2020年6月9日発売
憂き夜に花を憂き夜に花を
「飢饉に沈む人々に元気を与えたい」。 男たちの熱い想いがあの花火大会を生んだ。 時は享保。江戸の町は飢饉に沈み、失業者、果ては餓死者までが出る始末。為政者ですら救えないこの町を、文字通り明るく照らそうとする男がいた。花火師・六代目鍵屋弥兵衛。困った人を放っておけないこの男は、江戸中の人を放っておけなかったーー! 弥兵衛は自らの小さな工場に仲間を集め、ある計画を練り始める。大川(のちの隅田川)で、将軍の号令のもとに行われる「水神祭」。その場に江戸中の人を集め、一世一代の大仕掛けを披露することであった。
フラッシュフラッシュ
犬と彼女。よく似たふたりーー イングランド南部の村で生まれた由緒正しきコッカー・スパニエルのフラッシュは、著名な女性詩人エリザベス・バレットへの贈り物として、ロンドンへやってきた。病弱でひきこもりがちな主人の家で、やんちゃで自由を愛する犬フラッシュは少しずつ都会の生活になじんでいくが、やがてエリザベスの前にひとりの男が現れる。年下の詩人ロバート・ブラウニングとの恋愛、家庭における父親の支配、突如降りかかった犬泥棒事件とスラム街訪問、イタリアへの駆け落ち……。犬の目を通して、19世紀英国の詩人エリザベス・バレット・ブラウニングの日常と冒険を温かいユーモアと時に辛辣なウィットをこめて描いた、モダニズム作家ウルフの愛すべき小品。「犬好きによって書かれた本というより、むしろ犬になりたいと思う人によって書かれた本」。実姉ヴァネッサ・ベルの挿絵を収録。
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