制作・出演 : マレイ・ペライア
マレイ・ペライア ベスト・アルバムマレイ・ペライア ベスト・アルバム
最近発売されたバロック・アルバムといい、シューマンといい、イギリス組曲といいその充実ぶりには瞠目すべきものがある。ちなみに(10)〜(14)を含むバロック・アルバムは英国音楽誌の器楽部門優秀CDに選ばれた。どうせならオリジナル盤を買ったら……。
シューマン:ピアノ・ソナタ第1番、クライスレリアーナシューマン:ピアノ・ソナタ第1番、クライスレリアーナ
先月のコンチェルトに続いてのシューマン。こちらもやはりその瞬間瞬間の音楽をよく歌っている。その意味では過不足なく満足して聴き終わることができる。ただし、シューマンの複雑さ、暗さ、やるせない情熱が色濃い演奏ではない。ちょっと薄口。
ヘンデル&スカルラッティ作品集ヘンデル&スカルラッティ作品集
ペライアにバロックのレパートリーは、やや意外な気がしたが、それが大きな思い違いだったことに気づかされた。決して恣意的ではなく、けれども自由でのびやかなピアノは“うたごころ”にあふれている。抒情的と言われる彼の美点が十分活かされたアルバム。
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1、2、3番ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第1、2、3番
ベートーヴェン最初期のソナタに「本気で」取り組んだアルバムである。作曲者が音1つ1つに込めた意味を余すところなく表現しているが、音楽が枝葉末節に陥ることはなく、スケール、推進力ともに十分である。ぜひ全集に発展することを望みたい。
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番&第1モーツァルト:ピアノ・ソナタ第8番&第1
意外なことに、これがペライア初のモーツァルトのソロ・ソナタ録音。モーツァルトにしては男性的ともいえる堅個な造形とすっきりとしたフォルムの中に、彼ならではのニュアンス豊かな音色を駆使して、優雅な気品漂う詩情をたっぷりと盛りこんでいる。
スペイン狂詩曲〜ロマン派ピアノの世界スペイン狂詩曲〜ロマン派ピアノの世界
昨年、実に15年ぶりの来日公演を果たしたペライアだが、その折に演奏され絶賛を浴びたリストの〈スペイン狂詩曲〉をタイトルにしたアルバムが発売された。これはまさに大家の芸であり、その演奏の前には小器用な優等生ピアニストはぶっ飛んでしまう。