著者 : 武川佑
岩井与左衛門は、南都奈良の具足師(甲冑師)の家に生まれ、修業を積んでいたが、あるとき「ズクを打った」(不良品を作った)と言われ、勘当される。その才能を惜しみ、目をつけたのが徳川家康。信濃の国衆・真田との戦いで惨敗を喫した理由は、真田兵が着用している「不死身の具足」にありと考えた家康は、与左衛門に真田潜入を命じる。甲賀の忍びの女と二人で上田城下に入った与左衛門だったが…。具足師たちが真田信繁を、日の本一の兵たらしめた!真田vs徳川の死闘の裏にある職人たちの矜持に迫る「戦国エンタテインメント」。
激動の時代を駆け抜けた男、北条義時の数奇な人生。(「恋ぞ荒ぶる」)。若き日の後鳥羽上皇が出会った悲恋の姫の行く末。(「人も愛し」)。一幅の仏画に託された源頼朝の妹・有子の切なる願い。(「さくり姫」)。猛将・和田義盛が突き止めた討つべき“真の悪”とは。(「誰が悪」)。尼将軍こと北条政子が挑む、朝廷勢力との最後の闘い。(「女人入眼」)。
関ヶ原前夜。東西勢力の境目に位置する越前もまた、混乱のさなかにあった。山深い田舎で育った十三歳の於くらは、越前府中城の炊飯場で下女働きを始める。ある晩、一人夜中まで働く於くらのもとに、城仕えと思しき初老の男がつまみ食いをしにやって来る。於くらの作った夜食を美味そうに頬張るその男は、なんと城主・堀尾吉晴だった。吉晴に料理の才を見出された於くらは、持ち前の機転と思いやりで、天下人の心までをも動かしていくー。越前の田舎娘から、城の台所衆へ。料理の才に恵まれた少女・於くらが、戦乱の世に出会いと別れを繰り返しながら成長していく時代グルメ絵巻!
圧倒的な強さを誇った甲斐武田家の落日。家を滅ぼす二人の裏切者が出る。一人は、信玄の腹違いの弟、武田上野介信友。そして、一門衆筆頭、穴山梅雪。「武田の海」を任された二人は、なぜ「亡国の徒」となり、悲劇の幕を上げたのかー。
武田信玄の父・信虎の謎の弟、勝沼信友。「山の民」として育てられたその男は、自らに流れる血の運命に呑み込まれていく。一方、罪を犯して流浪の末武田家に仕官した足軽大将の原虎胤は、その武勇から「鬼美濃」と恐れられ、外様ながら家中で重きをなしていく。乱国甲斐の統一を目指す武田信虎を挟んで、二人の男がある「呪」を背負いながら戦場を駆け巡るー。