2022年8月26日発売
仕事、家庭、恋愛の全てが欲しい女たちとその家族的つながりを描いた最新長編小説。 二度の離婚を経て、中学生の娘である理子と二人で暮らすシングルマザーの小説家、志絵。 最近付き合い始めた大学生の蒼葉と一緒に暮らしたいと娘に告げるが───。 恋愛する母たちの孤独と不安と欲望が、周囲の人々を巻き込んでいく。 「母親と恋愛って、相性悪いよ。ママは無理やり両方こなしてただけじゃん。何だかんだしょっちゅう家空けてたし」 「多くの人はゼロか百かで生きてないんだよ。二、八とか、六、四とかで生きてる。今は世界的にステップファミリーが増えてるし、母親とか父親を恋愛と切り離すのは保守的かつ不自然だよ」 「私はただ、今の生活が心地いいって言ってるんだよ。ママがデートに行くたびにパパたちとかおばあちゃんが駆り出されてるの、なんかちょっとなって思ってたし」 「子供を持ったら恋愛するなって言うの? 別に子供の心地よさを追求してやることだけが親の人生じゃないでしょ。きつかったかもしれないけど、受験勉強をしたから理子は今の中学に入れた。楽な方にいくだけがいいことじゃない」 ───本文より 【著者プロフィール】 金原ひとみ(かねはら・ひとみ) 1983年東京生まれ。2003年『蛇にピアス』で第27回すばる文学賞を受賞。04年、同作で第130回芥川賞を受賞。ベストセラーとなり、各国で翻訳出版される。10年『TRIP TRAP』で第27回織田作之助賞を受賞。12年『マザーズ』で第22回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。20年『アタラクシア』で第5回渡辺淳一文学賞を受賞。21年『アンソーシャル ディスタンス』で第57回谷崎潤一郎賞を受賞。他『パリの砂漠、東京の蜃気楼』、『ミーツ・ザ・ワールド』等がある。
断罪された直後に時間が巻き戻り、前世の記憶が蘇った悪役令嬢のアリアリリー。しかも婚約者であるマルス王子も一緒! 彼は、性悪のゲームヒロインに入れ込むハズが、なぜか自分にぐいぐい迫って溺愛してきてーーあなた、そんなキャラでしたっけ!? 予想外の事態に翻弄されながら、今度こそ処刑フラグを回避したい、稀代の悪女アリアリリーの大反撃!
キッチンカー開店初日、道に迷ったあげく接触事故を起こしてしまった花山瑚子。しかもどういうわけか異世界トリップまでしてしまった!? 事故のショックで運転もできず落ち込む彼女に手を差し伸べたのは、この国で一番の戦闘力を持つミランドラ公爵ノヴェル。彼は自らをオーナーとしてキッチンカーを営業することを提案、おまけに運転手も務めることに。以来、人と魔物の共存する世界で共に食材集めや営業活動に励むのだけれど、美味しい料理のため無茶をしては危険に晒される瑚子のせいで、ノヴェルの過保護モードは徐々に加速することになりーー「頼むから、私の見ていないところで危ない目に遭わないでくれ。心配で目が離せないな」最強かつ激甘な保護者に見守られるキッチンカーライフ、ただ今始動!
伯爵令嬢ノイリエにはうっすら前世の記憶がある。それは当時の夫に冷たい態度をとられ続けるというもの。その上今世は相手の心変わりで婚約破棄され、軽く嫁き遅れ状態。気持ちを切り替えるべく隣国へ向かったところ、なんとそこの公爵閣下に突然求婚されてしまった! しかも彼は自分を前世の夫と名乗り、結婚誓約書まで突き付けてくる熱愛ぶり。前世では塩対応で会話すらなかったのになぜ? まずは友達として付き合いを始めるが、時折愛情を暴走させつつも真摯に見つめてくるレイガルトに、ノイリエも次第に心揺れるようになりーー