小説むすび | ジャンル : SF・ホラー

ジャンル : SF・ホラー

くらやみの速さはどれくらいくらやみの速さはどれくらい

近未来、医学の進歩によって自閉症は幼児のうちに治療すればなおるようになっていた。35歳のルウ・アレンデイルは、治療法が確立される前に大人になってしまった最後の世代の自閉症者だ。それでも、ルウの生活は順調だった。触感やにおいや光に敏感すぎたり、ひとの表情が読みとれなかったり、苦労は絶えなかったけれど、自閉症者のグループを雇っている製薬会社に勤め、趣味のフェンシングを楽しんでいた。だが、新任の上司クレンショウが、新しい自閉症治療の実験台になれと自閉症の社員たちに言ってきた。ルウは、治療が成功してふつうになったら、いまの自分が自分ではなくなってしまうのではないかと悩む。ルウの決断のときは迫っていた…光がどんなに速く進んでもその先にはかならず闇がある。だから、暗闇のほうが光よりも速く進むはず。そう信じているルウの運命は?自閉症者ルウの視点から見た世界の光と闇を鮮やかに描き、21世紀版『アルジャーノンに花束を』と評され、2004年ネビュラ賞を受賞した感動の長篇。

犬は勘定に入れません犬は勘定に入れません

オックスフォード大学史学部の学生ネッド・ヘンリーは、第二次大戦中のロンドン大空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂の再建計画の資料集めの毎日を送っていた。だが、計画の責任者レイディ・シュラプネルの命令で、20世紀と21世紀を時間旅行で行ったり来たりさせられたネッドは、疲労困憊、ついには過労で倒れてしまった。シュラプネルから、大聖堂にあったはずの「主教の鳥株」という花瓶をぜひとも探し出せと言われていたのだ。二週間の絶対安静を言い渡されたものの、シュラプネルのいる現代にいては、ゆっくり休めるはずもない。史学部のダンワージー教授は、ネッドをのんびりできるにちがいない、19世紀のヴィクトリア朝へ派遣する。ところが、時間旅行ぼけでぼんやりしていたせいで、まさか自分が時空連続体の存亡を賭けた重要な任務をさずかっているとは夢にも思っていなかった…。ジェローム・K・ジェロームのユーモア小説『ボートの三人男』にオマージュをささげつつ、SFと本格ミステリを絶妙に融合させ、ヒューゴー賞・ローカス賞のほか、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞したタイムトラベル・ユーモア小説。

ダイヤモンド・エイジダイヤモンド・エイジ

日常に普及したナノテクノロジーが、文明社会を根底から変容させた21世紀中葉。世界は、多種多様な人種・宗教・主義・嗜好の集まりからなる国家都市に細分化されていた。文化の坩堝・上海でヴィクトリア時代復興を願うフィンクル=マグロウ卿は、孫娘の教育のため、若き淑女のための絵入り初等読本の開発をナノテクノロジストのハックワースに依頼した。ナノテクの粋を集めたプライマーは、読み手を主人公とし、その境遇を“物語”に取りこみながら教育していく、究極のインタラクティヴ・ソフトだった。しかし、ハックワースが自分の娘のために不正コピーした〈プライマー〉は、ある事件をきっかけに、貧困と虐待の境遇にある少女ネルの手にわたってしまう。プライマーをめぐる複雑な思惑が渦巻くなか、そのささやかな物語によって育てられたネルは、己れの人生という大いなる物語を切り拓き、その物語の力は、やがて激動の世界そのものを変えてゆく。『ニューロマンサー』の“近未来”に『ハイペリオン』の“叙事詩”をリミックスし、デジタル仕様の世界観を華麗かつ過激に超越する、SF新紀元のパラダイムシフト。ヒューゴー賞・ローカス賞受賞。

