著者 : アイザック・アシモフ
月に一度開かれる“黒後家蜘蛛の会”の謎解きの宵は、名給仕にして名探偵であるヘンリーのもてなしさながら、読む者すべてに心地よいひと時をもたらす。本書には、愛書家が一万冊以上の蔵書の中から遺贈した一冊の本を当てる「三重の悪魔」、著者の実体験をそのまま作品化した「待てど暮らせど」、いっぷう変わった密室の謎に挑戦する「秘伝」など、さまざまな趣向の12編を収録。
六人の教養自慢と給仕一名が集い、美食と雑談を楽しんだのち推理合戦を行なう。この様式美を長年貫く“黒後家蜘蛛の会”も、ときには例外に遭遇する。シリーズで唯一、女性が謎を持ちこむ「よきサマリア人」や、突然押しかけてきた客人の悩みを解決する「飛入り」など、第4巻には変わり種エピソードを収録。不測の事態にもヘンリーの給仕と推理の神業ぶりは決して揺るがない!
“黒後家蜘蛛の会”には数々のお楽しみがあるー会員たちによる丁々発止の会話、ゲストが食後に提供する多様な謎、そしてその難問を見事に解決する偉大なる給仕へンリーの名推理が。黄金パターンを確立した、殿堂入りの連作ミステリ短編集第3巻には、火星や日蝕の様相など科学の領域から、アメリカ大統領にまつわるトリビアまで、多岐にわたる分野に材を取った全12編を収録。
六人の知的エキスパートと給仕一名からなる“黒後家蜘蛛の会”の晩餐会では、決まって難問・奇問が取りあげられる。会員たちが匙を投げた問題を鮮やかに解き明かすまでが、万事控えめな名給仕ヘンリーの役目なのだ。ミステリ愛にあふれた連作短編集の第2巻には、著者アシモフ自身がモデルのゲストが登場する話や、ホームズ物語が秘めた謎に挑戦する話など、全12編を収録する。
“黒後家蜘蛛の会”の会員ー弁護士、暗号専門家、作家、化学者、画家、数学者の六人、それに給仕一名は、月一回“ミラノ・レストラン”で晩餐会を開いていた。食後の話題には毎回不思議な謎が提出され、会員が素人探偵ぶりを発揮する。ところが最後に真相を言い当てるのは、常に給仕のヘンリーだった!SF界の巨匠が著した、安楽椅子探偵の歴史に燦然と輝く連作推理短編集。
ロボットは人間に危害を加えてはならない。人間の命令に服従しなければならない…これらロボット工学三原則には、すべてのロボットがかならず従うはずだった。この三原則の第一条を改変した事件にロボット心理学者キャルヴィンが挑む「迷子のロボット」をはじめ、少女グローリアの最愛の友である子守り用ロボットのロビイ、ひとの心を読むロボットのハービイなど、ロボット工学三原則を創案した巨匠が描くロボット開発史。
時は2220年。植民衛星ローターの天文学者ユージニアは、太陽からわずか2光年のところに未知の恒星を発見した。おりしも地球からの独立を望んでいたローターの指導者ピットは、秘密裡に太陽系脱出を計画。独自に開発したハイパー・アシスト駆動を利用して、衛星の住民ごと新世界へ旅立った。だが、人類の新たな故郷になるはずのこの星ーネメシスは、やがて太陽系におそるべき打撃をもたらすことになる災厄の星だった。
平穏な軌道を描いていると思われたネメシスは、実は太陽に向かって直進しつづけていた!太陽系に達するのは5000年後だが、人類の避難はすぐにも始めねばならない。だがローターの独立に拘泥するピットは、この事実を地球に報告することを拒否。対立するユージニアとその娘をネメシス系の衛星エリスロに追放してしまう。しかし、そこには新たな驚異が…巨匠アシモフが未来史の設定を離れて描いた最後の本格宇宙SF。
ママ特製チキン・スープ、自宅の庭に生える珍しい茸のシチュー、自家菜園でとれた野菜サラダ、愛情のこもったラム・レッグのロースト、もちろん年代物のワイン…。みんなおいしくて、完璧な凶器です。ひと味足りないから塩を取ってほしい?それはとても危険!なぜって塩も立派な凶器ですから。名シェフのアシモフが、16品のフルコースの献立にちなんで殺人事件を集めました。
わたしはなんとしても作家になりたい!創作意欲に燃える家事ロボット-キャル-が、様々な機能を付け足し、執筆内容もしだいに上達して、やがては主人の作家を凌駕する作品を書き上げたとき…作家志望のロボットの奮闘を、ブラックな笑いにつつんで見事に描きあげたロボット・シリーズの名作「キャル」。「リア王」のコンピュ・ドラマ化に成功し世界的な名声を得た演出家ウイラードのところに、ひとりの作家が訪れた。自分の作品をコンピュ・ドラマ化してほしいという。しかもひきかえに、十万グロボ・ドル相当のゴールド-黄金を支払おうというのだ!映像化を拒否するような内容の原作を、コンピュータを使っていかに立体映像化するか…息詰まるコンピュ・ドラマ作成現場を描きヒューゴー賞を受賞した「ゴールド-黄金-」。そのほか、作家志望の若者たちにSF小説作法を伝授する「SF作家になるためのヒント」、著者みずからがロボット・シリーズについて解説する「ロボット年代記」など、愉快でためになるエッセーの数々をあわせて収録した、アシモフ最後のヴァラエティ溢れるSF作品集。
もういちど宇宙を地球人の手に!-地球からの移民の子孫であるオーロラほか50の宇宙国家により宇宙への移民の道を絶たれた地球では、60億の人々が行き場を失い絶望の縁に追いつめられていた。陽電子ロボットも軍事力も持たぬ地球が、その覇権を宇宙国家から奪取すべく企てた秘策ーパシフィック計画とは…『鋼鉄都市』の原型となった表題作「母なる地球」など、SF黄金時代を創りあげた名品7篇を収録。
