2025年12月22日発売
「猿がいる」と言い出した同居人。 かすかに感じる、妙な気配。 曾祖母の遺産相続。 胸に湧き上がる不安。 岡山県山中の限界集落。 よく判らない違和感ーー。 ただの錯覚だ。そんなことは起こるはずがない。だがーー。 怖さ、恐ろしさの本質を抉りだす、瞠目の長編小説。
【ドラマ化原作小説!】 「私は息子だから、あなたに人間らしくあってほしいと思うのです。それが、ほんとうに本心なのですか」 任官8年目の裁判官・安堂清春は、抜群の記憶力を持つものの、極度の偏食で、感覚過敏、落ち着きがなく、人の気持ちが分からない。そんな発達障害の特性に悩みながら、日々裁判に向き合っている。7千万円を盗み起訴された女性銀行員が囁いた一言、飼い犬殺害事件に潜むかすかな違和感。彼はわずかな手がかりから、事件の真相を明らかにしていく。そんな中に現れた、冤罪を訴える男。殺人罪で服役していた彼を誰も相手にしないが、安堂はなぜか気にかかり……。その再審裁判で証人として出廷したのは、検察ナンバー3の地位にいる、安堂の父だった。衝撃と感涙のラストが待ち受ける、逆転の法廷ミステリ!
大沢在昌氏、賞賛!! 「やりすぎだろ、増島。」 関西を拠点とする日本最大の暴力団・游永会。その最大派閥の若頭・瀬良は、兄弟分の森山とクーデターを画策する。それは、かつて「骸」と恐れられた元殺し屋・巌が率いる巌組と游永会の抗争激化を煽り、その混乱の中で両組織のトップを殺害するというもの。しかし瀬良たちが動き出す直前、巌は游永会組員を自発的に襲い始める。巌を抗争に向かわせる手間が省けたと喜び、これを利用しようとする瀬良と森山だったが、巌は二人の想定を遥かに超えた“化物”だった......。 小説すばる新人賞受賞の新鋭が放つ、制御不能の極道エンターテインメント!
思いやりと気配りで、生徒からも教職員からも大人気だった篠原先生がーー学校の屋上から飛び降りて死んだ。誰にでも分け隔てなく優しかったはずの篠原先生から、ただひとり「いじめ」を受けていた中学二年生の満島紗枝は、どうしても納得がいかない。 --絶対に、自殺じゃない。 篠原先生を崇拝していた下級生の茉莉花と共に、紗枝は先生を死に追いやった真犯人を探す。二人の前に、次々と明らかになっていく聖職者の真実とは……。 「善い先生」「正しい学校」「楽しいクラスメイト」 全部全部嫌いな、あなたのための学園ミステリ
2024年国際ブッカー賞最終候補作、 ついに邦訳刊行! 鉄道員一家四代の百年の物語 韓国現代文学の重鎮であり、毎年ノーベル文学賞候補にあがるほど世界的評価の高い著者が、構想から執筆まで 30 年をかけた集大成となる長篇小説。2024年国際ブッカー賞最終候補作となり、世界中から注目を集めた。世界22か国語で刊行が決まっている 。 日本による植民地支配期に、川崎重工業で作られたマテニ(マテ2型)は、朝鮮半島に導入されると主に山岳地帯の多い朝鮮北部で運行された。「マテ」は山岳型機関車を意味する、マウンテン型の日本式略称。マテニ10号は朝鮮戦争当時、北進していた南側(大韓民国側)によって接収され、開城ー平壌の路線で運行されていた。 本書の構想は、著者が1989年に北朝鮮を訪れた際、かつて鉄道機関士として大陸を行き来していた老人に出会い、話を聞いたことから始まった。 近代の到来、そして日本による植民地支配の象徴であった鉄道。本書は、闘う産業労働者たちと鉄道員一家四代の、朝鮮半島における百年の物語である。 イ・ベンマン、イ・イルチョル、イ・ジサンの鉄道労働者三代と、今の時代に「空中籠城」しているイ・ベンマンの曾孫であり工場労働者であるイ・ジノの物語が大きな柱を構成する。 三代の物語の中でも、イ・イルチョル、イ・イチョル兄弟の物語は、植民地期の労働運動と独立運動をリアルに描き、スリリングな展開で読者を引き込む。兄イルチョルは鉄道従事員養成所を出て、当時は珍しい朝鮮人機関士になり、父イ・ベンマンの誇りとなった。一方、弟イチョルは父ベンマンと同じ鉄道工作廠に勤めていたが解雇され、本格的に独立運動に身を投じ、投獄されるなど、苦難の道を歩む。また、日本の鉄道員や警察、大学教授など多数の日本人が登場し、日本の近現代史をも照らしだす。 物語の中で目を引くのは 女性たちの活躍だ。特にイルチョルの妻は、過去に義弟であるイチョルと共に労働運動をしていた新女性としての知性と卓越した予知能力で家族に襲いかかる苦難にも賢明に対処し、家族をいたわり、一家の中心的存在となる。 全18 章から成り、10章以降が下巻。朝鮮半島から満洲へとのびゆく鉄道、離散の運命、分断を越えてつながりあう家族ーー。 鉄道員一家をめぐる膨大な叙事を通して、 植民地期から解放前後、そして 21 世紀の現在を絶妙に行き来し、韓国の近現代史を描き切った。同時に、これまで韓国文学史に欠落していた産業労働者たちの真の物語を本書で打ち立てた。 植民地期、また分断の時代の朝鮮半島における近代の歪み、その底辺と周縁に生きる者につねに眼差しを向け、独裁政権に抵抗の声をあげ、海外亡命、国内収監の経験も持つ著者は、リアリズムであると同時に、生者の声のみならず死者たちの声も響きわたる表現手法を本書で模索している。作品中に響きわたる複数の声は、 社会の周縁で声を奪われていた者たちの声である。