ファウンデ-ションと混沌ファウンデ-ションと混沌

天才数学者ハリ・セルダンは、第一、第二両ファウンデーションの設立に向け、着実に準備を進めていた。若手数学者ガール・ドーニックの帝都トランター来訪をきっかけとして、リンジ・チェン公安委員長によって予定どおり告発され、帝国の滅亡を予言した咎で裁判を待つ身となったのである。すべては心理歴史学の数式の示すとおりに進んでいるかにみえた。だがそのとき、彼の数式では予測できぬ出来事が、トランターで発生していた。それは、ファラド・シンター顧問官によるロボット狩りであった。帝国内で暗躍しているにちがいないロボットたちを捕え一掃することで、シンターは皇帝に取り入り、政敵チェン公安委員長の失脚をもくろんでいたのである。ロボットを見分ける唯一の手段が精神感応能力であると考えたシンターは、強力な精神感応能力を持つ女ヴァラ・リソを使って次々にロボットを抹殺していく。だが実際に殺されていたのは、第二ファウンデーションの要となるはずの精神感応者たちであった…。

ファウンデ-ションの危機ファウンデ-ションの危機

衰退しつつある銀河帝国を救う未来予測の理論、心理歴史学を完成させるべく、帝国の首都惑星トランターの大学で研究を続ける天才数学者ハリ・セルダン。首相エトー・デマーゼル(R・ダニール・オリヴォー)によって、皇帝クレオン1世に次期首相として推薦されたハリ・セルダンだったが、できることなら政治などにはかかわらず、大学で研究に専念したいというのが本音であった。一方、心理歴史学を利用して自らの治世の維持をはかろうとしていたクレオン1世も、議会の反対にあい、なかなかセルダンを首相にできずにいた。そんなおり、辺境惑星サークの遺跡から発掘された模造人格2体-ジャンヌ=ダルクとヴォルテールがセルダンの研究室にもちこまれた。2体は、帝都トランターの巨大コンピュータ内の仮想現実に再生されたが、よもやこれが、銀河帝国の根幹を揺るがす怖るべき危機につながろうとは…!?巨匠アイザック・アシモフの遺志をつぎ、現代SFを代表する三人の旗手-グレゴリイ・ベンフォード、グレッグ・ベア、デイヴィッド・ブリンが、見事に再構築した「新・銀河帝国興亡史三部作」、待望の第一部堂々登場。

エンディミオンの覚醒エンディミオンの覚醒

32世紀、“連邦(ヘゲモニー)”の“崩壊(フォール)”から約300年後、人類星域はふたたびひとつにまとめられ、カトリック教会を主体とするパクスの支配下にあった。辺境の惑星ハイペリオンの若者ロール・エンディミオンは、死刑判決を受けたものの謎の老人に助けられ、驚くべき依頼をされる。もうすぐ“時間の墓標”から出てくる少女アイネイアーをパクスの手から救いだし、少女が宇宙の命運を決める“教える者”となるまでいっしょに旅をしてくれというのだ。さらには、史上最強の権力を誇るパクスを滅ぼし、教会を権力の座からおいやってくれという。できるかどうかわからないものの、頼みを引き受けたエンディミオンは、少女アイネイアーとアンドロイドのベティックとともに星から星へと宇宙をめぐり、ついに惑星・地球にたどりついた。そして、さらなる冒険へと旅立とうとしていた。いっぽう、新教皇ウルバヌス16世ひきいるパクスは、大天使型戦艦の機動艦隊を非キリスト教徒であるアウスター討伐に送りだす。さらに“テクノコア”の恐るべき手先たちがアイネイアー追跡を再開したのだが…ヒューゴー賞をはじめ、英国SF協会賞など数々の賞に輝く、壮大な未来叙事詩ハイペリオン・シリーズ、待望の完結篇。ローカス賞受賞。

エンディミオンエンディミオン

32世紀、「テクノコア」の消滅とともに連邦が崩壊して三百年足らず、宇宙は星間政府と結託したカトリック教会、パクスの神権政治の元に統べられていた。惑星ハイペリオン-。パクス法廷の即決裁判により冤罪のまま刑死したはずの青年ロール・エンディミオンは、とある城砦の一室で再び覚醒した。やがて傍らに傅くアンドロイドの案内のまま、そこが廃都「エンディミオン」であることを知らされた彼は、待ち受ける一人の老人に引き合わされ、その正体を知って驚愕した。その老人こそ、教会によって禁書とされた『詩篇』の実作者にしてかつてのハイペリオン巡礼の一人、詩人マーティン・サイリーナスその人だったのだ!さらに老詩人はエンディミオンに驚くべき予言を告げる。「時間の墓標」が間もなく開き、一人の少女が現われる。彼女こそが全宇宙の命運を握っているのだ-。かくして、エンディミオンは「時間の墓標」を目指し旅立っていった。全宇宙の命運を握る一人の少女、来たるべき「教える者」を迫りくるパクスの魔手から救い出すために。ヒューゴー賞、ローカス賞をはじめ数多の賞に輝く『ハイペリオン』『ハイペリオンの没落』に続き、人気作家シモンズが放つ傑作SF叙事詩、堂々の第三部。

