2021年11月18日発売
金は二の次。絡んだ糸をほぐして核心に迫る「捜査」が愉しいのだー。白昼堂々起こった100キロ5億円の金塊強奪事件。かつては大阪府警暴対課の敏腕刑事だったが、今は警察を退職して無為な日々を過ごしている堀内信也は、刑事時代の相棒だった伊達誠一に誘われて、まだ押収されていない金塊の行方を追うことに。大阪から淡路島、由布院、小倉を経て名古屋へー。事件の核心に近づいていく二人に、ヤクザ、半グレ、汚職警官、悪徳貴金属ブローカーたちが次々と立ち塞がる!暴力と混沌の中でしか生きられない男たちを描くノワール小説の最高峰。
壬申の乱の真相。平城京が秘めた謎。奈良・猿沢池の畔に鎮座する春日大社の末社、采女神社。なぜか池に背を向け、普段はひっそりと門を鎖す。古来から続く、中秋の宵の祭の二日間以外は…。編集者の橙子は、ふと目にした采女祭に奇妙な違和感を抱いた。大学助手の堀越と共に、橙子は奈良から大津の寺社史跡を巡り、手掛りを追う。その時、遂に小余綾俊輔が電話に応答したー。
小鳥店を営む檀野家の平穏な日常は、突然終わりを告げた。小学生の息子が通り魔に殺されるという凄惨な事件によってー。「息子さんのために、歌わせてください」悲しみに暮れる檀野家に、不思議な合唱隊がやってくる。訝しむ父をよそに、母と娘は歌うことで次第に心を取り戻していくが…。次々と明かされる家族の秘密。ラスト二〇ページの戦慄。そして驚くべき終曲。
昭和二十五年(1950年)、静岡県二俣町で一家殺害事件が発生した。のちに死刑判決が覆った日本史上初の冤罪事件・二俣事件である。捜査を取り仕切ったのは、数々の殺人事件を解決に導いてきた名刑事・赤松完治。だが赤松は、裏で悪質な取調による自白強要を常態化し、「拷問王」と呼ばれていた。今もなお審理が続く袴田事件に至るまで、警察と司法が手を組んで行った犯人捏造の実態。正義を信じた者たちが勝ち取った、感動の逆転無罪。そして事件を追い続けた著者だけが辿り着いた真犯人の正体とは?この国の深い闇に迫る、事実に基づく衝撃作。
観測史上二番目の暴風が関東に上陸した夜、冠水した駐車場で車の下に入りこんだ年輩女性が死亡した。行政解剖の結果は「事件性はなし」。だが、救助に出場していた本田消防署上平井出張所に所属する大山雄大は、喪服の老人から「何をどうしたって助けられなかった」という言葉を残される。不審を抱いた大山は、謎の言葉の真意を探ろうと老人を追うが、その正体は驚くべきものだったー。大人気消防ミステリー第4弾!
「俺は突然わけもわからないうちに何もかもを失って、一人になった!」不遇な半生を送ってきた男がようやく手にした、家族というささやかな幸福。だが赤い満月のかかったある夜、男は突如として現実からはじき出される(「そして月がふりかえる」)。「顔じゅうが濡れている。夢を見ながら泣きじゃくっていたのだ」早逝した叔母の形見である、月の風景が表面に浮かぶ石。生前、叔母は言った。石を枕の下に入れて眠ると月に行ける。でも、ものすごく「悪い夢」を見る、と…(「月景石」)。「満月はいつだって俺たちに言う。命を懸けろと」近未来の日本、人々を震撼させている感染症・月昂に冒された若者。カリスマ暴君の歪んだ願望に運命を翻弄されながら、抗い続けてゆく。愛する女のために(「残月記」)。ダークファンタジー×愛×ディストピア。息を呑む感動のエンターテインメント!
高校生の関大輔の家にはお金がなかった。父親が事業に失敗し出奔。母親は一生懸命に働いてくれるが、弟妹との生活費を賄うだけでいっぱいいっぱい。とても大学に進学することなどできず、おじの伝手で東京に出ることになる。別れを惜しんだ弟妹とともに上京するが、苦労が絶えない毎日を送る。そんなある日、大輔の前に一人の男が現れる。男はベンチャーキャピタリスト。大金を扱うその男に弟子入りを志願する大輔だったが…。