人々を震撼させたー。“新宿”にあの“切り裂きジャック”が甦ったのか!?美貌の人捜し屋秋せつらが真相を追う眼前で、なぜか警官が、やくざたちが、突如として刃物を手に殺人衝動に駆られる!街を覆うがごとき巨大な殺意に、女ナイフ遣いちどり、破戒僧鋼海とともに立ち向かう、せつらの命運は?
東京新宿。「島田法律事務所」に籍をおく弁護士・坂井尚也は、その裏に「幻影保険」請負人という顔を持つ。生前に積み立てた時間を死後に使う「幻影保険」を求めて、人々は彼のもとを訪れ、幻影の時間を生き、終えていくのだ。順調に見えた保険業だったが、坂井はある日突然、仕事を畳むと言い出す。廃業理由について彼は一切の説明を拒み、そして姿を消した。予想外の結末。真実はどこに。静かに心奪われる終末ファンタジー。