小説むすび | 著者 : 三角和代

著者 : 三角和代

名探偵と海の悪魔名探偵と海の悪魔

「この船は呪われている、乗客は破滅を迎えるだろう」バタヴィアからオランダへ向かう帆船ザーンダム号に乗船しようとしていた名探偵サミー・ピップスと助手のアレントらに、包帯で顔を覆った怪人がそう宣言した。そして直後、男は炎に包まれて死を遂げた。しかし名探偵は罪人として護送される途上にあり、この怪事件を前になすすべもなかった。オランダへと帰国するバタヴィア総督一家らを乗せ、ザーンダム号が出航せんとしたとき、新たな凶兆が起こる。風を受けてひるがえった帆に、悪魔“トム翁”の印が黒々と浮かび上がったのだ!やがて死んだはずの包帯男が船内に跳梁し、存在しないはずの船の灯りが夜の海に出現、厳重に保管されていた極秘の積荷“愚物”が忽然と消失する。わきおこる謎また謎。だが名探偵は牢にいる。元兵士の助手アレントは、頭脳明晰な総督夫人サラとともに捜査を開始するも、鍵のかかった密室で殺人が!驚愕のSFミステリ『イヴリン嬢は七回殺される』の鬼才の第二作。海洋冒険譚と怪奇小説を組み込んだ全方位型エンタテインメント本格ミステリ!ガーディアン、フィナンシャルタイムズ、サンデータイムズほか“ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤー”。英国推理作家協会“スチール・ダガー賞”最終候補作。英国歴史作家協会“ゴールド・クラウン賞”最終候補作。

イヴリン嬢は七回殺されるイヴリン嬢は七回殺される

森の中に建つ屋敷“ブラックヒース館”。そこにはハードカースル家に招かれた多くの客が滞在し、夜に行われる仮面舞踏会まで社交に興じていた。そんな館に、わたしはすべての記憶を失ってたどりついた。自分が誰なのか、なぜここにいるのかもわからなかった。だが、何者かによる脅しにショックを受け、意識を失ったわたしは、めざめると時間が同じ日の朝に巻き戻っており、自分の意識が別の人間に宿っていることに気づいた。とまどうわたしに、禍々しい仮面をかぶった人物がささやくー今夜、令嬢イヴリンが殺される。その謎を解かないかぎり、おまえはこの日を延々とくりかえすことになる。タイムループから逃れるには真犯人を見つけるしかないと…。悪評ふんぷんの銀行家、麻薬密売人、一族と縁の深い医師、卑劣な女たらしとその母親、怪しい動きをするメイド、そして十六年前に起きた殺人事件…不穏な空気の漂う屋敷を泳ぎまわり、客や使用人の人格を転々としながら、わたしは謎を追う。だが、人格転移をくりかえしながら真犯人を追う人物が、わたしのほかにもいるというー英国調の正統派ミステリの舞台に、タイムループと人格転移というSF要素を組み込んで、強烈な謎とサスペンスで読者を離さぬ超絶SFミステリ。イギリスの本読みたちを唸らせて、フィナンシャルタイムズ選ベスト・ミステリ、コスタ賞最優秀新人賞受賞。多数のミステリ賞、文学賞の最終候補となった衝撃のデビュー作!

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