著者 : 織守きょうや
フィギュア・スケートの世界で競った塩澤と志藤。だが、塩澤はライバル心の裏に別の想いを秘めていた。二人ともに屈託を抱いていたコーチの転落死から、互いへの想いに悪い噂と猜疑心がたちこめ始めるー
中学生の茜里は引っ越してきた中古の一軒家で怪現象に見舞われる。知らない髪の毛が落ちている。突然テレビが消える。花壇に顔の形の染みができる。ささやかでも気になることの連続に戸惑う茜里。彼女がある夜カーテンから覗くと、庭に見知らぬ男性の姿がー。『あの子はついてない』不動産仲介業者の朝見は、フリーライターの高田に「曰くつきの物件」を紹介してほしいと頼まれる。次々に貸借人が入れ替わる家の話をしたところ、「内覧したい」と言い出した高田。押し切られて向かったのは、最近まで中学生の娘と母親が暮らしていた一軒家で…。『その家には何もない』「二年前、ここに死体を埋めた」新たな住人は語り始める。この家で起こった「ある事件」について。『そこにはいない』
「悲鳴だけ聞こえない」パワハラ告発があった企業から調査を依頼された木村と高塚だが、投書は匿名で加害者も被害者もわからず調査は難航。悲鳴をあげているのは意外な人物だったー。「河部秀幸は存在しない」弁護士が詐欺に加担していると相談を受けた木村たち。その中には知人の弁護士の名前も。さらには、木村に騙されたと主張する被害者まで現れてしまう。「依頼人の利益」破産したのに生活を見直さない依頼人に困った木村。破産管財人に嘘をつき通せるのか!?依頼人のために高塚が考えた倫理的にギリギリのウルトラCとは!?-他二篇を収録。
ライトノベルが好きな普通の男子高校生・山岸巧は別のクラスの御崎秀一に本を拾って貰い、彼のスマートさに憧れを抱く。文武両道、なんでも出来て優等生の御崎だが、ヤクザの孫だとか、先輩を叩きのめしたなどの不穏な噂もあった。「山岸くんには、探偵助手の才能がある」ひょんなことから御崎の卓越した推理力を知った山岸は、彼の助手として学校や町で起こる事件の解決に挑むことに。「片方の個室だけいたずらされるトイレ」「犯人を見ても名乗り出ない目撃者」「酔って寮から転落死した先輩」「半グレの仲間割れ殺人事件」。小さな違和感を見逃さず、魔王・御崎は真相を導く!
推理小説の名探偵に憧れて“天野春近探偵事務所”を開いたものの、依頼は多くはない。以前の事件で知り合った中学生・楓の家庭教師も副業として継続している。そんな夏の日、どこか不自然な様子を見せる園児がいるので調べてほしいと、保育園の園長から相談を受けた。表立って不審な点は見られないが、長年子どもたちに接してきた園長のカンだという。調べを始めて数日後、春近は園児との散歩途中にこちらを指さすような動きをする子どもの霊に気づく。その霊は先月に亡くなったばかりの園児だと判明するが、はたしてその動きは何を意味しているのか?『ただし、無音に限り』に続く、“霊の記憶が視える”私立探偵・天野春近の調査ファイル。
かつての家庭教師・真壁と再会した木瀬は、結婚を控えた彼に届く脅迫状のことを知り、探偵に犯人捜しを依頼する。探偵・北見理花と木瀬の出会いは中学時代、彼女がもたらした「解決」は今も心に棘を残している。大人になった今度こそ、僕は違う結果を出せるだろうかー。100%騙される戦慄ミステリー!
ある特殊能力のせいで、他人に関わらないように生きてきた久守一は、偶然、その力で美大生の佐伯が巷を騒がせる連続殺人犯だと知ってしまう。社交的で人当たりもよく、とても殺人犯には見えない佐伯は、捜査線上に浮かんですらいない。柄でもないと思いながらも、自分や後輩の身を守るため、犯行の証拠を探す久守。しかし、友達のふりをしているうち、佐伯に対して本当の友情を感じ始めてしまうー。
弁護士の澤田花が教育を担当することになった修習生の藤掛。その派手な容姿に引っかかる花だったが、仕事をする内、彼の意外な才能を発見する(「第一章 人は見かけによらない」)。十代で司法試験を突破した天才少年・柳が検察修習にやってきた。周囲が浮き足立つ中、柳の過去と重なるような事件の裁判が始まりー(「第三章 うつくしい名前」)。全四章。
つらい記憶を消してくれる都市伝説の怪人「記憶屋」。それに頼ることを選んだ彼らはどんな想いを胸に抱えていたのかー。弁護士の高原は、過去の交通事故の記憶に苦しむ依頼人・美月と出会う。支え合って生きてきた恋人との未来のために、美月は真剣に記憶屋を探していた。その実在に半信半疑でいた高原だったが、自身も病院である宣告を受けてしまい…。泣けるほど切ない「記憶」をめぐる物語、待望のスピンオフ作品集!
