2023年9月27日発売
新左翼の伝説的指導者、藤堂蒼子が逮捕された。押収された七枚の写真には、「L(ルーシー)資金」の融資条件である「ルーシー7(七人の子供たち)」が写し出されている。捜査官・笹山徹が、深夜のアジアの都市に潜む危険な人脈を追った先で浮かび上がったのは、子供たちを街に消し去る笛吹き男の都市伝説、あるいはアメリカ統治に入る驚くべき日本の運命だったーー 雑誌連載後、未刊行のまま20年近く放置された小説版『多重人格探偵サイコ』最終章。陰謀論に満ちた現代社会を抉り取る「ゼロ年代で最もイカれた小説」が不意打ちで単行本化!
男性限定クルージングスポットで暴行された男。発見者たちは皆、逃げていった。快楽、恐怖、差別、暴力ー折り重なる感情と衝動が色鮮やかに疾走する、圧巻のクライム・スリラー。第170回芥川賞候補作。
勇者のギフトを持つ七番目の勇者である岸勇人は、決闘裁判の混乱の中 コロッセオを脱出し仲間達と初代勇者の足跡を辿り旅を続けていた。 初代勇者が訪れた街へ向かう最中に遭遇する、エメラルド親衛隊のスーとフー。 そしてジェシカと姫であるティファの影武者。共に行動する事になりその道中でトラブルに見舞われながらも、徐々に関係性が深まっていく。しかしネフェレの貴族の代理人からの伝言でジェシカの口から「ミゼットの役目は終わったと」それは仲間であるミゼットのフレイアが勇者であるハヤトの補佐の任務を終え、ネフェレに戻すという意味だった・・・ 「聖杯を手に入れたら七番目は殺せ。以上だ」 勇者の聖杯。それを求めて争奪ロワイヤルが開幕。そしてついに勇者の禁断のスキルが明らかにーー 加速していくハヤト達の冒険と深まる異世界の謎、大好評シリーズ第二弾!
1970年マレーシア生まれの中国語で創作する女性作家による初の短篇小説集。同時代のマレーシアを舞台に、女性の視点から語られる11篇。各作品を貫くのは、“境界”というテーマである。 多民族・多言語国家であるマレーシアの人口は主にマレー人、華人、インド人で構成される。その多数を占めるマレー人はムスリムであり、二重に敷かれた法制度のうちイスラーム法が適用される。ムスリムと非ムスリムとの婚姻は認められていない。 国境・民族・宗教などの境界線で区切られた男性優位の社会の中で、ささいな衝突を通じて、制度から抜け出そうともがく女性たち。一方で、人間の強烈な欲望や逃れられない運命を描きながら、近年加速するマレーシアのイスラーム化にともなう女性の現実的な問題に切り込み、権力が個人の暮らしに容赦なく踏み込んでくることへの文学的挑戦を試みていることに欧米も注目する。性暴力をはじめ様々な暴力の影が忍び寄るのを常に感じながら成長する少女の姿や、現在の社会の中で生きるよりどころを見出そうとする女性の心理が繊細に、ときに幻想的に描き出される。英国PEN翻訳賞受賞、Warwick Prize for Women in Translation 最終候補作。 湖面は鏡のように 壁 男の子のように黒い 箱 夏のつむじ風 ラジオドラマ 十月 小さな町の三月 Aminah 風がパイナップルの葉とプルメリアの花を吹き抜けた フックのついたチャチャチャ 訳者あとがき
レーモン・クノー『文体練習』を手がけた名翻訳者/フランス文学者による、奇想の小説集。 パンデミック後の世界を描く傑作短篇から近未来ディストピア・フィクションまで、驚異とユーモアに満ち満ちた全16篇。 診察から帰ってきた鈴麗の声は弾んでいた。 「ミミタケなんだって。すごく珍しい、って感心してた」 「何、それ?」 「あのね、耳がキノコになるらしいよ。最初のあれ、真菌性のハナタケだったんだって。気がつかなくて申し訳なかったって頭を搔いてたけど、それが耳に来てしまったんだって。それでね、ハナタケがミミタケになったら、もう間に合わないんだって」 「何が?」 「だからさあ、ミミタケになったときは、もう脳の中に菌糸が入り込んでるの。だから治らないんだよ」(「KINOCCO-19」より) KINOCCO-19 Kの災難 虎の目 三途の湯 蕎麦殻の枕 クダアリの話 間男 千年劫 流されて 丘の上の桐子 門 妖怪池 軽井沢日記 思い出酒場 トーキョー・セレナーデ 最後のピクニック
婚約破棄されてしまった貧乏伯爵令嬢のアリーシャ。借金地獄で困り果てていた彼女に、第二王子クレイドとの縁談が舞い込む。心機一転、クレイドの妃としてがんばろうと決意するも、彼は「君は何もしなくていい」と恐ろしい剣幕で告げてきて!?アリーシャは不安でいっぱいになるが、なぜか豪華な離宮でのんびり暮らす予想外の軟禁生活に突入!しかも王子自ら監視までしてきて大混乱。でも実は全てクレイドの過保護さの裏返しだと分かり…!?
愛とは何か、その繋がり描く、ショートノベル あなたには、家族や友達と呼べる“動物”はいますか? わすれられない“動物”との運命の出会いはありますか? 南半球のとある小さな無人島。 緑が茂る豊かな森と草原が映える美しい風景は、小さな動物たちにとって、まさに楽園そのもの。 別名バード・パラダイスといわれる島。 そんな素敵な島があるという噂が、一部のニンゲンたちの間で静かに広まってしまう。 どうしても飼うことができなくなって、仕方なく動物を手放すことを決めたニンゲンが、 鳥たちの最期の安住の場所として、この地を選択し、置き去りにするという事態が起きるようになっていた。 ーー とある場所に住む少年ミシェルは、10歳の誕生日を相棒の真っ白なオウム、ジョフィと迎えていた。 ジョフィはミシェルが5歳のときに心奪われ、以降一番の友達でもあり相棒として共に時を重ねてきた。 ミシェルの生活は、ジョフィなしには成り立たないくらい、深い愛情と絆ができあがっていた。 そんなミシェルの10歳の誕生日に悲劇は起きる。 ーー また、とある場所に住む少年フレディは16歳の男の子。 小さいときから、歌うことや踊ること、笑わせることが好きな快活な少年。 ある日の学校からの帰宅途中、たまたま入ったペットショップで、 一羽の真っ白いオウムと運命的に出会い、家族となる。 フレディは「ミシェル」と名付けた相棒と歌い踊るようになる。 やがて、フレディとミシェルが共に踊り歌う姿を撮影した動画は人気を博し拡散されていく。 数年後、フレディとガールフレンド・イヴは結婚式の日を迎えていた。 オウムのフレディも参列し、家族全員幸せいっぱい。 そんな結婚式の帰りに悲劇は起きる。 ーー 地上の楽園、バード・パラダイスで迎える物語の最後。 時を超え、人間と動物という枠を超え、すべての命が出会い交差していく。 人と動物は、どこまで仲良くなれるのか。 信頼と愛の絆は、動物との間にも存在しえるものなのか。 もし命がつながっているとしたら…… すべての輝く命のために。 美しく愛にあふれる世界への気づきに繋がる物語です。 はじめに 一の章 10歳の誕生日 二の章 転生 三の章 再会