著者 : 喜多延鷹
無垢なる聖人無垢なる聖人
荘園制の残り香がかおるスペイン南西エストレマドゥーラの大農園。還暦を過ぎ認知症を患ったアサリアスは暇を出され、義弟の家へやっかいになる。義弟はすぐれた嗅覚をもち、主人の狩りのお供にと重宝されていたが、ある日事故で足を骨折してしまう。義弟のかわりにアサリアスがお供をするも、いつもどおりとはいかない。狩りの調子は振るわず、苛立った主人が怒りをぶつけた先は…。広がる果てない原野と鬱蒼とした森、そして無垢なる労働者たち。生命の息づかいは漂い流れるーエストレマドゥーラの乾いた風に乗って…。戦後スペイン文学の巨匠ミゲル・デリーベスによる名著。農園主とその労働者たちの生きる姿を圧倒的な筆致で描き出す。
そよ吹く南風にまどろむそよ吹く南風にまどろむ
裸で突然死した父に着物を着せようと奮闘する少年ー「死装束」。既視感を追求して進んだその先に待っていたのはー「狂人」。大自然の中、父と子の情愛を描くー「クルミの木」。祖父と孫の人生、交錯しながらも、並行するー「レール」。20世紀スペイン文学の巨匠、ミゲル・デリーベスによる傑作集。デリーベス作品を特徴づける、自然、身近な人々、子ども、死のテーマが過不足なく融合した中・短篇4作品を所収。
エル・カミーノ(道)エル・カミーノ(道)
スペイン版“スタンド・バイ・ミー”!少年の息づかいが聞こえてくる、山村での甘酸っぱく、ほろ苦い青春、そして日々の生活。ベストセラー作家が描く文学史にのこる記念碑的作品。
好色六十路の恋文好色六十路の恋文
ふとしたきっかけで56才の女性に、65才の男がせっせと恋文を送り始める。男側の恋文だけで成り立つこの小説は、デリベス得意のモノローグもので新小説の萌芽といわれる「マリオとの5時間」の延長線上にある。ユーモアとアイロニーに満ちたスペインの書簡小説。
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