小説むすび | 2025年5月9日発売

2025年5月9日発売

馬鹿化かし馬鹿化かし

出版社

集英社

発売日

2025年5月9日 発売

刀の様し斬りと罪人の斬首を生業にしている山田朝右衛門は、死に取憑かれていた。師匠、想い人、兄弟子……大切な人を次々になくし、荒れきった屋敷でただひとり、自分の寿命が尽きるのを待ち、お役目だけの日々。そんな無聊の中、あり得ないことに、ひとりの罪人の斬首をし損ねてしまう。服部半蔵を名乗り、身軽に逃げ去ったその男は不老不死で、斬られた首さえ再生させることができるという。しかも、余人からは記憶に残らない顔に見える半面、朝右衛門の目には半獣に見えていた。屋敷に転がり込んできた半蔵は、300年前から彼を知っていると言うが……。安倍晴明の子孫、沖田総司、土方歳三、吉田松陰など幕末の激動を生きるものたちとの交流、死神との対決の末、朝右衛門がつかんだものとはーー。幕末怪異ファンタジー。 【著者プロフィール】らんどう・つばめ 1995年生まれ。徳島大学総合科学部人間文化学科卒業。2020年、「めめ」でゲンロンSF新人賞優秀賞受賞。2021年、『鯉姫婚姻譚』で日本ファンタジーノベル大賞2021大賞を受賞し、デビュー。本作が二作目の単行本となる。

極北の海獣極北の海獣

◆川端裕人さん推薦!!◆ 絶滅した生きものをめぐって、もはや四散しつつある記憶を掬い上げる。 著者の丁寧な語りは、静謐にして緊密だ。 魅了された読者は、自分自身、その静かな残響の一部となっていることに気づくだろう。 ここに絶滅文学の精髄がある。 (内容紹介) 「滅びたものと相まみえてみたいと、だれもが一度は夢見たのではないだろうか」 18世紀のロシア極東カムチャツカ半島(第1部)、19世紀アラスカ南東部(第2部)、現代フィンランドの自然史博物館(第3部)……300年の時を超えて、今はなき巨大海棲哺乳類ステラーカイギュウをめぐる、史実をもとにした息を呑む冒険譚。 葛藤を抱えその再生に情熱を燃やす人々が、いま歴史を変えるーー。 フィンランドですぐれた新人作家の作品に贈られるヘルシンギン・サノマット文学賞受賞&28言語で刊行のベストセラー。 消滅した世界を悼み、文学が弔う壮大な物語。 日本語版装画:ミロコマチコ 装幀:大倉真一郎 【目次】 第1部 栄光か、破滅かーー1741〜〈ロシア極東・カムチャツカ半島〉 第2部 征服ーー1859〜〈アラスカ南東部〉 第3部 命あるものたちーー1861、1950、2023〈フィンランド・ヘルシンキ〉 【訳者あとがきより】 登場人物それぞれが、時代によって課された制約の中で、 もがき、苦しみ、苛立ち、また喜びに震える、 その心のありようがいきいきと描き出される。 そして、互いに出会うことはない人々の思いが、 ステラーカイギュウを介して時空を超えて交差するとき、 読む者の胸に深く響く物語が立ち現れる。 (略)どれほど資料を集めても埋めきれないもの、 それは実際にその時代を生きた人々の心の襞であり、 そこを想像の力で補って骨太な作品世界を構築した著者の、 作家としての手腕は確かなものだ。

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