アザゼルがね、とジョージが話し出した。絶対秘密だけど、奴は親しくしている悪魔なんだ。身長2cmのチビだけど、人が、いや悪魔が好くてね、困っている友達の願いを何回も叶えてくれた。女の子を美人にしたし、刑事に嘘を見抜く力を与えた。科学狂の運ちゃんに空を飛ばせたこともある。でもなぜか皆幸せにならないんだ…。著者の友人ジョージが語る奇想天外なエピソード18編。
英国の出版社から「まだ短篇集に収録されていない初期の短篇があればぜひ出版したいのだが」との問い合せがあった。いったんは断ったアシモフだったが、すぐに思い直した。それらの短篇はそれほどわるい出来ではないし、歴史的な価値もあり、さらに自伝的な説明をちりばめれば、よりいっそう興味深いものになるに違いない。本書はデビュー作「カリストの脅威」ほか“SF黄金時代”を髣髴とさせる名品8篇を収録。(全3巻)。
第一銀河帝国の崩壊を予見した科学者セルダンは、自ら発展させた心理歴史学を実用的な学問として完成させるために、帝国の首都惑星トランターに留まる決意をした。だが、その行く手には数々の難問が待ち受けていた。セルダンの友人で、心理歴史学研究を蔭ながら保護する首相エトー・デマーゼルを失脚させようとする企み…凡庸だが平和主義者で、セルダンに好意的な皇帝クレオン一世の暗殺計画…いずれも、ひとつ間違えば帝国衰亡の速度を大幅に加速する事態になりかねず、セルダンは全力で問題に対処してゆく。だが皮肉にも、人民にとって不吉な予言を伝達するセルダン自身がトランター住民の怒りを買い、執拗な攻撃を受けることになってしまった。
銀河帝国の首都惑星トランターへ、惑星ヘリコンから一人の男がやってきた。男の名はハリ・セルダン。トランターでの数学の学会に出席するためだった。セルダンはその研究発表のなかで、数学理論の応用により人類社会の未来を予知できる可能性を示した。無事に発表を終えたセルダンだったが、故郷への帰途につこうとする彼のもとに突然、帝国皇帝クレオン一世からの召喚の知らせが届いた。セルダンが心理歴史学と呼ぶこの理論の存在を知った皇帝は、これをうまく利用すれば、帝国に長く平和をもたらすことができると考えたのだ。だがもし帝国の転覆をはかる反対勢力に先に利用されれば、逆に帝国は崩壊の危機をむかえることになる。それを見越して皇帝は先手を打ち、セルダンを呼びよせたのだが…。伝説の天才数学者ハリ・セルダンを主人公に、心理歴史学の完成とファウンデーション創設にいたる人類の苦闘を鮮烈にえがく、ファン待望のシリーズ最新刊。
アシモフ自身がでくわした奇怪な人間消失事件を元にした「待てど暮らせど」や、カーに挑戦せんと意気込んで書かれたシリーズ初登場の密室もの「秘伝」など、ご存じブラック・ウィドワーズの面々の侃侃諤諤、喧喧囂囂、甲論乙駁の推理合戦と、名給士ヘンリーの快刀乱麻を断つ解決ぶりが鮮やかな好評連作ミステリ、第5弾登場。
アメリカの神経物理学者アルバート・モリスンは、退屈な学会にあくびをかみ殺していた。全精力を傾注した研究は異端視され、今や出世の望みもない。だが、そんな彼を、ナターリャ・ボラノーワというソビエトの美人科学者が訪れた。彼女はいきなり、こう切り出した-「いっしょにソ連に来てほしい」と。驚きはそれだけではなかった。アメリカでは夢物語と片づけられている“物体のミクロ化”が、ソ連では国家的プロジェクトとなり、しかも実用化されつつあるらしいのだ。興味をひかれながらもソ連行きをしぶるモリスンに、追いうちがかかる。アメリカ政府もソ連の極秘研究には関心をもち、この無限の価値がある技術をモリスンに入手させたがっていたのだ。かくして、誘拐同然にソ連国内へと連行されたモリスンは、そこで想像を遥かに超える物体ミクロ化技術の全貌を、まさしく、身をもって体験させられることになった。名作SF映画から22年、巨匠アシモフが最新の科学知識を縦横に駆使し、構想も新たに放つ驚異の人体アドベンチャー。
バレンタインデーから連想するものといえば、チョコレート、あるいはプレゼント、それとも恋人との甘い一時でしょうか…。いやいや世の中そんなに楽しいことばかりではありません。光あるところには陰があり、愛の裏側には憎悪と恐怖が秘められています。おなじみDr.アシモフ推薦の、吸血鬼飛び交い、殺人鬼うろつく、世にも恐ろしい14のバレンタインデーを心ゆくまでお楽しみ下さい。
3カ月前、あの有能で世間知らずな学者ペロラットとともに、トレヴァイズはターミナスを発った。考古学者であるペロラットは遥かな昔に見失われた地球のありかをつきとめたいという情熱に駆られており、トレヴァレズは自分自身の真の目的-第二ファウンデーションの発見-を隠すためにかれを利用したのだ。二人は地球を発見することはできなかった。だがそのかわりに、ゲイアを見いだしたのである。やがて第一、第二両ファウンデーションとゲイアとの間で行なわれた壮絶な闘い…。『ファウンデーション』に始まる〈銀河帝国興亡史〉とロボット・シリーズとを融合させるべく、巨匠アシモフが壮大なスケールで描きあげた待望の最新長篇!