2024年6月13日発売
車にはねられた悪童アキオが、まだ若き祖父のもとに瞬間移動!?創業者と御曹司の夢と苦難に満ちた“奇想天外”経済小説。第一号市販車は故障で立ち往生続出。喜一郎は公職追放で会社解体?労働争議と苦渋の社長辞任。“タイムリープ”神社で滝行する章男?「恥を知れ」と罵られて臨む米議会公聴会。最新鋭水素自動車MIRAI遭難事故?想像もできなかった涙の再会…。世界のトップメーカーとなったトヨタ自動車の創業者・喜一郎&御曹司・章男が辿った夢と苦難を、あっと驚く特殊設定で書き下ろした経済エンタテインメント!
ー遺族に戦場の実態を伝えるのは、生き残った者の義務だ…肉親が戦死した戦場の様子を知りたい気持がなくなってしまうことなどはあり得ないのだ、その気持に応えるために、とにかく精一杯戦場を語り続けなければならないのだ、と一政は自分に言い聞かせた。-日中戦争末期、旧ビルマに近い雲南の地で、約6万対2800という圧倒的不利な戦いを強いられた騰越守備隊。上官も仲間も次々と斃れるなか、落合一政と白石芳太郎は奇跡的に生き残った。仲間たちがどのように戦い、どのように死んでいったのかを遺族たちに伝えるため、一政は長い年月をかけて『雲南戦記』を出版し、芳太郎も手記をまとめている。そこへ、収容所で亡くなった戦友の妹の消息がわかったとの報を受け、二人は東京まで訪ねていくがー。仲間の命を奪い、郷里を焼け野原にしてしまった戦争は、何を残したのか。南方戦線を経験した著者ならではの、魂の一冊。
全財産を盗られたという、パリ旅行中の美しい日本人女性・原田和子。友人の頼みで、出版社の特派員・大木が一日アテンドすることに。やがて和子は、盗難にあったのは嘘だったことを打ち明けるが、大木は少女のようでいて家庭的なところもある和子に心を動かされー。表題作「愛にはじまる」のほか、若い恋人・尚二と別れようとしている銀座の店主・扶紀子が、まだ揺れ動く心を祭りの喧騒とともに描く「巴里祭」、タイプの異なる二人の男性と付き合いながら、そのいずれとも結婚するのをかたくなまでに拒否する「春の弔い」など、男女の愛欲と旅をテーマにした著者ならではの短篇集。
私は天神さまこと、菅原道真。太宰府天満宮に祀られている学問の神さまである。好きな食べ物は卵かけご飯。家電製品の扱いはちょっと苦手。築五十年の四畳半アパートで暮らす。この国には八百万の神々がいるが、私も含め皆、人の世に紛れて生きている。コンビニで立ち読みをしていたり、ラーメン屋の行列に並んでいたり、公園のベンチでぐったりと休んでいたり、参拝者の願いに耳を傾けていたり…。本書は、そんな神さまたちの何気ない日常のお話だ。