15歳の少女に淫行をしたとして21歳の家庭教師が逮捕された。示談条件の接近禁止を拒否する大学生の起訴は免れない。困惑する新米弁護士の前に現れた、被害者であるはずの少女は、警察を批判し予想もできない行動にでる。法と対峙して生き抜く人間たちを、現役女性弁護士が感動的に猫く連作リーガル・ミステリ!
響野家の末っ子・春希は怖がりなのに霊感が強く、ヒトではないものたちを呼び寄せてしまう。留守番中を狙ったようにかかってくる電話。何度捨てても家の前に現れるスニーカー。山小屋で出会った少女が寝言を聞かれるのを嫌がる理由…。些細だった怪異は徐々にエスカレートし、春希だけでなく、彼を守ろうとする父や兄たちをもおびやかしていく。『記憶屋』著者が日常と異界の狭間へと誘う、ノスタルジック・ホラー!
疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。しかし彼の娘は、財産の大部分を相続する中学生の孫に疑惑の目を向けた。あれは本当に自然死だったのか?すでに遺体は荼毘に付され検視は不可能、疑惑を解決するための困難極まりない調査は弁護士を介して特殊能力を持つ私立探偵に持ち込まれた。その探偵がー俺だ。霊の記憶を読み取ることができる探偵、天野春近の調査と推理を描く書き下ろし中編二編を収録。『記憶屋』が話題を呼んだ新鋭の野心作。
あのとき、目をそらしていたら。でも、もはや手遅れ。あなたはもとの世界には二度と戻れない。恐怖へ誘うのは、親切な顔をした隣人、奇妙な思い出を語り出す友人、おぞましい秘密を隠した恋人、身の毛もよだつ告白を始める旅の道連れ、そして、自分自身…。背筋が凍りつく怪談から、不思議と魅惑に満ちた奇譚まで。作家たちそれぞれの個性が妖しく溶け合った、戦慄のアンソロジー。
最愛の兄を突然失い悲嘆に暮れる弟の携帯に届く、兄からのあり得ない着信。霊が視えないのに心霊相談を持ち込む母親の苦悩。人知れず霊に悩む者を心霊現象研究会は秘めやかに救い続ける。霊を信じない同級生の冷たい視線も気に留めぬ、霊感高校生達の一途な行動が感動を呼ぶ青春ホラー。
転校生の修司は、風変わりな司書・馬渡に、奇妙な試験「霊感検定」を無理やり受けさせられる。結果は三級。バイト代につられた彼は、霊と対話できる準一級の霊感の持ち主であるクラスメイト・空たちとともに、馬渡の心霊調査を手伝うことになるが…。霊感のある高校生たちの織りなす、癒し系青春ホラー。
高校生の夏生が、4年前に巻き込まれた集団記憶喪失事件。「記憶屋」の関与を疑う新聞記者の猪瀬に頼まれ、夏生は記憶屋探しに協力していた。だが、手掛かりとして接触した料理人の男性の記憶が消えてしまい、猪瀬は夏生の親友・芽衣子への疑いを強めることに。夏生はこれ以上記憶屋に近づきたくないと訴えるが、その矢先に猪瀬と一緒にいるのを芽衣子に見られてしまい…。記憶屋をめぐる、衝撃の真実がついに明かされる。
高校生の夏生はかつて、友人達と一斉に、記憶を失うという不可解な経験をしていた。夏生を訪ねてきた猪瀬という新聞記者は、それは彼が追っている「記憶屋」の仕業だという。忘れたい記憶を消してくれる、記憶屋。夏生は、その行為が悪いことだとは考えていなかった。だが記憶屋の正体が親友の芽衣子ではないかと疑われ、夏生は彼女の無実を証明するために猪瀬の記憶屋探しに協力するが…。切ない青春ミステリ、待望の続編。