フェアリイ・ランドフェアリイ・ランド

大天変と呼ばれる気候の大変動により極地の氷が融け、結果、水没地域のアジア・アフリカからの大量の移民が溢れ返ることになったロンドン。街全体が異国情緒に満ち、ロンドンの裏世界はさまざまな人種によって構成され、毎日騒然とした雰囲気に包まれている。しかも、「ドール」と呼ばれる人工的に合成された肉体に電子チップを埋めこんだ一種のロボットの人権を主張するグループが爆弾テロを繰り返していた。逮捕歴のある遺伝子ハッカーのアレックスは、戦闘用に改造したドールを闘わせる闘技場建設を試みるギャングと、そのギャングに私憤を抱く刑事の間に立っていたが、やがていやおうもなく争いに巻き込まれていった。そして、争いの渦中、現れた謎の美少女ミレーナはアレックスに手伝わせて盗んできたドールのチップを入れ替え、知性を持った「フェアリイ」を造りあげ、フェアリイとともに姿を消してしまった。アレックスはミレーナの後を追ったが…。アーサー・C・クラーク賞/ジョン・W・キャンベル記念賞を受賞した、イギリスSF界最高の有望作家が描く、ナノテクSFの傑作。

リングワ-ルドの玉座リングワ-ルドの玉座

何十万年も昔、地球から248光年の彼方、想像を絶する高度な文明によって建造された巨大環状世界-リングワールド。それは、中心に太陽が置かれ、自転することによって重力を得る、地球の三百万倍の面積を持つ居住可能惑星だった。29世紀、二百歳の冒険家ルイス・ウーは、崩壊した文明の上に群居する様々な亜人種と邂逅し、数々の伝説を残していった。23年後、再度リングワールドを訪れたルイスは、太陽面との接触による破局の危機からリングワールドを救い出すことに成功し、新たなる探索に出発した。だが、環状世界の表面上で待ち受けていたのは、大挙して押し寄せてくる吸血鬼軍団と原住民との血みどろの死闘、さらには自らの遺伝子系列を保守することを唯一の行動目的とするプロテクターの暗躍だった。そして、リングワールドへの接触を試みてきた宇宙船が相次いで撃墜された時、プロテクター同士の覇権闘争はついに全住民を巻き込んだ異種族間抗争へと突入していった!ヒューゴー、ネビュラ両賞受賞に輝く不朽の名作『リングワールド』から20年余、リングワールド最大の危機を救うべく、ルイス・ウーが伝説の彼方から再び立ち上がる。

ゴ-ルドゴ-ルド

わたしはなんとしても作家になりたい!創作意欲に燃える家事ロボット-キャル-が、様々な機能を付け足し、執筆内容もしだいに上達して、やがては主人の作家を凌駕する作品を書き上げたとき…作家志望のロボットの奮闘を、ブラックな笑いにつつんで見事に描きあげたロボット・シリーズの名作「キャル」。「リア王」のコンピュ・ドラマ化に成功し世界的な名声を得た演出家ウイラードのところに、ひとりの作家が訪れた。自分の作品をコンピュ・ドラマ化してほしいという。しかもひきかえに、十万グロボ・ドル相当のゴールド-黄金を支払おうというのだ!映像化を拒否するような内容の原作を、コンピュータを使っていかに立体映像化するか…息詰まるコンピュ・ドラマ作成現場を描きヒューゴー賞を受賞した「ゴールド-黄金-」。そのほか、作家志望の若者たちにSF小説作法を伝授する「SF作家になるためのヒント」、著者みずからがロボット・シリーズについて解説する「ロボット年代記」など、愉快でためになるエッセーの数々をあわせて収録した、アシモフ最後のヴァラエティ溢れるSF作品集。

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