2022年5月13日発売
勤め先の先輩である瑠璃子が出奔してしまったー。折しも、口入れ屋・銀古の繁忙期。珠は瑠璃子の代わりに、秋桜の咲き乱れる洋館での勤めを任される。珠なりに洋館の“人ならざる者”に真贄に向き合い、縁を結んだことで洋裁を習うことに。銀市のシャツを仕立てながら彼を想い、しだいに乙女らしい感情も育んでいく。銀市も彼女の花開く姿を慈しむ一方、珠がいずれ自分の手を離れる予感と、只人として生きるには強すぎる彼女の贄の力を憂いていた。さらに、瑠璃子失踪の原因となった存在も珠にそそられ…?
身寄りを亡くし、絶望の淵にいた少女ローザ。彼女はある事情で、居場所も母の遺品すらも奪われた。そこに手を差し伸べたのが、美貌の貴公子アルヴィンだったー。ローザは看板娘として、妖精と花のモチーフを蒐集した彼の店に勤めることに。地位と財をもち、一風変わった彼の優しさに触れて、次第にローザは生来の聡明さと凛と美しい佇まいを取り戻していく。一方、アルヴィンが伝承上の妖精に強い関心を寄せる背景にも、秘めた過去と哀しみがあり…?伝承に託された謎が、孤独な二人の魂を救う。西洋風幻想浪漫開幕!
恋と友情を同時に失い、落ち込み気味だった大学生の咲は、早春の朝、近所の庭園に赴いた。純白の花を咲かせる木の傍に、佇む人影ー白木蓮の精霊が、何故かため息をついている。咲は幼いころから花木に宿る精霊を視ることができた。美しい姿の精霊たちは、長い時を生き人を見守っている。白木蓮にため息の理由を尋ねると、ある少女を捜してほしいと頼まれた。咲は昔なじみの精霊・楠と協力し、望みを叶えるため街を奔走する。やがて木精が抱き続けていた本心を知ったとき、咲の中でも何かが変わり始めていくー。第4回富士見ノベル大賞審査員特別賞受賞作。
強突く張りと悪名高い「死の森の魔女」。その正体はお人好しで酒好きな年若い魔女リコリスだ。ある日、国王ディルストから依頼を受ける。国内で若い女性ばかりが眠りから目覚めない怪事件が起こっているらしい。リコリスは王兄ゼルクトラ、使い魔ノアとともに調査を開始する。けれどゼルクトラの冷酷な一面を知り、二人の関係に溝ができてしまう。さらにラナンキュラスに攫われて、リコリスはどこかの屋敷に閉じ込められてー「別に私は強くないわ」。ウィッチ・カプリチオ・ファンタジー待望の第三巻。
黒塗りの車にぶつかり、無理やり組に連行された葛野華が出会ったのは、麗しい美形の妖怪ー鬼夜叉の漆季と、九尾の狐の狛夜。なんとここはあやかし極道「鬼灯組」だった。祖母の形見・翠晶が妖怪の宝物らしく、その力で彼らの本性を暴いてしまった華は、対の宝物・玉璽を捜し出さないと命はないと脅される。さらに、華が逃げないよう「次期組長の花嫁にする」と宣言されてしまった。最強の漆季と若頭の狛夜、対立が激化する次期候補の二人に迫られながら、キケンで刺激的な極道暮らしをすることになり…!?
借金を工面してもらう代わりに侯爵家のメイドとなった貧乏商家の娘ルル。当主ジェラルドのハイスペックぶりは令嬢達の憧れらしいけど、幼馴染の私の前では俺様でイヤなやつ!返済してすぐにメイドなんて辞めてやるわ!…と無我夢中で働いていたら「素直に俺に甘やかされておけよ」とあーん攻撃に添い寝の要求!?それってメイドの仕事ですか!?
可愛がっていたうさぎが実はジークハルトなのではないか、と疑念を抱いたロイスリーネは、これまでの溺愛ぶりを思い返し悶絶する日々。なぜ正体を隠していたか確かめるべきか悩むなか『王家の肖像画にその答えがある』と助言を受けるのだった。一方、結婚一周年の祝賀会に参加を表明した神聖メイナース国の王太子一行に、ロイスリーネは胸騒ぎを覚え!?