2024年2月26日発売
水沼加穂留は神奈川県警の巡査部長。捜査一課への配属希望は通らぬまま30歳までキャリアを重ね、春の異動で「訟務課」へ。警察が訴えられた民事裁判の対応をする部署だ。ほどなくして外部からも新人の新崎大也がやって来る。淡々として同僚と関わらない彼だが、実は弁護士の資格を持つらしい。なぜ弁護士が警察職員に?そんな折、強盗犯グループへの違法捜査を問う裁判が発生し、加穂留と新崎が担当することに。威圧的な取り調べはなかったという捜査一課の言葉を信じ、彼らを守ろうと公判に臨む加穂留。しかし法廷で、関与した警察官の「嘘」が暴露されー。違法捜査は本当にあったのか?法と組織、ふたつの正義の間で揺れる巡査部長・加穂留の決断はー。圧巻の法廷×警察小説。
「俺ら素町人の底力を、とくと見やがれ」江戸で人気を誇る、売れっ子で女たらしの陸尺・桐生。四角四面で融通が利かず、領主に忠実な近習・小弥太。身分も性分も相容れない、二人の因縁の出会いとその行方はー。第36回小説すばる新人賞受賞作。
高校入学式の朝、荒谷伊澄は駅のホームでひったくり犯を捕まえた。 その際に、犯人の前に出て足止めをしようとしたのが、車椅子に乗った少女だった。 その後の事情聴取で判明したのだが、渡辺六花というその少女も、伊澄と同じ高校の新入生だった。 弁が立ち気の強い六花に、伊澄はヤな女だな、と感じたのだが……? 夢を追い続けられなくなった少年と少女の挫折と再生の恋物語!
敗れてなお歴史に名を残した将たちの生き様を描いた歴史小説ーーシリーズ《敗軍の将の美学》第1回配本!! なぜ光秀は本能寺で信長を討ったのか⁉ 「戦国最大のミステリー」と言われ、誰か黒幕がいるのではないかと議論が白熱している「本能寺の変」で、光秀が謀叛を起こした本当の理由とは? 光秀の本当の人物像とは? そんな明智光秀の謎に満ちた生涯を、一次資料などに基づいた全く新しい視点で描く歴史小説‼ NHK大河ドラマ『麒麟がくる』(令和2年)では、いままでのイメージである、主君、織田信長を討った逆臣のダークな光秀像が、清廉で真面目で人間味がある武将として描かれたが、本書では、一次資料などに基づいた視点から眺めることで、戦国乱世という非情な現実のなかで育まれた光秀の本当の価値観と精神、その生き様を、虚心坦懐に正面から描く。 【明智光秀(あけち・みつひで)[1516-1582]とは】 戦国時代から安土桃山時代にかけての武将、のちに大名になる。清和源氏の土岐氏の支流である明智氏に生まれる。斎藤道三に仕え、道三と義龍親子の戦いのあと浪人となり、越前国の朝倉義景を頼る。その後、将軍足利義昭に仕え、さらに織田信長に仕えるようになる。その後、信長のもとで出世し、坂本城の城主となり、越前一向一揆攻略や丹波攻略にも貢献。天正10年(1582年)、京都の本能寺にて主君織田信長を討つも、羽柴秀吉らに敗れ(山崎の戦い)、討ち取られたと言われている。
七代目小川治兵衛ー屋号「植治」(1860-1933)。平安神宮神苑、無鄰菴、円山公園を手がけるなど、近代日本庭園を先駆し、自然の景観と躍動的な水の流れを組みこんだ作庭で名高い植治。いまにつづく、その時代と生涯を丹念に描く、長編小説1700枚。