小説むすび | 2021年4月30日発売

2021年4月30日発売

ひきなみひきなみ

著者

千早茜

出版社

KADOKAWA

発売日

2021年4月30日 発売

小学校最後の年を過ごした島で、葉は真以に出会った。からかいから救ってくれたことを機に真以に心を寄せる葉だったが、ある日真以は島に逃げ込んだ脱獄犯の男と一緒に島から逃げ出し、姿を消してしまう。裏切られたと感じた葉は母に連れられ東京へ戻るが、大人になって会社で日々受けるハラスメントに身も心も限界を迎える中、ある陶芸工房のHPで再び真以を見つける。たまらず会いに行った葉は、真以があの事件で深く傷ついていることを知りーー。女であることに縛られ傷つきながら、女になりゆく体を抱えた2人の少女。大人になった彼女たちが選んだ道とは。 【書店員の皆さんから熱い声続々!】 ●魂はつながる。 上辺だけの関係ではない、お互いをよりどころにし、求めているのが切実すぎる。 現代社会が生み出す歪みと実に激しい描写が混ぜ合い、その文学性に引き込まれていく。 二人の背負ったもの、葛藤、悲しみは現代にもつながっている。 ーージュンク堂書店滋賀草津店 山中真理さん ●今、ここで涙を流した自分が、 いつかその涙を忘れたとしても涙を流した過去はなくならない。 その過去が未来の自分をきっと抱きしめてくれる。 諦めること、逃げること、それができる強さは、いつか闘うための力になる。 諦めていい、逃げてもいい、いつかきっと闘える日が来るから。 ーー精文館書店中島新町店 久田かおりさん ●不満にあふれた現状を飛び越える。と口では簡単には言えるけど、 今いる場所で迷って諦めて踏みとどまっても、 それでも足掻いてでも前へ進んで行くかけがえのなさ。 ずっと一緒にいなくてもいい、 それでもどこかで誰かと繋がって心を共にしていれば、きっと良い方向へ光があたっていく。 ーー大盛堂書店 山本亮さん (※「もくじ」欄に続きます) (※こちらでも、書店員の皆さんから寄せられた感想をお届けします) ●闘ったり抗ったりする力がどうしても出ない時は、 自分のまま生きていけばいいとそっと背中に手を当ててくれる。 どうしようもなく弱ってしまった時には、優しく寄り添ってくれる友達のような本。 息がつまりそうなしんどさを抱えている人にぜひ読んでもらいたい。 ーー三洋堂書店新開橋店 山口智子さん ●真以と再会するまでのミステリーの行方に疾走感がとまらない。 自分にとっての美しいもの、自分が本当にやりたいこと、確かな強さを受け取った。 ーーうさぎや矢板店 山田恵理子さん (5月7日更新。コメントは、お寄せいただいたものを一部抜粋・編集しております)

キルケキルケ

「あの、人間って、どんなものですか?」 ギリシア神話に登場する女神で魔女のキルケ。愛する者を守り、自分らしく生きようとする、遠くて近い一人の女性として、今、語り直されるーー。世界的な注目を集める作家による魔法のような物語。 女性小説賞 最終候補作 太陽神ヘリオスと女神ペルセの間に生まれたキルケ。父のように力があるわけではなく、母のように美しくもなく、人間のような声を持つ。きょうだいにいじめられ、周りからは除け者にされるキルケは、しだいに神の世界よりも人間の世界に惹かれていく。ただ、彼女は〈魔法〉を使うことができる。その力を警戒する神々によってアイアイア島に追放されるのだが、そこで人間のオデュッセウスと恋に落ちる──。 ホメロスの『オデュッセイア』を反転し、女神であり、魔女であり、そして一人の女性であるキルケの視点からギリシア神話の世界を再話する、魔法のような物語。女性小説賞最終候補作、「ガーディアン」ほか各紙でブック・オブ・ザ・イヤーに選出。 キルケ(Circe)とは アイアイア島にすむ魔女。太陽神ヘリオスとニュンペのペルセの間に生まれた。名前の由来は、「タカ」または「ハヤブサ」と思われる。『オデュッセイア』では、オデュッセウスの部下たちを豚に変えるが、オデュッセウスに挑まれると、彼を恋人にし、部下ともども島に滞在することを許し、彼らが再び出発するときには援助をする。キルケは長きにわたって文学の題材とされ、オウィディウス、ジェイムズ・ジョイス、ユードラ・ウェルティ、マーガレット・アトウッドといった作家にインスピレーションを与えた。 ーー本書「登場人物解説」より

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