著者 : 西村寿行
元刑事中館進市が撲殺され、現場から愛犬のクロベエが消えた。四年前、中館とクロベエは殺人犯逮捕に一役かったが、犯人の美笹貴信は仮出所し、父が組長の暴力団美笹組小頭として羽振りをきかせていた。美笹組員が次々と黒犬に吠み殺された。クロベエの復讎か?だが人殺し犬は法によって薬殺される。美笹組は懸賞金を賭け、犬と人間の死闘に世論は沸いた(表題作)。他五篇を収録。
明治半ば、警視庁警部・戒能兵馬は、上司斬殺という無実の罪で投獄。北海道釧路集治監に移された戒能は、地獄の硫黄鉱山で使役に。復讐を胸に脱獄し、途中、手負いの狼を助ける。原野を彷徨う彼らを、拒捕斬殺の使命を帯びた追跡者の容赦ない攻撃が…。暗黒の北海道開拓史を背景にした復讐と慕情のサバイバル・ロマン。
そいつは、とうとうやって来た!それは人か魔物か。刑事の露無は、北海道の知床で物の怪に襲われた。魔物が住む世界へ行かぬかぎり、死が待っている…。物の怪の国への扉を開け!露無もまた魔人と化した-。
樹霊の生命の叫びを聴け!偉大なる知性を秘めた全能の〈父母の樹〉は滅びの時を悟って永い眠りから覚め、異能の少年・広久に使命を与えた。植物の逆襲がいま、はじまる…。警鐘のハードロマン巨篇。
誘拐された男女を奪還すべく行動を開始した伊能と中郷の“死神コンビ”。その捜査線上に浮かんだのは、20年前に消えた一人の特殊工作員だった。地の涯を舞台にいま、凄惨な殺戮の嵐が吹きすさぶ。烈風のハードロマン巨篇。
掏摸の亀造、元博徒の三四郎、そして元刑事の源吉は、あてのない旅を続けていた。ある日、亀造が中国人の男から財布を掏ったところ、中には諜報戦の鍵を握る機密文書が隠されていた。各国の諜報部員が入り乱れての機密文書争奪戦が始まった!レイプの嵐吹き荒れる長編ハード・アクション小説の痛快作。
上高地観光のバスが、渓谷で次々に銃撃され、3台が断崖を落下、死者105、負傷者54名の大惨事となった。だが狙撃犯・沼田光義はアルコール酩酊で心身耗弱状態、長野地裁は無罪を言い渡した。自らが溺れたアルコール中毒に、無罪を許す法とは何か!?心身耗弱は偽装か?母と妻娘を殺された真琴悠平は、人類の名において沼田を裁くことを決意、沼田の過去を追い始めた…。長篇問題作。