制作・出演 : ドミニク・ファリナッチ
ファリナッチのイメージを変えるような内容が心地よい。スタンダードからタンゴ、ボサ・ノヴァ、イタリア歌劇、ブルガリア聖歌、そして「崖の上のポニョ」まで、彼が哀愁漂うトランペットで切々とフレーズを綴る。豪華な共演陣もその演奏に花を添える。
M&Iより発売された6枚のアルバムよりセレクトされたベスト盤。2003年の19歳から、2007年の23歳までの短い期間に多くの録音を残したことで、熟成の過程がつぶさに窺える充実した内容。深いトーン、繊細なタンギング、端正なフレージングが光る。
ニューヨークにあるクラシックの名門ジュリアード音楽院がジャズ科をスタートさせてしばらくの歳月が過ぎた。その成果を記録しているのがこの作品。教授陣と卒業生の混成セクステットによる演奏は、現代的な4ビート・ジャズの精髄を聴かせてくれる。
2002年、19歳の若さでデビュー、その後もコンスタントにアルバムを発表してきたファリナッチの通算6枚目。4曲はテナー・サックスを含むクインテットで、残りはワン・ホーン編成。ハード・バップの人気トランペッターゆかりの名曲を中心に溌剌とした演奏を展開。
ファリナッチのミュート・プレイは、チェット・ベイカー、ダスコ・ゴイコヴィッチ、1950年代のマイルスを連想させる。この第5作はピアソラ2曲などラテン系の曲が多く、ラテンの哀愁とミュート・トランペットのブレンド具合が絶妙だ。ケレンのないワン・ホーン演奏。
ライヴでのハード・バッパーな魅力とは別にお馴染みの楽曲を華麗な音色で演じきるファリナッチの4作目。ウィントンに見出された若手の俊英という立場から一歩進んだ、粋な感じさえ漂わせてきた演奏。(4)では超絶技巧の一端を見せてくれる。ビ・バップしてる。
ドミニク・ファリナッチの第3作。タイトル曲や(1)などの有名曲では相変わらずの堂々たる吹奏で唸らせ、(9)や変拍子曲(11)のオリジナルも提供している。バーンバウム、ワシントン、カーメン・イントレJr.のサポートも見事だ。じっくり耳を傾けたい秀作。★
ウィントン・マルサリスが見出したという83年、クリーブランド生まれの若手トランペッターの第2弾。コルトレーンの名盤やブルーノートの人気盤で知られる楽曲をちりばめ、往年のハード・バップを模範とした音作りがなされている。クインテット演奏が5曲。
クリーヴランド生まれで、ウィントン・マルサリスに見出された19歳のトランペッターのデビュー作。明確なフレーズと小気味よい音色は初期のウィントンにも通じるが、ドミニクにはもっと温かい何かが流れている。バップ・ピアノとの共演が楽しみな逸材。★