制作・出演 : マレイ・ペライア
《ベスト・クラシック 100》から人気作を選んでハイブリッド盤化したシリーズ20点からの1枚。ペライアの抒情的な持ち味が最高度に発揮されているモーツァルトの2つのピアノ協奏曲。
バッハのソロ鍵盤楽器のための協奏曲全集を録音したペライアが、続いてブランデンブルク協奏曲第5番を録音。共演は協奏曲と同じく、自ら首席客演指揮者を務めるASMFだ。
リヒテル流の深遠な解釈を目指さずに、極上のピアニズムでしなやかに奏で上げられているのが特徴で、きわめて完成度も高い。したがって、その心優しき好青年タイプのシューベルト像に共感できるか否かによって、評価が大きく分かれそうなセットである。
あまりに才能に恵まれているために逆に芸術性の評価面で損をしているようなペライア。しかし74年のこの録音を聴くと、彼の本質的なセンスの良さと作品への読みの深さがはっきりとわかる。まろやかで潤いのあるしっとりとした美音といった特徴はそのままに、その演奏から感じられる若々しさがいまも少しも変わらないのは別の意味で見事。
15年程前の録音。その当時に書かれたライナーノーツにもあるが、40歳を過ぎて、それまでは繊細すぎたペライアが洗練と厚み、スケールの大きさを備え、広く“巨匠”として認知され始めた時期。瑞々しい歌、繊細で表情のあるタッチ、構成の大きさ。名演だ。
ペライアの弾き振りによるバッハ協奏曲全集がこれで完結となる。音楽の流れを一瞬たりとも滞らせない推進力のある演奏なのに、聴き手の心にはいろんなものが引っ掛かりとして残っていく。洗練されていてどこにも刺がないのに、もう一度聴きたくなる。名演。
ペライアがアカデミー室内管を弾き振りして、バッハのピアノ協奏曲集の録音を開始。これはその第1弾。最近はチェンバロでの演奏が主流だが、モダン・ピアノを使ってバッハの真髄を披露。
ペライアの円熟を痛感させるアルバムだ。カンタータの旋律を含蓄深い歌いまわしで魅了するバッハ(ブゾーニ編)、端麗なピアニズムで十全な歌心を表出する出色の「無言歌」(15曲)、そしてメロメロに酔わせるシューベルトの歌(リスト編)。これは必聴!